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『約束の橋/佐野元春』 [佐野元春]

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こんばんは。
本日は佐野元春さん。
1989年の名作アルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』のデラックスエディションのリリースを記念して、先行シングルとなったこの曲を取り上げます。
天皇崩御、天安門事件、ベルリンの壁崩壊、などの激動の時代に相応しいアルバム。
『時代は変わる』という時代の息吹を感じさせるアルバム。
炭坑のカナリアの如く、時代のムードを察知し、ロックンロールに刻み込んだアルバム。
「ヴィジターズ」(1984)以来の海外レコーディング。
一世を風靡したヒップホップサウンドを取り入れたニューヨーク録音と打って変わって、ロンドンは伝統のパブロックサウンドに門戸を叩き、熟練したミュージシャンとの息のあった純血のバンドサウンド。
アルバムを貫く、無駄の無いシャープで硬質な音質が印象深いです。
そしてこのアルバムでは久しぶりに共同プロデューサーを立てて制作されています。
コステロやニック・ロウのレコーディングを手掛けたコリン・フェアリーです。

そして「ナポレオン〜」でのオリジナリティ豊かな文学的な歌詞。
日本語の響きとタフな演奏が共鳴して瑞々しいです。
その美しい結晶と収穫が「約束の橋」だと言えるでしょう。
シンプルなメロディと歌詞の深い結びつきを感じさせます。
「今までの君は間違いじゃない」
このフレーズは印象的でした。
当時僕は16才。
春に高校に進学しました。
この曲を初めて聴いたのは1989年の三月の終り。
当時、レギュラーを持っていた元春のラジオ番組の最終回。
最後と云うコトで沢山のリスナーと元春の電話のやり取りが中心のオンエア。
元春らしいファンとの温かいコミュニケーションを感じさせました。
番組の終りで「約束の橋」が紹介されました。
それはそれは希望に満ちた響きを持って僕に届きました。
新しい門出を祝ってくれたような気持は忘れられませんでした。
今でも元春のシングルでベストにはいる曲です。
澄んだピアノの音色からエネルギッシュなバンドサウンドがバクハツする瞬間が堪りません。



このPVにはレコーディングに参加したパブロック系のミュージシャンたちの演奏が見られます。
アトラクションズのピート・トーマス、ブルース・トーマス、ブリンズレイ・シュウォーツのブリンズレイ・シュウォーツ&ボブ・アンドリュース。
このボブ・アンドリュースが当時プロデュースしていたとあるバンドのデヴュー前のデモ音源を聴かされた元春がこの音源にアドヴァイスをしたという裏話もあります。
その曲こそがシングルになったザ・ラーズの「THERE SHE GOES」(1988年バージョン)です。

さて「約束の橋」に話題を戻して、曲には、のちにTVドラマの主題歌の為にヴォーカルと一部の楽器を吹き込み直して再リリースされた1992年の別バージョンも存在しますが、断然1989年のオリジナルバージョンが好きです。

B面は「君が訪れる日」。
アルバム未収録音源。
すこし60年代中期のビートルズを思い出させます。
ある日曜日の午前中のくすんだ街並のスケッチのような曲の世界。
今回の特別盤には何故か収録を見送られていますが残念です。
2000年にリリースされた編集盤「grass」には入っているところを見ると元春にとっても思い入れのある曲かもしれませんが。

「約束の橋」は佐野元春最後のアナログシングルでした。
今回僕がご紹介しているのもこの7インチです。

最後に、
今回の特別盤の目玉はレアトラック集と、ライヴDVD。
このライヴ映像は1989年夏の横浜スタジアムでのハートランドを従えての熱くハードな演奏が楽しめるのですが、僕は生まれて初めて観た元春のライヴと云うのがこの横浜スタジアム公演。
雨でした。


『約束の橋』《07-5H-3107》〈作詞・作曲・編曲:佐野元春〉(04'15'')【1989】


『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』 限定編集版(Limited Edition)(DVD付)

『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』 限定編集版(Limited Edition)(DVD付)

  • アーティスト: 佐野元春
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct(Japan)Inc.(SME)(M)
  • 発売日: 2008/06/04
  • メディア: CD



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コメント 5

いとぞう

今日、「ナポレオンフィッシュ~」届きました!

取り急ぎDVDを先ほど、ちょこっと観ましたが、いや~凄い!鋭い!ヒリヒリする!カッコイイ!
これからまたじっくり観ます&聴きます。感想はまた改めて。

「約束の橋」僕も断然オリジナルですね。最初のピアノの音色からしてオリジナルのほうがイイです、やっぱり。発表当時、何度も繰り返し聴きました。はじめて聴いた時の印象は「とても綺麗で瑞々しい歌詞だな。希望に満ちた曲だな」と。

当時、CDシングルで買いましたが、こうしてジャケットを見ると、最後となったアナログ盤のジャケットのほうがイイですね。CDのほうは元春の写真がこれの一部分しか写ってないし。
by いとぞう (2008-06-04 20:57) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!

「ナポレオンフィッシュ〜」、まだ特別盤は届いていません。
でも間もなく聴けるでしょう。
いとぞうさんにとっても僕にとってもこのアルバムから深く影響を受け、元春に更にのめり込むきっかけになりました。
本当にすばらしアルバムですね!
by 都市色 (2008-06-06 06:45) 

DEBDYLAN

僕も買いましたよ~♪
まだちゃんと聴いてませんが^^;

そして僕もこのライヴ客席で観てました。
観たら懐かしさでいっぱいになりそうなので怖くてまだ観ていません(笑)

この曲。
イントロのピアノでぐぐぐって引き込まれちゃいます。

「SOMEDAY」にしても、この曲にしても。
ただ言葉にするとダサくなりそうなくらいベタで純真な言葉。
それを普遍的なPOP SONGにしてしまう元春って。。。

本当に言葉を大切に音楽を愛しているアーティストだと思います。

by DEBDYLAN (2008-06-13 00:36) 

都市色

>DEBDYLANさん、こんばんは。
コメント&NICEありがとうございます!
横浜スタジアムのライヴもご覧になっていたのですね!
元春の歌詞はまっすぐで美しいですね。
陳腐な人生応援歌とは一線を画す素晴しい歌詞です。

それと話は逸れますが、
達郎さんの先日のアコースティックライヴの模様を今週と来週の「サンソン」でオンエアするそうですよ!楽しみです。
by 都市色 (2008-06-13 18:57) 

都市色

うっちさん、NICEありがとうございました!
by 都市色 (2008-06-14 09:39) 

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