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『冬のアメリカンチェリー/南 佳孝』 [邦楽ロック/90年代]

アメリカンチェリー.jpg

こんばんは。
今夜は南 佳孝さんのシングル。
南氏の独特のビターで艶っぽい歌声、かっこいいですよね。
シヴィレます。
こんなコクのある声に生まれたら唄うしか無いですよね。

1998年の秋のシングル。
このシングルで作詞をしているのは“かせきさいだあ三”こと加藤丈文氏。
松本 隆直系のシティポップスの見事なパスティーシュです。
かつて愛し合った男と女の現在の微妙な緊張感の機微をクールに表現しています。
実にカッコいい、技ありな歌詞だと思います。
ハードヴォイルド小説調の文体も憎らしい。

♪「まばたきさえ しないのだろう?」
 決めぜりふを冬の彼女に
 「無愛想な景色ね」と
 然りとて返す言葉も無くて
 思わず「好きだ」と言えば聞き返す
 会話の切れ間に覘いたほほえみさ

 時間のシュプールを 2人で抜け出して
 口付けのチェリーは ぬけがけの風!
 瞬いたスカートは まるでオーロラさね 
 零れたセリフなら「さぁね」と嘯く

マスキュリンな大人の色気を湛えた南氏の声には気障なセリフが実に似合いますね。
嫌みがありません。
上質でマイルドなメロディ。
違いわかる男の歌声。
疾走感溢れるデジタルビートが寒空を駆け抜け、北風の様なハモンドの響きと共鳴します。
エレクトリックギターのカッティングも心地好く脈打ちます。
リズムのプログラミングも南氏が担当しています。
気骨のあるビートです。
ハモンドを弾くのはスカパラの沖 祐一氏。
う〜ん、名曲。
「冬の〜」の前のシングル「逆光のポートレイト」も加藤氏が作詞でこちらも素敵な出来です。

二曲目は「exile」。
こちらの作詞は売野雅勇氏。
元祖コピーライターの様に都会的な言葉を操るのなら売野氏の右に出る方はいないでしょう。
この曲も強い打ち込みのビートが印象的で、南さんのドラマティックなマイナーメロディと調和しています。

♪俺を軽蔑していいよ
 幸福(しあわせ)だよ 適当にね

三曲目は比屋定篤子さんとのデュエットナンバー「危険な関係」。
南氏の爪弾くヴォサ ノバのリズムに乗って、焚き火を前にリラックスした男女の夜の駆け引きが綴られて行きます。
ボサノヴァといえば南氏の十八番です。
歌詞も南氏によるもので大人の恋の官能的な描写が堪りません。
比屋定さんのナチュラルでマイルドな歌声と南氏のコンビネーションも素敵です。

三曲とも冬のイメージが強く、この季節に相応しいシングルであります。

シングルの上記の三曲と「逆光のポートレイト」を収録した1999年のアルバム『PURPLE IN TOWN』は、かせきさいだあ三や比屋定さん以外にもスカパラホーンズ、真城めぐみさんといった南氏より一回り下の若い世代とのコラボレーションが印象的な若々しく挑戦的なサウンドを展開しています。ちょうど渋谷系のムーブメントの影響で70年の日本のシティポップスが再評価をされ出した頃ですね。
意欲的な内容で僕は大好きです。
シティポップスファンは中古レコード屋さんで見かけたら手に入れて間違いは無いでしょう。

どうでも良いことですが、1/28に記事を更新してしまったのは僕の予約投稿のミスです。
最後に、個人的に近々自宅の引っ越しをしますので来週のブログの投稿は少しお休みをする予定です。
一回くらいは出来ると思いますが。
引っ越しは文字通りゴタゴタするでしょう。シングル盤の山以外にも敵が多そうです。

それでは再来週あたりに。

『冬のアメリカンチェリー』《KSC2 239》〈作詞:加藤丈文/作曲・編曲:南 佳孝〉(4'31'')【1998】


PURPLE IN PINK

PURPLE IN PINK

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キューンレコード
  • 発売日: 1999/05/21
  • メディア: CD



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