『林檎殺人事件／郷ひろみ＆樹木希林』

こんにちは。
今年も間もなく終わってしまいますね。
今年を振り返ると忘れられない偉大なる作詞家、阿久 悠さんの死。
本日は、阿久 悠さんの作品を取り上げようと思います。
少し前のミュージックマガジンで「歌謡曲」特集が組まれていました。
在りし日の「歌謡曲」は文字通り「歌は世につれ…」の如く、時代の変化に曝され規制緩和、規格変更、流通システムの変化、価値観の多様化、規模縮小、などによりパワーを失ってしまいました。大晦日に騙し騙し催されている音楽特番（特に民放）に何処か居心地の悪さを感じています。
70〜80年代前半の歌謡曲を産湯に浸かった身としては淋しいです。その全盛期の立役者である阿久 悠さんの訃報は追い討ちをかけるようにショックでした。不在の意味の大きさを痛感しています。阿久さんが作詞家にならなかったら70年代で歌謡曲は滅んでいたかも知れません。

阿久 悠さんの歌詞の魅力は壮大な虚構性だと感じています。つまり大ボラです。インパクトの大きな3分のエンターテイメント。正統派の作詞家というイメージからかけ離れたアウトサイダーな作風が実は多い気がします。既存の歌謡曲を逸脱する世界。
ロック／ニューミュージック界から作詞家になった松本 隆さんの作品の方がむしろ王道的な感じがします。文学的で少年性に立脚した作風は特にアイドル歌謡ではメインストリームといえるでしょう。
山本リンダさんやピンクレディーの作品など硬派な外見からは想像出来ない程狂っています。
70年代の作品の切れ味鋭い詞の世界はイカレていて、サイコーですね。ユーモラスやアイロニカルです。

前置きが長くなりましたが本日紹介するのは僕が大好きな阿久 悠作品で「林檎殺人事件」《06SH-355》です。
タイトルからして、どんな内容か気になってしまいます。
しかも歌うのは郷ひろみさんと樹木希林さん。テレビドラマ「ムー一族」（1978-1979）ですね。
とってもコミカルな楽しい歌詞と穂口雄右氏のサウンド。
シンセの軽やかなサンバのリズムと流麗なストリングスが絡み合うイントロに頬が緩みます。
なかなかファンキーなベースラインとギターのカッティングも気に入っています。
ユニークでメロウな旋律とリズムにユーモラスな歌詞を上手く載せています。
♪殺人現場に〜　という唄い出し、メロディと歌詞の見事な調和が生まれています。
♪フニフニ…というサビもクレイジーです。
♪ああ　哀しいね〜　哀しいね〜というフレーズも大好きです！！
この曲を更に楽しくしているのが樹木希林さんです。
デュエットと言う割には余り唄っておられませんがそれでも存在感抜群です。樹木希林さんが唄うのと唄わないとでは全く曲のムードが変わってしまうでしょう。素晴らしいですね。
お二人の可愛い振り付けもサイコーです。

B面は郷さんのソロで「また会える？」。この曲も阿久 悠＆穂口雄右コンビ。
ファンキーでメロウなロックナンバーに阿久悠さんによる日常描写の鋭い視点が光っています。ドラマみたいな世界です。こちらも味わい深い一曲。

スケールの大きな歌詞世界だけでなく、粋でユーモラスな作風も阿久 悠さんの魅力です。
郷ひろみさんのコミカルなコメディのセンスも見逃せません。

’70年代の歌謡曲の肥沃な土壌から生まれたポップスでした。楽しい！！

『林檎殺人事件』〈作詞：阿久悠／作曲・編曲：穂口雄右〉（04’19’’）【1978】

☆さて、本日の記事が今年最後のブログの更新になります。
今年の夏の終わりから始まったシングル・オンリーのブログ、多くの方に読んでもらえて嬉しく思います。有り難うございました。
この場で紹介したシングル達の魅力が少しでも皆さんに届いたらこんなに嬉しいことはありません。
来年も宜しくお願いします。来年は更にヴァラエティ豊かにシングルを紹介出来たらと思います。
アニソン特集も予定しています。お楽しみに。
来年は1／4の更新を予定しています。

それでは皆さんにとって2008年が素晴らしい音楽との出会いの多き年になりますように！
そして僕にも…。

コメント 4

えっ！　この曲も阿久悠の作詞だったのですか！
本当に、懐が深いというか、幅が広いというか、引き出しがいっぱいあるというか、すごい作詞家でしたね。

♪フニフニ　フニフニ　フニフーニ
の部分の歌詞の斬新さには、当時も非常に驚いた記憶があります。

☆
シングルに特化したブログというのは、なかなかアイディアだと感心しております。
来年も、楽しみにしております！
どうぞ、良いお年をお迎えくださいませ！
by びっけ (2007-12-29 00:25) 

☆びっけさん、
コメント＆niceありがとうございました！！
阿久悠さんの魅力を語るには未熟ですが、知られざる作品を探していきたいです。

びっけさんも健やかな年末年始をお迎え下さい。
by 都市色 (2007-12-29 18:32) 

このシングルほしい（笑）凄くいいっすよね。
by ルースターズ (2008-02-02 14:47) 

こんばんは。
ルースターズさん、コメント＆nice有り難うございます！
この曲のユーモア、良いですね。
この時代の歌謡曲の懐の広さを感じます。
最近J−popに不足している要素です。
by 都市色 (2008-02-03 02:05)