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『IT'S GONNA TAKE A MIRACLE / LAURA NYRO』 [米国ロック/70年代]


こんにちは。
クリスマス特集の間にローラ・ニーロのコロムビアでの初期の4枚が紙ジャケでリリースされました。
大変嬉しいです。

そんな訳で彼女の素敵なシングル盤をご紹介!
 『IT'S GONNA TAKE A MIRACLE』《4-45537》です。

彼女の5枚目のアルバムのタイトル曲です。
僕が初めて買ったローラ・ニーロのアルバムが『GONNA TAKE A MIRACLE』のLPでした。

高校三年の年の瀬の日曜日。
クリスマスも過ぎていて丁度いまごろ。静岡市内で行われた模擬試験の帰り道、年末中古レコードフェアへ立ち寄ったときに入手したのがこのローラ・ニーロの『GONNA TAKE〜』。
くたびれたLPで地方ラジオ局の放出品でした。中古レコードフェアが静岡市内で開催されていることを模試に出かける朝の朝刊で知っていたのです。
このレコードをゲット出来たのは嬉しかったです。
このアルバムの素晴らしさを当時今程音楽に詳しくなかった僕がどうして知ったのでしょう。
ローラといえば『ニューヨークテンダベリー』『イーライと13番目の懺悔』なのに。『GONNA TAKE〜』は比較的、音楽通が好むアルバムでした。
それは以下の通りです。

音楽雑誌『POP-ind's』の1991年の秋号はこの雑誌の休刊を告げる最終号でした。その最後の表紙&大特集がピチカート・ファイヴ。秋頃に出た彼らの最新作『女性上位時代』に夢中でした。その特集で最も目を引いたのが小西康陽、高浪敬太郎両氏が選ぶ名盤200選でした。今まで見たことの無いレコードのジャケットが沢山掲載されていました。A4サイズの雑誌6ページにも及ぶジャケット群と一枚一枚に対して両氏からの熱い一言コメント。
音楽に取り憑かれ始めていた僕にはワクワクする様な財宝に映りました。トンでもない音楽の魔法の秘密を知ってしまったかの様なトキメキを感じたのを憶えています。ピチカートの小西&高浪両氏の音楽に深い影響を与えた音楽だからきっと素晴らしいに違いない!と確信しました。
そう、この『GONNA TAKE A MIRACLE 』はこの200選の中の一枚でした。

この『POP-ind's』誌に掲載された200枚のアルバムは誤解を恐れずに言えば90年代の音楽のモードを左右してしまう内容でした。90年代以降の渋谷系ブーム、サバービアが仕掛けるフリーソウル、サントラブーム、カフェミュージック、和物、そしてモンドミュージックまでも網羅するリストで90年代の再発CDのリリース傾向の指針となりました。
勿論僕にとっても衝撃的な200選記事。僕の音楽観を一変させてしまう内容でした。
同じく、現在も刊行中の音楽雑誌『WHAT'S IN』誌の’90年1月号付録である「ロック名盤300選」にも影響を受けましたが、そちらが表名盤なら『POP-ind's』誌での200選は裏名盤でした。

ローラ・ニーロのレコードに話を戻します。
家に帰って自室に入り、早速レコードをプレイヤーに置いて、針を載せました。
可愛い手拍子とコーラスをバックに唄われるアカペラの『I MET HIM ON SUNDAY』から惹き込まれました。素晴らしいアルバム!!試験の散々な出来も忘れて聴き入ってしまいました 。是まで何度聴いたか分からないくらいの愛聴盤です。
因みにこのレコードは国内盤LPで解説文は日本のドン・カーシュナーこと朝妻一郎氏によるものでした。朝妻氏の解説も面白かったです。
紙ジャケはアナログ盤のジャケットと同様、和紙っぽい絹目のような手触りも再現されています。勿論国内盤の当時の帯まで。

『 GONNA TAKE A MIRACLE』はローラ・ニーロの1971年のアルバムで初のカヴァーアルバムでした。生粋のシンガーソングライターである彼女がデヴュー以前、一介の音楽ファンだった頃に大好きだったR&Bのヒット曲を選んで唄った作品です。
彼女のルーツと言える音楽としてアルバムで唄われたのは、マーヴィン・ゲイ、カーティス・メイフィールド、スモーキー・ロビンソン、マーサ&ヴァンデラスそしてドゥーワップ、ノーザンソウル、シカゴソウル、などなど。まだソウルミュージックについて無知だった僕にそれらの音楽の魅力を教えてくれた出会いの一枚です。
プロデュースはギャンブル&ハフそしてアレンジはトム・ベル。ご存知フィリーソウルの重鎮たち。
興味深いのはギャンブル&ハフ、そしてトム・ベルを起用してのアルバムは単なるフィリーサウンドの再現ではありませんでした。しなやかなリズムと流麗なオケは「Gonna〜」からは聴こえてきません。聴こえるのはローラのピアノと歌を核として、ドラム、ベース、ギターのシンプルなアンサンブルに最小限のストリングス。そして最大の魅力であるコーラスのパティ・ラベル&ラベルのサポート。華麗なサウンドよりも、ローラがかつて愛したソウルクラシックの根源的な「歌唱」の魅力に重きを置いたプロデューサーの判断でしょう。ローラとラベル達のコラボレーションの素晴らしさ。彼女達の活き活きとした歌に女性同士の友情や信頼を感じさせます。
アルバム全体に硬質なニューヨークの街の夜の帳が息づいていて、闇の奥から生まれるストリートシンフォニー、DOO WOPへの憧憬がエコーのように響きます。
既にお気づきの方もおいででしょうが、現在このブログのサイドバーに紹介されているのが『Gonna take a miracle』の発売中の紙ジャケです。
ローラ・ニーロ愛好家の渡辺 亨氏のクリシェを引用するなら、
“このアルバムは掛け値無しの名盤である”。

さぁ、枕が長くなってしまいましたが本日紹介する『IT'S GONNA TAKE A MIRACLE』はこのアルバムの最後を飾る感動的な珠玉のノーザンソウル・バラードです。
テディ・ランダッツォという聞き慣れない名の素晴らしい作曲家との出会いの一曲。
そのテディ・ランダッツォが手掛けているガールグループ、ロイヤレッツがオリジナルですが、ロイヤレッツ版の「『IT'S GONNA TAKE A MIRACLE」のガールグループサウンド然とした豪華なアレンジとくべると地味ですが、ローラ&ラベル達によるハーモニーの美しいイントロから徐々に盛り上がっていくアレンジも素晴らしいです。
エンディングのフェードアウトで聴けるローラとラベル達のコール&レスポンスが心に響きます。
う〜ん、名曲!!

『♪他の人なんて愛せやしないでしょう、奇跡でも起きなければ。
  それほどまで貴方に夢中なの』
う〜ん、熱い!!

B面は同じくアルバムから『DESIREE』。ドゥーワップのTHE CHARTSがオリジナル。ここではたった一人でピアノと向き合った、シンガーソングライターであるローラニーロらしい作品。ヴィブラフォンが効果的。エンディングだけラベルのコーラスが配されています。

最後に、20世紀の終わりに来日したプリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンがインタビューでローラ・ニーロの大ファンと云うコトを告白したときは嬉しかったですね。インタビュアーの渡辺氏が後でパディにローラのライヴアルバム『光の季節』の完全版(日本のみのリリース)をプレゼントしたそうです。

思い出話に花咲かじいさんでしたが、ちょっといい話で本日はこの辺で。

『『IT'S GONNA TAKE A MIRACLE 』〈words & music TEDDY RANDAZZO 、BOBBY WEINSTEIN、LOU STALLMAN 〉(03’20’’)【1971】

http://www.youtube.com/watch?v=ytLcxxvaRuI&feature=related


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コメント 2

cytoron

どうもです。
ローラ・ニーロのシングル、なにを選ぶのかなーと
楽しみにしてました。
「IT'S GONNA TAKE A MIRACLE」いいですねー
このロイヤレッツのオリジナルは90年当時なかなか聞く事が
出来なくて達郎氏の番組でやっと聞けた事を思い出します。

生前『GONNA TAKE A MIRACLE』の続編も作られる
との噂もありましたが今となっては夢ですね。

それでは都市色さん今年はいろいろありがとうございました。
また来年もよろしくお願いします!
by cytoron (2007-12-27 20:38) 

都市色

こんにちは、cytoronさん。
コメントありがとうございます!
ロイヤレッツのアルバムはめでたくCD再発されましたね。
このアルバムも200選の一枚でした。

こちらこそcytoronさんにはお世話になりました。
これからもブログ楽しみにしています。
良いお年を!!
by 都市色 (2007-12-28 11:56) 

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