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『夢で逢えたら/吉田美奈子』 [ナイアガラ]

夢で逢えたら.jpg

こんばんは。
この時期になるとソワソワするナイアガラー多数。
僕もその一人。
そういう訳でこのドリーミィーなポップ・スタンダードをどうぞ。

吉田美奈子さんの『夢で逢えたら』。
春刻の宵にぴったりな名曲。
僕は春のほのかに暖かい空気感が好きです。
「春眠暁を覚えず」という言葉がありますね。
夢見心地な春の夜。
夢とうつつの境目が曖昧な時間。
そんなイメージがこの「夢で逢えたら」の世界観に通じている気がします。

この名曲が収録されている美奈子さんの1976年のアルバム「FLAPPER」も春のリリースでした。
僕も高校一年の春先にCDで買ってずっと聴いてました。
元々この曲を知ったのは中学頃、元旦に桑田さんがラジオの特番のパーソナリティをやっていてこの「夢で〜」をオンエアされました。たしか桑田さんはこの曲をガールフレンドと部屋でよく聴いた思い出の曲と語っていました。新春のラジオからこの曲が流れて来たときの華やかさは忘れられません。
桑田さんもライヴでカヴァーしていましたね。

「FLAPPER」はヴァラエティに富んだアルバムで豪華な作曲陣、プレイヤー陣でした。
矢野顕子、細野晴臣、佐藤 博、林 立夫、鈴木 茂、松任谷正隆、浜口茂外也、大貫妙子、伊集加代子、山下達郎、矢野 誠、松木恒秀、高水健司諸氏などなど、そしてプロデュースは村井邦彦氏。う〜ん、ゴージャス。
一曲目の美奈子さんのオリジナル「愛は彼方」から素晴しいですよね。スリリングなサビのコーラスにやられました。二曲目のアッコちゃんの「かたおもい」のけだるい甘美なメロディも良いんです。
五曲目の細野さんのエキゾチックな舶来ポップス「ラムはお好き?」のユーモラスでアダルトな雰囲気。その他、ユニークな名曲が多いですね。
その中でも白眉の超名曲が「夢で逢えたら」です。
魔法ですよ、これは。

大滝さんなりのスペクターサウンドへの挑戦の最初の到達点。
曲の着想とサウンド、そして歌詞が違和感なく密接しています。
歌詞、メロディ、歌唱、アレンジ、演奏の全てが有機的に功を奏していると思います。
作詞は大瀧さん自身。ノベルティものが多かった70年代にこのような作風は珍しかったですね。
この歌詞も味わい深いですね。松本 隆さんの世界とはまた少し違いますね。
松本さんのはきれいにまとまっているのに対し大滝さんのは朗らかな雰囲気がします。

大滝さんのプロデュース作にはシリア・ポールさんの「夢で逢えたら」(1977)もありますが、総合的に美奈子さんでのサウンドがやっぱりすきです。シリアさんのバージョンのミステリアスな雰囲気も大好きですよ。
さて、美奈子さんの天賦のヴォーカル、大らかで魅惑的ですよね〜。
バックはキャラメルママですよね。林 立夫さんのイントロのドラミング、そしてハンドクラップ。
にぎやかなパーカッション。おもちゃをひっくり返したような音が散りばめられています。
浜口茂外也さんのフルートのフレーズは浜口さんのアイディアだそうですね。
ガールグループ風の♪ダンダン・シュビドゥビ・ワウワウ〜なコーラスも楽しい。
達郎さんのストリングスアレンジも比類なき美しさ。
ベストテイク!!

この曲はカヴァーバージョンの多さでも有名ですね。
僕も把握し切れていませんが、女優さんや女性アイドルのカヴァーは沢山ありますね。
ラッツ&スターのカヴァーが一番ヒットしたのは素敵な皮肉ですが。
ラッツのヒットが出るまでは女性歌手によるチャートに置けるヒットはなかったのですが、途切れることのない女性歌手の数々のカヴァーの口伝が名曲ぶりを物語っています。

♪春風 そよそよ 右の頬を撫で あなたが私の元へ駈けて来る〜

このフレーズが良いですね。夢の世界の彼方から思いをよせるひとが現れるなんて…。
それから間奏で有名な語りがありますよね。
語りも良いですよね。
そういえばこの曲と同時進行で制作されていた「ナイアガラ・トライアングルVOL.1」も間奏のセリフや語りが意外と多いですね。

そしてエンディングの転調、目眩がする程ドラマティックで効果的ですよね。
コーダの美奈子さんの「ラララ〜」、フェイク、良いですよね。深い余韻を残しています。
楽曲のフェイドアウトの聴こえるか聴こえないかの寸前でテンポが変わるのにお気づきでしょうか。
あのリズムチェンジが良いんです。

B面は「LAST STEP」。
達郎さんのオリジナルでのちにソロデヴューアルバム「サーカスタウン」でも取り上げられます。
美奈子さんのバージョンはスウィングしてますね。
達郎さんのバージョンはウェストコーストのドゥーワップ調です。

因みにこのシングルは1978年リリース。
アルバムが1976年に出たのでかなり遅れてのシングルカットでした。
ジャケットのイラストはペーター佐藤氏。

それでは、この曲を聴いてオヤスミナサイ…。

『夢で逢えたら』《RVS-536》〈作詞・作曲:大瀧詠一/編曲:多羅尾伴内、山下達郎〉(03’47”)【1978】


FLAPPER

FLAPPER

  • アーティスト: 吉田美奈子
  • 出版社/メーカー: BMGメディアジャパン
  • 発売日: 1999/06/23
  • メディア: CD



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コメント 8

いとぞう

僕もこの曲大好きです。本当にドリーミーという表現がピッタリのナンバーですよね。たくさんのカヴァーが出てますがやっぱり吉田美奈子さんのが一番いいです。ポカポカ暖かくなってきたこの頃、この曲を聴きながらウトウト夢に入っていけたら至福の時でしょうね。
割と最近だとキンモクセイがカヴァーしたバージョンもなかなかいいと思います。CMで流れてましたよね。残念ながらキンモクセイは解散してしまいましたが。
by いとぞう (2008-03-20 23:30) 

ニコ

flapperいいですよね~
捨て曲無し!
特に「夢で会えたら」は素晴らしい!
うっとりとしてしまします。
このアルバムでの大滝vs細野作曲対決も
個性がバリバリ出てておもしろいですよねw

B面がラストステップなんですね~
達郎のコンサートでこの曲のギター弾き語りが涙出るほど好きです!
(…アコースティックライブ当たらないかなぁ・・)
by ニコ (2008-03-21 23:55) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!!
思い焦がれている意中の相手が夢に現れたときの気持ち。
そんな夢で朝目覚めるとせつないような嬉しいような…。
儚いけれど素敵な出来事ですね。
そんなイメージにピッタリな名曲ですね。
キンモクセイもまた活動再開すると良いですね。
by 都市色 (2008-03-22 02:24) 

都市色

>ニコさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!!
大滝さんと細野さんの作品はどちらもユーモアがあって良いですね。
細野さんの「ラムはお好き?」のユニークな男性の声は細野さんですよね?面白いですね、始めは誰か分かりませんでした。
達郎さんの「ラストステップ」のライヴでの弾き語り、一流の芸ですよね。
僕もミニライヴ行きたいです!
by 都市色 (2008-03-22 02:28) 

ニコ

「ラムはお好き?」の声は山下達郎氏らしいですよw
ビックリですよね~
お互いミニライブ当たりますように・・・!!!
by ニコ (2008-03-22 22:27) 

都市色

こんにちは、ニコさん。
あの声は逹っつぁんでしたか。
そういえば「イエローキャブ」という達郎さんの曲でのユーモラスな声に似ているかも。
by 都市色 (2008-03-23 07:41) 

ルースターズ

ゴージャス!そして都市色さんの解説抜群!!
by ルースターズ (2008-03-25 19:51) 

都市色

>ルースターズさん、こんばんは。
コメント&NICEありがとうございます!!
解説といえるほどの内容ではないですがお誉め頂き嬉しいです。
70年代の作品をもっとこれからも取り上げていきたいです。
よろしく。
by 都市色 (2008-03-26 00:32) 

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