SSブログ

『海岸線のホテル/ザ・タイツメン』 [サントラ]

sc001d5bb8.jpg

こんばんは。
映画「GSワンダーランド」はご覧になりましたか?
いやぁ、素晴しかったです。
日本が世界に誇る音楽文化、昭和元禄文化の徒花、グループサウンズ《GS》への深い理解と愛情を感じるB級テイスト溢れる名作。新人の本田隆一監督のGSへの敬意と愛情が貫かれています!素晴らしい!
ロックンロールを60年代の日本人が誤解、曲解、拡大解釈することで唯一無二の世界観が生まれました。まさにワンダーランド。
物語もコメディタッチでテンポ良く、ポップな仕上がりで楽しめました。
主役の栗山千明、石田卓也、水嶋ヒロ、そして浅利陽介諸氏らによるフレッシュな顔ぶれの熱演も楽しく素敵な青春映画でもありました。

さて、そういう訳で劇場公開を記念してこのシングルを。
この映画の主役の若者たちが結成したグループサウンズ、《ザ・タイツメン》による幻のヒット曲『海岸線のホテル』です!!

なんとこの映画の為に橋本 淳、筒美京平両氏によるゴールデンコンビが新曲を書き下ろしているのです。
このニュースを聞いたときにはかなり興奮しました!
何故なら、筒美京平さんは1960年代中期、まさにグループサウンズ ブームと供に世に出た新世代の作曲家だからです。
急激なGSブームにより、従来のレコード会社専属の作家だけでは間に合わずフリーの作曲家に脚光が浴び始めたのです。当時、レコード会社の洋楽担当ディレクターだった筒美京平さんは友人であり、作曲家すぎやまこういち氏のアシスタントであった橋本 淳さんの勧めもあり、作曲家デヴューするのです。
《筒美京平》というペンネームで作曲をして世に出た初めての作品がザ・サベージの『涙をふいて』(1966)でした。このグループは寺尾 聰さんが在籍していました。作詞は勿論橋本氏。
という訳でこの映画の主題歌を創ることは必然という訳です。

前置きが長くなりました。
ザ・タイツメンは、GSブームに遅れを取った演歌専門レコード会社のファインレコードから急遽デヴューしたグループサウンズという設定です。栗山千明嬢が男性メンバーになりすまして無理矢理でっち上げられたグループ。
『タイツ履いてニュー歌謡』をキャッチフレーズに白いタイツに王子様ルックの四人組。
この何でもアリな雰囲気がいかにも混迷のGS末期を象徴しています。
物語の設定が1968年であり、この当時すでに橋本&筒美コンビはいしだあゆみさんの大ヒット曲「ブルーライトヨコハマ」を世に送り出していた頃です。
このシングルのジャケットからしてグループサウンズの匂いがプンプンしています。
このアートワークはサリー久保田氏。ネオGSの雄、ファントムギフトのベーシストであり、今回の映画の音楽も担当しています。この映画ではサリー氏のオリジナル作品も使用されていて、GSフリークの久保田氏のGS愛が漲って迸っています!
ファントムギフトのシングルもいつか取り上げましょう。
この映画のサントラ盤も楽しいです。

『海岸線のホテル』は筒美京平さんがオックスに提供した名曲『ダンシングセブンティーン』やズーニーヴーの『ひとりの悲しみ』(元メンバーの尾崎紀代彦氏による大ヒット曲『また逢う日まで』の原曲)を彷彿させるスタックスソウル風なアップテンポの軽快なポップス。実際、タイツメンはオックスがヒントになっていると考えられます。オックスのデビューシングル『ガールフレンド』のジャケは王子様ルックにタイツ姿です。
この曲のアレンジは勿論久保田氏、ホーンの編曲を高浪敬太郎氏が手掛けています。
GSを知り尽くしたふたりの手腕が光っています。
ヴォーカルの石田卓也氏の爽やかな歌唱とともに今聴いても鑑賞に耐えうる名曲に仕上がっています。

♪世界は僕を待っていた〜

ザ・タイガースの映画に「世界が僕らを待っている」と云うのがありましたね。
なお「海岸線のホテル」とは桑田さんがサザンの歌(「ホテル パシフィック」「夏をあきらめて」)でとりあげた「茅ヶ崎パシフィックホテル」のコトです。




そしてカップリングは劇中で登場するフレッシュ フォーという、どうみてもフレッシュじゃない中年四人組によるナンバー『あなたのフリをして』。
メンバーは温水洋一、大堀こういち、緋田康人、村松利史諸氏、名脇役たちによるムード歌謡。
これは内山田 洋とクールファイヴ サウンドですね。
1969年に大ヒットする『長崎は今日も雨だった』を彷彿させます。温水氏の歌は前川清氏にはさすがに及びませんが、歌心を感じさせる熱唱を披露してます。この曲を創ったのが淡谷三治&盆帆与四両氏、あのメンズ5のメンバー。「ヘーコキましたね」のヒット曲で有名ですね。

このように、マニア心をくすぐる濃い顔ぶれによるディテールの細かい音楽の貢献があってこその映画の成功だと思います。この映画の音楽プロデュースを務めているのがソリッドレコードの高 護氏。日本のロック史に造指の深い高氏の監修も大きいです。
このシングルもサントラ盤もソリッドレコードからのリリース。
この映画を記念して幻の名盤『ソリッドレコード 夢のアルバム』のリイシューも是非是非!!

このシングルにはその他、「海岸線のホテル」のライヴバージョンや二曲のカラオケも入ってます。
初回盤にはDVDも付いていて、「海岸線のホテル」のPVや映画の見所を紹介するメイキングや予告編も入っていて充実した内容です。

1960年代に青春を過ごしたかったと悔やんでしまうような映画。
あの時代の息吹を追体験したい方、急げ、劇場へ。
昭和へワープだ!

『海岸線のホテル』《CDSOL-1259》〈作詞:橋本 淳/作曲:筒美京平/編曲:サリー久保田/管編曲:高浪敬太郎〉(3'25'')【2008】


GSワンダーランド・オリジナル・サウンド・トラック

GSワンダーランド・オリジナル・サウンド・トラック

  • アーティスト: サリー久保田とカジノ・ジョーカーズ
  • 出版社/メーカー: ウルトラ・ヴァイヴ
  • 発売日: 2008/11/15
  • メディア: CD



nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 1

都市色

>アコさん、こんにちは。
nice ありがとうございます!
by 都市色 (2008-12-12 16:31) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。