『あんまり小唄/ウルフルズ』 [邦楽ロック/00年代]
こんばんは。
今夜はウルフルズです。
『あんまり小唄』。
タイトルはなんだか演歌っぽいですがド演歌ならぬ、どブルースです。
これはダウンロード販売のみのシングル。
今年の初頭、iTunesで全米iTunes USA ブルース・チャートで日本人初の6位を獲得したという快挙を成し遂げたことで有名ですね。
聴けば判るドの付く程ディープなブルース。
戦後アメリカを代表するブルース界の巨人、エルモア ジェームズのサウンドに敬意を表したブルース。ウルフルケイスケ氏による入魂のエルモア印なエレクトリックギターの三連のボトルネック奏法の衝撃的な響き。決して良い音ではないんですが、この歪んだ音像こそがロック。
そしてトータス松本氏のヴォイス。
ワイルドですけど、どこか疲労感のこもった、ブルーなムードが沁みています。飲み過ぎて胃腸の調子がよく無さそうな。哀愁が漂うのです。
シンプルな歌詞もそのまんま。
♪あんまり 元気ない
あんまり 元気ない
夕べからちょっと 腹減らない あんまり
そんなに 元気ない
そんなに 元気ない
見た感じより 力入んない あんまり
http://jp.myspace.com/ulfuls
たった六行の歌詞の行間から調子の悪さがこみ上げてきます。
エンディングのトータス氏の「あ〜ぁ」もイイ感じ、いや悪い感じです。
ブルースってもともと、人生の悲哀のこもった厭世的な音楽なので実にブルースらしいといえばらしいです。調子悪くて当たり前。
ブルースで辛い現実を歌い飛ばす。このペーソスをカッコいいブルースで笑い飛ばすのが良いでしょう。
この曲にはとっておきのエピソードがありまして。
ウルフルズの共同プロデューサー、伊藤銀次さんがTV番組で細野晴臣さんと久々に共演したときに、久しぶりと云うコトで「お元気ですか?」とご挨拶した所、細野さんは『いや あんまり…』と応えたそうです。このエピソードをネタにトータス氏がこの曲が作ったそうです。
ここにも細野さんの影響力が!!!!
『いや、あんまり…』としみじみコメントする細野さんがなんとなくイメージ出来ます。細野さんらしい、エピソードで大好きです。こういうダウナーな細野さんこそが細野さんの真骨頂なのかも。
『TOKYO SHYNESS』のライヴDVDで「う〜ん、盛り下がってきたぁ!!」という細野さんのコメントが印象に残っています。
このレコーディングでは銀次さんもハーモニカで参加しています。
調子悪いムードの充満した演奏が素晴しい。
景気の良い曲とは云えませんが聴いた後、不思議とカラッとした気分になれます。
ユーモアのセンスが素晴しいからでしょう。
たった二分足らずの曲ですがとても充実したジャンクな疲労感を楽しめます。
ウルフルズのセンスの素晴しさには脱帽です。
日本人として誇らしいブルースです。
最新作『KEEP ON,MOVE ON』収録。
仕事が終わった後、一杯のお酒を飲み干すようにダウンロードで一曲のブルースを軽くあおるのも一興。
宴会シーズン、飲み過ぎにご注意を。
『あんまり小唄』〈作詞・作曲:トータス松本/編曲:ウルフルズ&伊藤銀次〉(1'56'')【2008】
ウルフルズの歌詞もいいけど
細野さんのエピソードもいいですねw
ウルフルズは大昔大阪の小さなライブハウスで見たことありましたが
ライブも楽しくパワフルで格好いいですよね。
「あんまり小唄」聴いてみたいですねー。
by ニコ (2008-11-14 15:19)
>ニコさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!!
ライヴは絶対楽しそうですよね。
サーヴィス精神旺盛で。
関西の笑いはとても生活に根深くてその自然な空気が「あんまり小唄」にぴったりですね。
リンク先のウルフルズのマイスペースでちょっとだけ聴けます。
by 都市色 (2008-11-15 05:04)
>うっちさん、NICEありがとうございます!
by 都市色 (2008-11-27 01:04)