『コラムで行こう!/IZUMIN』 [歌謡曲/90年代]
こんばんは。
暑いですね。
夜でも。
暑さのせいで、のぼせあがった気持ちをさらにハイにさせる真夏の夜、
8月の8センチシングル。
幻の名盤解放歌集(短冊シングル編)。
ある意味、ラグジュアリー歌謡かもしれません。
言ったモン勝ちです。
ラグジュアリー歌謡の贅肉部分と言うか。
バブリー。
脳みそがウニになった気分でこのシングルを取り上げちゃいましょう。
ハイ、IZUMIN(イズミン)の登場です。
知る人ぞ知る謎のシンガー、なんて勿体ぶってもジャケットと曲名でなんとなくピンとくると思いますが。
その正体は、コラムニストの泉 麻人さんです。
IZUMINとは、ツイッターのアカウント名でもあります(正確には“izumin54”)。
“レトロ”と“ナウ”をキーワードに、ご出身の東京を中心とした昭和風俗全般のオーソリティ的存在のコラムニスト。
近年は気象予報士の資格も取得されています。
十代の頃、テレビ探偵団を観たり、著作の『B級ニュース図鑑』『コラム缶』等を愛読していました。
歌謡曲にもお詳しい泉さんの満を持してのレコードデヴュー。
現在のところ唯一の音源。
1998年の夏のシングル。
これもリアルタイムで買いました。
あれから15年・・・。
思えば98年は収穫の多き一年でした。
プロデュースはみうらじゅんさん。
納得ですね。
みうらさんならやりかねませんね。
泉さんを巧みに煽ててそそのかせたのでしょう。
時代も90年代末、レコード会社もまだユーモアに対し大いに理解があったようです。
(何故か)星条旗をバックに、グループサウンズ風の衣装に身を包み、陽気にマラカスを振るトッチャン坊や。
満面の笑みを湛えての42歳(当時)。
ジャケットの左胸には“泉'N”のエンブレム。
意外とこういうコトがお好きなんでしょうか、泉さんは。
実は乗りやすいお調子者タイプなのかもしれません。
ジャケットの写真が訴えています。
アートワークは常盤 響さんが担当。
このタイトル、『トンバで行こう』のパロディでしょうか。
この曲が特筆すべきは本人の自作と言うこと。
本人によると、ドゥーワップの名曲の『SH BOOM』(ザ・コーズやザ・クルーカッツで有名)と浅田美代子さんの『恋は真珠色』からインスパイアされたそうです。
アレンジはDJ、トラックメイカーでお馴染みのサワサキヨシヒロ氏が担当。
最高にのんきなポンチャック歌謡に仕上がっています。
イントロなしでイズミンは、
♪ コラムで行こう ゴー!ゴゴゴー!!
と聴く者を少しドン引きさせるような、
ヒロミゴーばりに鼻にかかった声色で唄い始めます。
すると、
♪ レッツゴーコラム コラコラム!!
(レッツゴーコラム コラコラム!!)
コラムでいくぜ! コラコラム!
(コラムで行くぜ! コラコラム!)
コラムで行こう! コラコラム!
と、和太鼓のリズムに乗ってイズミンと男性集団の野太い歌声とのコールアンドレスポンスが轟きます。
この男性集団は、みうらじゅん、山田五郎、カーツ佐藤、渡辺祐、安西肇、そしてサワサキヨシヒロ諸氏で構成されています。
頼もしい同業者達の後押しで、ノリノリで歌いまくりまくるイズミン。
朗らかなメロディに乗って、
時代の観察者たる矜持を切々と歌い上げています。
街の陽気なコラム売りは今日も行く!
カップリングは、『レラ(25時のシンデレラ)』。
こちらも泉さんのオリジナルソング。
70年代のロック歌謡ムード満点の名曲に仕上がっています。
ファズギターとマイナーメロ。
高校時代に作った曲で、当時密かに恋心を燃やしていたレコード屋の娘を想って歌われています。
吉田拓郎とガロを意識したとの弁。
そしてなんとアレンジ・演奏はヒックスヴィルが担当です。
当然真城めぐみさんのコーラスが響き渡ります。
どういう経緯で関わっているのか謎。
三曲目は『コラムで行こう』のライヴバージョン。
ライヴの場所や日付は不明ですが、恐らくみうらじゅんさんの主催するイベントのようです。
本編が始まる前、
みうらじゅんさんが会場に集まっている聴衆に対し、
今回の演奏はライヴレコーディングされる予定であり、嘘でも構わないので盛り上がっているような雰囲気にして欲しいという旨の前説も収録されています。
スタジオ録音版よりもグダグダな仕上がりにライヴ感が如実に伝わり、面白いです。
イイ大人たちの悪ノリ感、嫌いじゃありません。
大気圏から解放された脱力感を感じられる一枚。
盆踊りの季節にも対応している気がします。
幻の名盤開放歌集、おバ歌謡、男宇宙など珍盤奇盤コンピレーションの続編があるとすれば、
次にこの楽曲を収録するのはどのコンピでしょう。
amazonのマーケットプレイスではとんでもない値段になってます。
『コラムで行こう』《TODT-5188》〈作詞・作曲:IZUMIN/編曲:サワサキヨシヒロ〉(05'26'')【1998】
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