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『あの娘のビッグウェンズデー/伊藤銀次』 [邦楽ロック/80年代]

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お早うございます。
伊藤銀次さんの待望のベスト盤が出ましたね。
祝☆音楽活動40周年。

銀次さんがベスト盤を出すのも相当久しぶりで、80年代に出した以来。
今回は、70年代に関西で組んでデヴューした“ごまのはえ”、大滝さん、達郎さんとの“ナイアガラ・トライアングル”、
そしてソロ時代、さらに、ごまのはえの発展したバンド“ココナツ・バンク”、さらにさらに黒沢秀樹さんとの“Unkle- Jam”まで、様々なレコード会社を跨いでの、70年代から最近までの音源を網羅した決定的なオールタイムベスト盤。
昨年は奇しくもこうしたベストアルバムをリリースしたミュージシャンが多かったですね。
それだけ日本に独自のポップ・ミュージックが定着したということでしょうか。歴史を感じます。

さて、本日紹介するのはベスト盤にも収録されている楽曲のひとつでもある、
1983年に発表されたシングル『あの娘のビッグウェンズデー』。
同年の秋にリリースされたアルバム『WINTER WONDERLAND i thank you』収録。
半年前に『Stardust Synphony 』を出してますのでその年二枚目のフルアルバム。
前年にも『Baby Blue』『Sugar Boy Blues』の二枚も出していた創作意欲がギンギンに旺盛な銀次さん。
しかもそれらが悉く内容が素晴らしいのです。いやホント。質量共に申し分ありません。
話は戻って、1982年にレコード会社を移籍し、ソロ活動を再開して以来4枚目の今回のアルバムは、タイトルとおりに“ウィンターアルバム”、冬向けの楽曲で構成されたコンセプトアルバムでコレまでのアルバム以上にヴァラエティに富んだカラフルでドリーミィな楽曲が並んでいます。
12月24日生まれという銀次さんにうってつけといえます。

それではシングル紹介。
タイトルからすると、夏っぽいと思われますが冬にサーフィンをする女の子の歌。
サーフィンが好きな人は夏だけじゃなく、冬にもしますね。
僕の兄もサーフィンが好きで寒いのにしてました。
冬のほうが海が空いてますしね。
学校の卒業とともにサーフィンも辞めてしまう女の子が最後の冬に、大波を捕まえようとハートを燃やしている歌。
素敵な歌詞です。
歌詞は康 珍化さんによるものでそもそもこのアルバムのコンセプトを提案したのは康さんだとか。
大滝さんのロンバケに向こうを張って、銀次さんも冬のアルバムを作ってはどうかと。
大滝さんは7月生まれでしたね。
サーフィンといえば、この曲もサーフィンホットロッド風なサウンドなのですが80年代特有のDX7などのシンセを多用したデジタルな音がきらびやか装飾されていて、ドリーミィな世界観が照れくさいほどに強調されています。
シンセサイザーのマニピュレイーターは同時期にYMOで大いに活躍された松武秀樹さんです。
ロマンティックが止まりません。
90年に聴いたときはこの手のシンセの音色は眩し過ぎたのですが、また時代が巡って80年代ブームの今の耳にはそれほど違和感はないですね。
ちょうど前回取り上げたIce Choirに通じるサウンドです。



銀次さんらしいハートフルなメロディ、そしてソフトな歌声が冬の寒さから温めてくれます。
ちなみにこの曲の演奏時間はシングル盤の表記によると、3分54秒でした。

B面は『パリッシュブルーの朝に』。
タイトルからしておしゃれな感じですが、サウンドも西欧のクレスプキュールやelレーベルあたりのキュンとするような仕上がり。
冬の景色の中を恋人を乗せた車が走り抜けます。
歌詞は松尾由紀夫氏によるもの。
国吉良一氏による氷の結晶のようなキーボードの音色。
松武氏による清かなシンセサイザーの彩り。
ボサ・ノヴァのリズムがなんとなく浮き足立った恋の気分を表しているようです。
銀次さんの少年のようなナチュラルな歌い方が、ネオアコって感じですね。



この年には銀次さんはアルファ・レーベルのクリスマスアルバム『We wish a merry christmas』にも参加されていますね。細野さん、ユキヒロさん、大貫さん、ムーンライダースなどなどそうそうたる顔ぶれ。
『ほこりだらけのクリスマスツリー』という曲を書き下ろしているのですが、このアルバムだけでしか聴けない良い曲です。

ベスト盤がリリースされて、改めて銀次さんの音楽性が評価されることを希望します。
プロデューサーとして、ギタリストとして、そしてソロアーティストとして有形無形に日本のロック、ポップミュージックの歴史に多大な貢献をされていることがきっとこのベスト盤で明らかにされるでしょう。
本日紹介したメロディメイカーとしての一面だけではなく、いぶし銀のロックンローラーとしての側面もベスト盤で味わえると思います。
音楽性の高さだけではなく、銀次さんのパーソナリティの素晴らしさも音楽から滲んでくるかと思います。
歌声どおり、マイルドでジェントルでユーモアの精神を忘れない方。
その飾らない人柄が日本のロックヒストリーに於いて、才能を持つミュージシャンたちの出会いの橋渡しをしてきたのでしょう。

そういえば、オリジナル・アルバムも今回のベスト盤の発表と共に、以前紙ジャケで出ていたものが限定で再プレスされたそうですね。リマスター&ボーナストラック付きのです。
最近までほとんどの作品が在庫切れでプレミア価格でアマゾンとかに出品されていたので、今がチャンスです。
今回文中に出た初期のアルバムはアマゾンではプレミア化しやすいので、アマゾン以外のタワレコやHMVなどの方が手に入れやすいかもしれません。

これからも健康でマイペースで音楽活動を続けられることを期待しています。

『あの娘のビッグウェンズデー』《7P-86》〈作詞:康 珍化/作曲・編曲:伊藤銀次〉(03'54'')【1983】

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コメント 4

いとぞう

「ウェンズデイ」というと大滝さんにもありますが、それとは対照的な魅力溢れるキラキラ感がありますね。こういうベスト盤が出るのは実に有意義だし喜ばしい。まだ買えてないんですが、近いうちに間違いなく買います!
数年前に紙ジャケのアルバムを3枚ほど買いましたが、まだ聴いたことのない曲もあるし楽しみです。銀次さんの多彩な音楽性が今後も受け継がれていくといいな、と思います。
by いとぞう (2013-01-11 19:56) 

リゼ・スタンスフィールド

お久しぶりです。
「あの娘のビッグウェンズデー」大好きな曲です。
もう何年も前から自分のipodに入っています。
この曲を知ったのは
当時中学三年生の1983年。
関東地方の方しかわからない話になりますが
テレビ東京の人気番組だった「おはスタ」
(今のおはスタじゃなくて、志賀ちゃんが司会をしていた時代)
に銀次さんが出演して
「あの娘のビッグウェンズデー」を歌ったのが
きっかけでした。
聴いた瞬間から、なんて良い曲なんだろう!と
感激・感動したものです。
(その当時は銀次さんが大滝さんと繋がりがあるなんて
まったく知りませんでしたが。)
「ほこりだらけのクリスマスツリー」も名曲ですよね。


by リゼ・スタンスフィールド (2013-01-12 02:12) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
銀次さんの曲は若い人に聴いてほしいですね。
「いいとも」のテーマソングは今では国民的な曲といって良いですから。
また元春がプロデュースしてアルバムを出して欲しいですよね。
by 都市色 (2013-01-13 11:39) 

都市色

>リゼ・スタンスフィールドさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
お久しぶりです!
今聴いても色あせないポップソングですよ 
銀次さんが志賀ちゃんの『おはスタ』に出ていたとは!
そんな朝から歌っていたなんて!
女性アイドルが出演していたのは知ってましたが。
それはさわやかな目覚めでしたね。

by 都市色 (2013-01-13 11:44) 

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