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『わんさかワンサくん/シンガーズ・スリー、ロイヤル・ナイツ』 [アニメソング]

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こんばんは。
ロボットアニメが続きましたので、ここで気分転換。

大河原さんとは関係のないアニメを取り上げてみたいと思います。
でも大河原系アニソン特集はまだまだ続きます!


最近、毎週楽しみに観ているアニメがありまして、
宇宙戦艦ヤマト 2199 』です。
日曜日の夕方放映されています。
今から39年前に製作され、のちに大ヒットを記録した『宇宙戦艦ヤマト 』の最初のテレビシリーズのリメイク。
リメイクに名作なし、というジンクスがありますが、数少ない例外だと思っています。
正々堂々と正面から旧作に挑んだガチンコのリメイク。
総監督の出淵 裕氏が長年温めてきた企画だけあって、じっくりと丁寧に作られています。
原作の良さを生かしながら、現代の観点からは時代遅れな設定や矛盾点を改訂。
21世紀のアニメ技術でブラッシュアップした映像。
現代のアニメ事情に対応した萌え系な新キャラクターも登場しますが、飽くまでオリジナルに沿ったストーリィ展開を大切にしています。
スタッフのオリジナル版のヤマトへの深いリスペクトを感じさせます。
かくいう僕もヤマト世代だったので、出淵監督の意気込みが作品のクオリティの高さから伝わってきて、嬉しかったです。
ヤマトのプラモデルを作りたくなっちゃいました。
現在の日本のアニメーション・ブームの先駆けともいえる人気作品なので、このリメイクには賛否もありますが、往年のファンからも概ね好評を得ているのだから大したものだと思います。
実写版の映画のような出来にならなくて良かったと思います。
CSのファミリー劇場で五月の連休中に旧作のヤマトを全話オンエアしていたのでそれらを録画して、2199版と見比べて楽しんでいます。

そして、
改めて思うことは、リメイク作でも使用されているオリジナル版の音楽の素晴らしさ。
故・宮川 泰氏の音楽生命を賭したプロフェッショナルなサウンド。
今聴いても新たな感動を覚えます。
ご子息・宮川 彬良氏によってリアレンジされた演奏も原作への深い敬意が払われています。
父上の意思を引き継いだ華麗なスコア。

という訳で、本日ご紹介するアニメソングは『ワンサくん 』です。
ヤマトの前年の1973年に放映されたアニメーション。
あんまり有名な作品ではありませんが。
アレ?ワンサくんって手塚治虫でしょ。

虫プロが倒産する前に製作した最後の作品で、プロデューサーは西崎義展氏。
ヤマトのプロデューサーですね。
西崎氏をはじめとして、
監督の山本暎一氏、脚本の藤川桂介氏、そして音楽の宮川 泰氏。
ヤマトのメインスタッフで製作されたのが『ワンサくん 』です。
キャラクターデザインは永島慎二氏。

そして西崎氏と宮川氏がはじめて組んだ作品でもあります。
西崎氏がプロデューサーを担当するのは『海のトリトン』(1972)に次いで2作目です。
なんだか壮大なスケールの物語を想像しちゃいますが、勿論そんなことはなくて。
でもこの作品がなければヤマトは存在しなかったかもしれません。

手塚作品を原作としたアニメ。
子犬のワンサくんを主人公とした、野良犬たちの笑いあり、涙ありの物語です。
僕が生まれた年に放送されたので、リアルタイムで観られたのではなく、後々の再放送で何度か観ました。
ミュージカル調のコミカルで楽しい内容でしたね。
でもワンサくんは幼い頃にはぐれてしまったお母さんを常に恋しがっていて、シリアスな描写もあります。

ミュージカル風な作品ですので、音楽も充実しています。
ここでも宮川氏は才気走ってます。
絶好調!

オープニング曲の『わんさかワンサくん 』。
小林亜星氏が手がけたレナウンのCМソング『ワンサカ娘 』みたいなタイトル。
まぁ、関係ないですけど。
サウンドが陽気なディキシーランド・ジャズってのが何ともユニーク。
吉本新喜劇っぽくもありますね。
ジャズのスタンダード・ナンバーの『Happy Talk 』(ミュージカル『南太平洋 』より)をさらにマッドにした感じでもあり。
シンガーズ・スリーとロイヤル・ナイツの軽妙洒脱な歌いっぷりも最高。



いきなり楽屋オチなオープニング。
メタフィクション!
ユーモラスなアニメーションに負けないサウンドの酩酊ぶり。
ヴァイタリティに溢れ、賑やかしく、今観ても斬新で楽しい映像です。
物凄いセンスですよね。
これが40年前のアニメーション。
作詞は監督の山本暎一氏が担当してますが、ほとんど歌詞っていう歌詞のないナンセンスの極致!
関係ないけど、Berryz工房のニューアルバムの中の曲に『すっちゃかめっちゃか 』ってありました。


エンディングテーマも負けていません。
ディキシーランド・ジャズに対抗できる日本の音楽は“音頭”!
ピンコラ音頭 』です。
クレイジーキャッツの音楽にも通じる諧謔性。
スーダラ節 』をパロディにしてるんでしょうね。
宮川氏はクレイジーの音楽も担当していますので朝飯前でしょう。
カリキュラマシーン 』も宮川氏の仕事。
この曲でもシンガーズ・スリーとロイヤル・ナイツの面々が大暴れ。



以上の二曲はA面に収録されています。

B面は『ワンサくんのママ 』。
この曲は劇中の挿入歌。
実にシリアスでもの悲しいテーマソングです。
宮川氏のメロディメイカーっぷりが如何なく発揮されています。
うっとりするほどの珠玉の名曲。
非の打ちどころがありません。



ハンカチのご用意を。
劇中でこの曲を歌っているのはホーン・ユキさんですが、
このシングル盤に収録されているのは堀江美都子さんが歌ってるバージョンです。
ミッチのバージョンも素晴らしいです。
この当時若干16歳ですが、見事な歌唱表現。
メロディの切なさ、エレガントなオーケストレーションと相まって泣けます。
この曲はヤマトの旧作のエンディングテーマの『真っ赤なスカーフ 』に通じる作風の哀愁のバラードですね。
リズムがボサ・ノヴァしてます。

ホーン・ユキさんのバージョンは別のシングル『ミドリちゃんのテーマ 』のカップリングに収録されているようです。
少し前にゲイリー芦屋氏がホーン・ユキ版の『ワンサくんのママ 』のレコードについてツイートされていました。
ピンコラ音頭 』、『ワンサくんのママ 』の二曲とも作詞は脚本の藤川桂介氏によるものです。


ワンサくん 』だけで、宮川氏の豊穣で多様な音楽性がお分かり頂けると思います。

本当にあの頃のアニメーションの音楽のクオリティの高さ、豊かさには参ります。

ちなみに、今回紹介したシングル盤は五月の連休中、実家へ帰省する途中に寄った中古盤屋さんでゲットしました。
時々寄るお気に入りのお店で。
ずーっと探していたレコードなので喜びもひとしお。
値段も安くて、コンディションもまずまずでいうこと無しでした。
最高です!
最近の大収穫。

こんなに素晴らしい音楽なのに、実はこれまで一度もワンサくんのサウンドトラックって出てないのですね。
誠に遺憾に存じます。
是非に資料やBGM音源を集めて、完全版のサントラ盤を編集してほしいです。
関係者の皆様、ご検討ください。
これは勿体ないです。

ヤマトの音楽ファンよ、手塚治虫ファンよ、サントラファンよ、目覚めよ、立ち上がれ!

『わんさかワンサくん』《SCS-197》〈作詞:山本暎一/作曲・編曲:宮川 泰〉(02'05'')【1973】


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タグ:手塚治虫
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コメント 2

ノリ

ヤマトの過去の楽譜が残ってないので劇伴を彬良氏が耳コピで新たに書き上げた話は、ちょっと感動しました。
今のヤマト、萌え系タッチは苦手だけどリスペクトを強く感じます。
「ワンサくん」はミュージカルの楽しさに溢れてて素晴らしいです。
ジャズから浪曲まで、宮川泰の遊び心満載でしたね。
by ノリ (2013-06-03 01:02) 

都市色

>ノリさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!

>ヤマトの過去の楽譜が残ってないので劇伴を彬良氏が耳コピで新たに書き上げた話は、ちょっと感動しました。
楽譜は残っていないのですね。
それを一から採譜しなおして演奏しているのですね。
宮川泰さんの残した多くの素晴らしい作品、もっといろいろと聴かれる機会が増えるといいなと思います。
人柄も面白かったですよね。

by 都市色 (2013-06-03 23:17) 

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