『チッツリターン /チッツ』 [邦楽ロック10年代]
おはようございます。
“美少女”達の次は“野獣”たち。
チッツ行きまーす!
今、気になっているバンドのひとつです。
大阪を中心に活動している四人組のバンド。
メンバーは、ひっしー、列車強盗(a.k.a DJ肉棒)、草、イシタニ。
結成10年となるベテランなのですが、昨年の夏、インディーズの《こんがりおんがく》からファーストアルバムをリリース。
そのジャケットの衝撃に、口に含んでいた白バラコーヒーを吹いてしまいました。
ジャケも凄いですが、中身も負けていません。
やること、なすこと、すべてが裏目に出たあまり若くない男たち。
水溶液を満たすコップの底に沈殿した、彼らの日常の“怒り”を掻き回すバンドサウンド。
GSを思わせるような歌謡ロック。
耳なじみの良いキャッチ―なメロディに乗せて、
身も蓋もない歌詞もイイです。
ヴォーカル担当“ひっしー”の嗚咽しているかのような歌声のインパクト。
理性を失い泣きじゃくってるような大人げないヴォーカルを支える、こなれたバンドサウンド。
八方破れなバンドが好きです。
なんというか、『最強伝説黒沢』(復活しましたね)を地で行くバンド。
彼らのファーストアルバム『おはよう』は密かな愛聴盤。
CDジャーナルでは安田謙一氏がレヴューをしてました。
そんな、チッツの2013年度の第一弾リリースになるシングル。
三月に発売されました。
五か月たっても話題になっていないようなので、このブログで遅ればせながら取り上げたいと思います。
タイトルは『チッツリターン』。
三曲入り。
まず、ジャケットがいいじゃないですか!
自室の学習机。
一番上の段の一番大きな引き出しが半開き。
からっぽの引き出し。
それを寝転がりながらぼんやり見つめる男の後ろ姿。
猫型ロボットの登場を待っているのでしょうか。
ありもしないことを何となく思い耽るような無駄な時間。
一曲目は『おはよう』。
ファーストアルバムのタイトルをシングルの楽曲にしてます。
アルバムには未収録の新曲。
ウキウキするかのようなモータウンビートに乗ってのポップンロール。
曲調もそうですが、歌詞の内容も比較的明るいのが印象的。
アルバム『おはよう』は日陰者の視点から社会へのネガティヴなメッセージが込められた歌詞の世界(勿論、ユーモアを交えて)でした。
新曲の『おはよう』も決して明るい歌詞とは言い切れませんが、視点がよりポジティヴに傾いてきていました。
実に三分五十四秒。
二曲目は『キャロル』。
こちらも軽快な楽曲で、シャッフルビートの演奏に体が反応しちゃいます。
透き通るように純粋な愛を愚直に告白するラヴソング。
激情が込み上げて咽ぶようなひっしーの歌声が愛おしい。
バンドのエネルギッシュな演奏もジンジン伝わってきます。
サウンドだけ聴けば、オレンジジュースっぽくないですか。
でもないか。
和製スミスの呼び声も高い高い高ーい。
三曲目は『魔法をかけて』。
曲名からして、ポップソングのクリシェって感じですが、
いじましい、いや、意地らしいほどに素直なイイ曲。
ブルーハーツを思い出させるような。
不格好なラヴソングのカッコ良さがありますね。
かっこ悪いことはなんて・・・・。
今回のシングルはこのバンドの間口の広さを感じさせますね。
捻くれたことが好きなマイナー志向の音楽ファンだけに聴かせておくのは勿体ない出来。
さてさて。
少し前の話なのですが、
織姫と彦星が出会う夜によりによって、彼らのバンドのライヴを難波ベアーズで観てきました。
今回のシングルのレコ発記念ライヴ『チッソリターソ』。
対バンが、KB parkと知久寿焼さん。
満員のベアーズ、大盛り上がりでした。
KB parkはヒップホップとロックをミックスしたバンドで、若々しい演奏やサウンドに好感が持てました。
続く、知久さんはご存じ、元・たまの方。
ちゃんとソロの音楽を聴くのは初めてでしたが、幼い頃に抱いていたイマジネーション豊かな感性をいつまでも大切にされている方でした。確固たるソングライティングのスタイル。
歌声もユニークで、大変いいライヴでした。
ゲストである知久さんのライヴはチッツのメンバーからのリクエストでした。
そしてトリのチッツ。
何故か大滝さんのロンバケをBGМに登場。
待ってたでー!と、盛り上がる気満々のミナミの客。
男性に交じって、何故か若くて可愛い女性が多かったのが気になりました。
演奏が始まると激しいモッシュ状態。
捻くれて攻撃的な楽曲に負けじと客もヒートアップ。
四人はアルバムのほぼ全曲、今回のシングル収録曲、そして新曲を披露。
ライヴで鍛えたバンドの引き締まった演奏。
上半身裸のひっしーは客席に飛び込んだり、客席の聴衆と同化して一緒に歌ったり、アグレッシヴでした。
オーディエンスのジョーク交じりのヤジとひっしーのやりとりもオモロかったです。
さすが関西の客は違うと思いました。
ベースの列車強盗もいつのまにかパンツ一丁で演奏してました。
ギターの草は飄々とニヒルにプレイ。
ドラムのイシタニも淡々と叩きます。
四人とも写真や動画を見るよりもハンサムでした。
お茶の間の人気者になるのも時間の問題だと思いました。
『おはよう』《品番不明》〈作詞:ひっしー/作曲・編曲:チッツ〉(03'54'')【2013】
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