SSブログ

『エイリアンズ/キリンジ』 [キリンジ]


こんにちは。
前日の堀込兄氏のAORなオータムソングを迎え撃つのはご存知、
弟氏の名曲『エイリアンズ』( WPC6-10108)です!

21世紀、僕にとってキリンジの音楽はある種、精神安定剤のような効用をもたらしてくれます。
彼らの楽曲のクオリティの高さ。メロディの素晴らしさだけではありません。
彼らの歌詞のひねくれ具合はただ、単に奇を衒ったような言葉の語呂合わせや羅列で終わるのではなく、誰も予想出来ない程ユニークで穿った視点から物事を捉えることから生じるセンスの非凡さだと思います。
独特の乾いたユーモアでアナーキーに、ドラマティックに、ロマンティックに日常をスケッチしています。
彼らの斬新な視点の先に感じるハイセンスなエンターテイメントに悦びを感じます。
カート・ヴォネガットやフィリップ・K・ディックといった海外のユニークなSF小説家たちにつうじる“明るい絶望感”がキリンジの歌詞の世界にはある様な気がします。
舌を巻きます。

この『エイリアンズ』も真夜中のありきたりな街の風景の描写がまるでSF映画のように映る瞬間を見事に捉えています。少しニヒルな語り口と淡々とした堀込弟氏のヴォーカルの気怠さ、やるせなさが絶妙な空気感を演出しています。

イントロのアコギのせつないリフの響きに軽い目眩に似た快感を憶え、美しい幻惑の街に誘われます。
落ち着いたトーンの冨田恵一氏のアレンジも秀逸。
まさに非の打ち所の無い名曲。

この曲は美メロ追求家・片寄明人さん(Great3)が編集したメロウでアーバンなジャパニーズ・ポップスのオムニバスアルバムにも選曲されたり、paris matchのヴォーカリスト、ミズノマリさんや鈴木康博さんによるカヴァーバージョンもあります。
まさに21世紀のスタンダードナンバー。

「エイリアンズ」に収録されている他の曲も素晴らしいです。
「イカロスの末裔」は冨田氏による色彩豊かなエレクトロニカ風リミックスバージョンで3rdアルバム『3』にオリジナルが収録されています。この曲も歌詞がユーモラスで奇妙な機上パーティの様子を兄氏がクレイジーに描いています。

もう一曲、弟氏による「銀砂子のピンボール」もリミックスでオリジナルは2nd「47’45’’」収録。ロイ・ウッドっぽいポップなロックナンバーです。このシングルでのクリスマス仕様にデコレーションされたサウンドも聴きものです。
二曲のリミックスともシングルでしか聴けません。

なおこの「エイリアンズ」は10インチのアナログ盤もリリースされました。カラーヴィニール仕様。持っているのですが実家の棚に仕舞ってあって持って来忘れました。近い内に戻って取って来たらそちらのジャケもアップしたいと思います。

『エイリアンズ』〈作詞・作曲:堀込泰行/編曲:冨田恵一〉(06’02’’)【2001】


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 2

deacon_blue

☆ こんにちは。キリンジは『キリンジ』(ナチュラルファウンデーション盤)から『Fine』まではかなり聴きました。90年代後半では彼らとたじまん(オリジナル・ラブ)くらいしかアルバムを追って聴いていた人はいません。

☆ キリンジの歌詞は独特の解釈学が成立しているようで,その周辺が苦手です(苦笑)。そういうところを見ていたのが間違いのもとで,結局聴かなくなってしまいました。馬の骨も全然聴いてないし。。。いやあ情けない(^^;)。ではでは(^o^)/~~~。
by deacon_blue (2007-10-31 12:29) 

都市色

☆deacon_blueさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
あの独特の歌詞の世界は好みが分かれるかも知れませんね。
彼らのひねくれた歌詞はドナルドフェイゲンからの影響もあるのでしょう。サウンドはもちろんですが。
by 都市色 (2007-11-01 09:36) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。