『CHRISTMAS FOR YOU / ROTTEN HATS』：03'54''：So-net blog

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『グッドモーニング！サンタクロース／やま..｜『12月24日／ピチカート・ファイヴ』ブログトップ

『CHRISTMAS FOR YOU / ROTTEN HATS』　[ロッテンハッツ] [編集]

こんばんは。
もしかしたら僕が一番好きなクリスマスソングはこれかも知れません。
僕の大好きなバンド、ロッテン・ハッツのクリスマス・ソング『CHRISTMAS FOR YOU 』《UKRR-6004》です。

これは彼らのインディーズのデヴュー盤『ROTTEN HATS』と同時にリリースされたシングルで1991年というアナログ盤絶滅期に発表されたレアな7インチです。アルバム未収録。
「この曲、良いよね！」とか「このシングル持ってるよ！」とか周りの音楽友達から全く聞いたことは無いのですがとても素敵な音楽です。

タイトル曲はJAZZYでラグタイムでアコースティックでムードあるバラード。
ちょっと渋いですが名曲です。
クリスマス・イヴの夜更け、賑やかな通りの街明かりを見ながら、窓を開けて独りそっと呟く『♪CHRISTMAS FOR YOU…』。独り身のクリスマスの淋しさを甘く切なく唄っています。ヴォーカルの真城めぐみさんの素晴らしい歌唱に涙。

初めてロッテン・ハッツを聴いたのは’91年の年末のラジオからでした。
「butterfly」という彼らのアルバム収録曲での真城さんの朗らかで爽やかな歌声に瞬く間に魅了されました。心がポカポカして冬なのに気分は軽やかに小春日和でした。
ロッテン・ハッツって僕には夢の様なバンドです。
日本のラヴィン・スプーンフル。
このバンドはとてもユニークでした。
バンドのメンバーの殆どが『ネオGS』出身というのが面白いです。
サイケだガレージだと言って熱くタイトなビートを刻んでいたのに一転、ブルースだフォークだスウィングだとレイドバックしちゃうんだから。この“ネオGS”と云うユニークなムーヴメントの出自は見逃せません。
さらに、ネオGSの強者達に囲まれたメインヴォーカルはバンド経験ゼロでヴィニールジャンキーのモッズ青年・片寄明人さん。
彼らの面構えは実にカッコいいのです。敢えて、おシャレなネオアコに背を向けて“いなたい”ルーツミュージックを選択するセンスに都会出身の彼らの拘りを感じさせます。
彼らの魅力はコーラス、ハーモニーの美しさ、そしてメンバーの殆どがそれぞれヴォーカルを担当したり作曲したりシンガーソングライターの才能を持っていたと云うコトです。その有能な個性が多彩過ぎてバンドは短命に終わってしまうのですが、彼らがインディーズやメジャーに残した三枚のアルバムは素晴らしいモノです。
後にバンドは見事に二つに分裂して“グレイト3”と“ヒックスヴィル”として90年代の音楽シーンを個性的に活躍していくことはご存知の通りです。彼らの音楽の魅力が有形無形に90年代の音楽シーンを豊かにしていったことは余り知られていない気がします。
真城めぐみさんのコーラスワークを羅列していけば90年代のロックシーンの豊かなクロニクルになるでしょう。世代やメジャー／インディーズを超えた日本のロックの錚々たるミュージシャンのサポートワークはもっと評価されるべきで、彼女こそ90年代以降の伊集加代子だと言う意見に異論は無いでしょう。
ギターの木暮晋也氏はオザケンやフィッシュマンズ、オリジナルラヴの有能なサポートメンバーでした。
ベースの高桑圭氏はボニーピンク、Cocco、CHARA、ラヴサイケデリコetc... 。佐野元春さんの最新作「coyote」でも彼のベースプレイは光っています。
プレイヤーとしてソングライターとしても素晴らしいミュージシャン集団なのです。
ロッテンハッツが如何に素晴らしいかを語っていては切りがありませんのでここら辺で割愛させて頂きます。確かにこのバンドの分裂劇は見事なまでの発展的解消であることは間違いないですし、彼らの多彩な音楽センスを表現するにはロッテンハッツという器は狭過ぎたのですが、ロッテンハッツという希有なバンド自体も十分魅力的であり、もっとスポットが当たるとファンは嬉しいのです。

話がまたも本題と逸れてしまいました。
シングルのB面は「サンタが街にやって来る」のジャグバンドスタイルの楽しいカヴァー。この曲も真城さんのヴォーカルです。メンバーのコーラスも愉快です。
もう一曲、B面に片寄さんのオリジナルソング『words of love』が収録されています。インディーズ盤にも入っていますし、メジャーでのセカンドアルバム『スマイル』にもアレンジを大幅に変えて再録されてます。この曲も良いです。

とても素敵なひとりぼっちの“ブルー・クリスマスソング”です。