『恋におちたら/サニーデイ サービス』 [邦楽ロック/90年代]
こんばんは。
今夜もお届け、春のポップス桜前線。
サニーデイサービスのこのシングル。
春先になると聴きたくなってしまいますね。
彼らの出世作の2ndアルバム『東京』。
PCもケータイも無かった頃、遥か昔の文化的な都市の息吹と浪漫と叙情と情熱を匂わせる歌の世界。
懐かしくも新しい、彼らの登場でした。
ファーストも中々朴訥とした青春アルバムで良いのですけれど、続くこの作品との出来の温度差に当時は驚きました。
このアルバムで曽我部さんは、いわゆる、「化けた」と云うのでしょうか。
曽我部さんのソングライティングの非凡さ、メロディのまろやかさ、美しさにうっとりしました。
70年代への単なる懐古主義とは一線を画するクオリティ。
ヴォーカリストとしての才能の輝きも増し始めた頃でした。
若者のあてのない日々へ漂泊する心情と虚無と美しい恋へのあこがれ。
モラトリアムど真ン中の歌。
青雲の志。
時代を超えても若者たちの思う事はそう変わらないかもしれません。
シンプルで素朴なバンド演奏に乗せて奥ゆかしいミディアムテンポのメロディが流れ出します。
青空にゆったりと大きな斜線を描くひこうき雲を眺めている様な心のゆとりに満たされます。
朝日の様に瑞々しい青春の音楽。
♪昼にはきっと きみと 恋におちるはず
夜になると ふたりは 別れるんだから
恋する乙女のような こんな晴れた日は
きみをむかえに
きみをむかえに 行くよ
カップリングはアルバムのラストを飾る『コーヒーと恋愛』。
グリニッヂ ヴィレッジの真夜中のコーヒーショップで流れるようなオールドタイミーなフォークソング。
ブラックコーヒーの如きほろ苦い恋のうた。
ホームレコーディングでの曽我部さんによる弾き語り。
このアルバムのリリースから10年を記念として発売された、想い出の映画館にて『東京』の全曲を弾き語るコンサートの模様を収めた『東京コンサート』(2006)もエヴァーグリーンな響きを湛えています。
『恋におちたら』《MDDZ-54》〈作詞・作曲:曽我部恵一/編曲:サニーデイ サービス〉(4’44’’)【1995】
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