『ベイビィ ポータブル ロック/ピチカートファイヴ』 [ピチカートファイヴ]
ピチカートマニアの皆さん、オハヨウゴザイマスコンニチハ。
去る3/31はピチカートファイヴが解散してから丁度、10年でした。
10周忌のその日、小西さんのオフィシャルサイトから吉報が届きました。
ビックリしました。
小西さんのソロプロジェクト、その名も〝PIZZICATO ONE〟。
過去のバンドの名を敢えて再び冠するに、彼の深い覚悟を感じさせます。
近年の小西さんの活動は時流からドロップアウトしたマイペースな感じで、作品自体は独立して素晴しい内容でしたが、90年代の狂騒的な仕事ぶりを知っている者には一抹の寂しさは禁じ得ませんでした。00年代の野本かりあさんのアルバム、前園直樹グループを通じた「うたとことば」、そしてミュージカル「TALK LIKE SINGING」を始めとする劇判作品など、勿論僕は大好きですが、表舞台で暴れまくる小西さんを待ち望んでいました。そして今回のプロジェクト。まだその全容は明らかでありませんが、久しぶりにワクワクドキドキしています!
そんな訳で、久しぶりですがピチカートファイヴのシングルを。
♪今年の四月はまだ寒くて 春が来てない
なんて、口ずさんでしまいたくなるような最近ですが、春なんです。
「ベイビィ ポータブル ロック」です!
1996年春のシングル。
このジャケットは7インチ盤からのものです。
まず、タイトルに野宮真貴さんがかつて在籍していたバンドを連想させました。
音を聴いて、ソフトロック、ド真ん中な内容に胸が弾みました。
このブログで過去に紹介したゲイリールイス&プレイボーイズの「GREEN GRASS」
のイントロを巧みに引用。
河野 伸さんによるハープシコードの上品な響き。
小山田圭吾さんによるアコギのネオアコな響き。
有近真澄さんのコーラスのエレガントな響き。
ドリーミィで奥ゆかしく、穏やかなトーンが素敵です。
恋は軽快なリズムに乗って。
このシングルが出た後、ミニアルバムが二作品同時にリリースされました。スタジオ録音盤とリミックス盤の二本立てで。
後者にこの曲のリミックス盤も入ってるのですが、それがユニークな出来でした。
往年のラジオ番組「決定!全日本歌謡選抜」に野宮真貴さんがゲスト出演するという設定で、小川哲也氏も登場!お二人のやり取りが楽しいです。小川氏のタメ口も懐かしい。そしてお喋りの後に流れてくるのは、公開録音番組にピチカートが出演したと仮定した疑似ライヴ風な「ベイビィ ポータブルロック」。ライヴっぽい音響にエフェクトが施されています。アレンジもラテンチックな歌謡曲にリアレンジされる懲りよう。
歌詞に「ポータブルプレイヤー」が出てきますが、この時期にコロムビアからピチカートモデルが発売されてました。買いまして、今でも使えます。コーネリアスもポータブルプレイヤーを発売して、それも持ってます。透明のスケルトン仕様でした。
さて、B面は「悲しい歌」のストリングス バージョン「A TRISTEーREADYMADE STRINGS QUARTET」。
前年のアルバム「ロマンティーク96」収録の名曲を、金原ストリングスをお迎えして弦楽四重奏バラード風にリアレンジ。ストリングスアレンジは村山達哉氏。
弦による厳かで優雅な響きが切ないメロディをさらに際立たせています。
たしか「ミュージックフェア」に出演したときにこのアレンジで歌ったことがあると思います。
当時、野宮さんは妊娠されていて、この年のピチカートは上記のミニアルバムを二枚とレアトラック集を出したのみで、活動は少し抑えめでした。
僕は大学四年でしたが、のんきなモノでバイトしてレコードやCDを買ったり、映画を観たり。就職活動はあんまりしませんでした。
このシングルを聴いているとあの頃の東京での平穏な学生生活を思い出します。
まぁ、それなりに悩みや心配はありましたが世田谷、新宿、渋谷の街はレコード屋さんや映画館がいっぱいあって活気が溢れていました。
人生、不安なときも少し先に楽しいことが待っていると判れば、生きていく元気が湧きます。
それが「希望」です。
小西さんの新しい音楽を心待ちにしながら、今日を生きよう。
最後に、
この拙文を、ピチカートファイヴへの敬愛に充ちた素晴しいブログ『pizzicato file』に捧げます。
小西さんのソロプロジェクトのニュースもこのブログを通じて初めて知りました。
有り難うございます。
これからも楽しみにしています。
『ベイビィ ポータブルロック』《COKA-4》〈作詞/作曲/編曲:小西康陽〉(04’04’’)【1996】
- アーティスト: pizzicato five,小西康陽,Brian Wilson,福富幸宏,村山達哉,坂元俊介,窪田晴男,佐々田健男,readymade string quartet
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2006/03/31
- メディア: CD
こんにちは。
都市色さんともネットで知り合いずいぶん経ちますね。
ブログの方へはいつもコメントをいただきありがたいと思っております。
そしてこうやって素敵な記事を捧げていただき光栄です!
「pizzicato one」楽しみですね。
なによりこの名前がいいじゃないですか!
以前はインタービューでは決まって「なぜ4人なのにpizzicato five?」
とか「なぜ2人なのにpizzicato five?」の質問が多かったですけど
今度は一人ですからね。なんか劇団ひとりを連想させなくもないですが。
都市色さんのブログ,これからも楽しみにしています。
いろいろな素敵な音楽を教えてください。
では。また。これからも。
by cytoron (2011-04-02 08:05)
>cytoronさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
大変な状況の中で、気丈にブログを更新されて感激しました。
とにかく、一刻も早くcytronさんのお住まいの東日本の生活環境が安定しますように。
小西さんの音楽、楽しみですね。
前園直樹グループの新作も予定ではほぼ同時期に出るはず。
こちらも無事にリリースされますように。
音楽家は結局、音楽でしか表現出来ない、という諦観と覚悟を感じさせる小西さんの言動は頼もしいと思います。
by 都市色 (2011-04-06 10:18)
こんばんは。
ポータブルロックをポタロクなどと略している音楽誌もありましたね。
小西さんがこの曲のサウンドを使ってリミックスした、モダンチョキチョキズ
(略してモダチョキ)の名曲「自転車に乗って」を聴いたことがあります。
そのアイデアに驚くと同時に、小西さんのリミックス版は軽快に
「自転車に乗って」いるように感じられました。
やっぱり音楽は楽しいなと思いました。
by taka (2011-04-07 22:10)
>takaさん、こんにちは。
ご無沙汰です。
コメントありがとうございます!
小西さんのリミックスによる「自転車に乗って」はお恥ずかしながら未聴でした。「レディメイドのモダンチョキチョキズ」に入ってるのでしょうか。
モダチョキ、懐かしいですね。
小西さんがプロデュースしたつじあやのさんの「春風」も「ベイビィポータブルロック」風のアレンジでしたね。
by 都市色 (2011-04-09 09:53)
こんばんは。
久しぶりのコメントでしたが、覚えていて下さってありがとうございます。
「御無沙汰」「ごぶさた」 です。
ご紹介の「春風」は知りませんでしたので、動画投稿・共用サイトで
聴いてみました。なるほど小西さんはこんなお仕事もされていたのですね。
小西版の「自転車に乗って」は「レディメイドのモダンチョキチョキズ」に
入っています。同じ動画サイトでも「高音質」で聴くことができます。
by taka (2011-04-09 21:43)
>takaさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
動画投稿サイトでモダチョキの「自転車に乗って」小西版聴きました。
そのまんまですね、でもバッチリ原曲にハマってます。
さすが小西さん。
教えて下さってありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。
by 都市色 (2011-04-12 00:57)