『終楽章/薬師丸ひろ子』 [邦楽女性アイドル/80年代]
こんばんは。
ちゃん リン シャンしてますか?
薬師丸ひろ子さんのシングルでもう1枚。
1988年のシングル『終楽章』。
これは竹内まりやさんが提供した楽曲。
まりやさんが提供した作品というと『元気を出して』が有名ですが、こちらも良い曲なんです。
薬師丸さんの代表曲『探偵物語』、『WOMAN “Wの悲劇”より』に勝るとも劣らない劇的でシリアスなバラード。
悲しい恋愛の結末を“終楽章”と表現するタイトルの付け方もさすがまりやさん。
女性の側から別れ話を切り出す内容の歌詞。
痛みを滲ませながら、切々と相手に語りかけるように。
女性の偽らざる想い、そして健気さが薬師丸さんの美しい歌声から透き通って感じます。
正直な告白が聴く者の心へ訴えかけます。
もの悲しい旋律が静かに始まり、徐々に波風が立ち、そしてサビでの怒涛の哀愁が琴線を激しく揺さぶります。
まりやさんのメロディメイカーぶりが遺憾なく発揮されます。
そして薬師丸さんの凛とした歌声と共に魂を浄化します。
違う道を歩き出すふたりに対し少し希望が垣間見られるエンディングを用意するのも、まりやさんらしい。
ポジティヴで優しい眼差しをかんじます。
アレンジは新川 博氏。
80年代っぽいシンセの音がドラマチックに展開されます。
この曲は後にまりやさんがセルフカヴァーします。
現在のところ最新作の『デニム』に収録されていて、僕はセルフカヴァーバージョンでこの曲を初めて知りました。
やはりアレンジとしては達郎さんの方が好きです。
薬師丸さんはソプラノ、まりやさんはアルト。
それぞれ異なったタイプのシンガーなので各々の曲を聴き比べると面白いです。
まりやさんはもう一曲『トライアングル』という曲を薬師丸さんに提供しています。
これもセルフカヴァーがあります。
B面は『DISTANCE』。
これは詞曲ともに薬師丸さんのオリジナルソングです。
薬師丸さんらしい、繊細で優しいメロディとことばを堪能できます。
『終楽章』同様に、一組のカップルを描いていますが、世界は異なります。
若い頃に知り合った恋人のことを振り返っている内容。
当時は一定の距離を保ちながら交際をしていたけれど、いつのまにか心が離れてしまって今は消息も聞かない。でもその彼のことを今でも心の中で想っている、という女性の一途さ、美しい心根。
恋愛感情というよりも友情に近い思いが感じられます。
『終楽章』での悲しい結末とはまた違った恋人たちの物語。
アコースティックな新川氏のサウンドに包まれて、薬師丸さんのハートフルなソングライティングと歌声が瑞々しく輝いています。
やはり音楽家としても薬師丸さんは大変な才能がおありです。
シングルの二曲ともアルバム『SINCERERY YOURS』に収録されています。
先日のコンサートでも勿論、『元気を出して』を歌ってくださいました。
薬師丸バージョンのオリジナルを元にしたアレンジで演奏されていましたが、
エンディングでは、まりやさんのセルフカヴァーバージョンに薬師丸さんが参加したときのラララコーラスのフレーズが歌われていて、薬師丸さんのまりやさんへの尊敬の念が感じられました。
コンサートのパンフレットではまりやさんも寄稿してい入て、お二人はプライベートでも親しい間柄であることが触れられていました。
12月には薬師丸さんのニューアルバムもリリースされますが、まりやさんもアルバムが出ます。
それはまりやさんがこれまで女性歌手に提供してきた楽曲をコンパイルしたもので、ソングライターとしてのまりやさんに焦点を当てた待望の企画アルバムです。
これまでそういったコンピがまりやさんに無かったのがおかしいくらい、まりやさんの作家としての側面は質量ともに充実しています。
タイトルは『MARIYA'S SONGBOOK』とのこと。
『元気を出して』も勿論収録されることでしょう。
こちらも大変楽しみであります。
『終楽章』《RT07-2065》〈作詞・作曲:竹内まりや編曲:新川博〉(04''39)【1988】
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