『ロックン仁義/THE TIMERS』 [邦楽ロック/80年代]
こんにちは。
キヨシローさんを偲んでもう一枚。
ザ・タイマーズ。
ゼリー、トッピ、ボビー、パーによる土木作業員風の衣装が印象的な四人組。
正確にはリーダーのゼリー氏はキヨシローさんの知人らしいのですが。
キヨシローさんに全くよく似た反骨精神を感じますね。
タイマーズの活動当時、僕は高校一年生でかなり衝撃を受けました。
今でも語り草の夜のヒットスタジオでの演奏は当時は観られなくて、大人になってからYOU TUBEで観るコトが出来ました。16才の頃を思い出しました。
多感な頃に出会った音楽から受けた深い傷は忘れられません。
彼らのファーストアルバムは僕にとってのパンクでした。
前年のRCサクセションの『COVERS』の発売禁止騒動からの一連の流れは社会的な勉強にもなりました。
タイマーズは天皇崩御〜天安門事件〜ベルリンの壁の崩壊といった大きな時代のうねりを持った1989年のBGMでした。
『長いモノに巻かれない』彼らの音楽はとてもインパクトがありました。
露骨過ぎる表現に対する是非はともかく、社会に対し積極的にコミットしようとする姿勢は誠意や正直さが感じられます。60年代のアメリカのロックンロールに影響を受けたキヨシローさんにとってプロテストソングを唄うことは非常に自然で当然だと思うのです。
今回紹介するシングルはファーストアルバムからのシングルカット。
とってもシニカルなド演歌。
ユーモアを越えてブラックでシリアスでもあります。
枯れすすきはおろかペンペン草も生えないダークサイドのキヨシローさんに似たゼリー氏の唄。
虐げられた音楽に対する怒りのコブシが効いてます。
間奏の語りでは空々しい音楽業界に対する怒りの仁義を切っています。
冗談の一つもいえねぇ
好きな歌さえうたえねぇ
替え歌のひとつにもいちいちめくじらを立てる
いやな世の中になっちまったもんでござんすねぇ
えぇ 社長 どうなんだい!
B面にはアルバム未集録曲が二作品。
一曲目は『企業で作業』
ゼリー氏のオリジナルソング。
韻を踏んだ歌詞に人生の悲哀を滲ませています。
二曲目は『ダイナ(嫌煙のダンナ)』
オールディーズのヒットソング、ポール・アンカの『ダイアナ』の替え歌です。
タバコに似たアレに関する歌です。
この二曲はのちに再発盤でボーナストラックに収録されます。
今聴いても切れ味鋭いアルバムです。カッコいいブルースロックです。
タイマーズはこのあと『復活タイマーズ』『不死身のタイマーズ』をリリースします。
僕は後者を持っていません。
是非再発して頂きたいです。
タイマーズの新曲ももう聴けないのでしょうか。
キヨシローさんもいない今、ゼリー氏も何処へ行ってしまったのでしょうか。
またブラックユーモア満点な曲を聴かせて下さい!!
『ロックン仁義』《TOKT-2460》〈作詞・作曲:ZERRY /編曲:THE TIMERS〉(3’13’’)【1989】
この曲は怒りのメッセージを皮肉たっぷりに、そしてどこか”あきらめ”のような感情があり、何ともやるせない気分になります。でもユーモアを失っていないんですよね。
僕はタイマーズの作品って持っていないのです。いつか買おう、とずっと思っていながら・・亡くなったから、という訳でもないですが、この機会に、最近アナログ盤の収集に凝っているので、探してみようかな。
by いとぞう (2009-05-06 16:42)
>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
キヨシローの諧謔精神はカッコいいですね。
彼の歌詞にはプロの技巧を感じます。
思ったことをただ唄っているように感じられますが、
シンプルながら味わい深く、よく練られています。
天賦の才です。
by 都市色 (2009-05-08 03:12)