『ポロンちゃん／空気公団』

こんばんは。
今夜のカセットシングルは空気公団です。
絵本作家の荒井良二氏とのコラボレーションで2001年にリリースされました。
空気公団もカセットがよく似合いますねぇ。
ジャケットのイラストは勿論、荒井氏によるもの。
荒井氏のキャラクター“ポロンちゃん”をイメージして作られたA面曲、「ポロンちゃん」。
ポロンちゃんと云う不思議な友達に捧げられた歌。

サビの♪ポロン ポロン というフレーズが胸を優しく締め付けます。

間奏の色彩豊かな演奏に耳をそばだてます。
この曲はCDシングル「夕暮れ電車に飛び乗れ」にも収録されています。

B面は『気持ち』。
赤ちゃんの日々の成長を見守るお母さんの温かい気持ちが込められた素敵な曲です。
この曲はこのカセットのみの収録。
ほのぼのとしたバンドのアンサンブルが微笑ましいです。

このカセットにはポロンちゃんと、B面の「気持ち」をイメージして荒井氏がデザインした「クラウド」というキャラクターの二体のフィギュアがカセットとパッケージされて販売されました。



彼ららしい企画。
空気公団はバンドですが、ライヴという形式に捕われない様々なイベントを企画したり、ユニークな活動が印象的です。
バンドとしても、初期は棚谷祐一氏のサポートを得ながらも徐々にバンド自身でセルフプロデュースを行い、ギターの戸川由幸さんがエンジニアを担当したり、空気公団ならではの音質に拘ったサウンドが顕著になりました。アレンジは繊細で緻密かつ、意外とダイナミックなバンドサウンド。
ドラムの音が結構ハードだったり、新鮮で面白いです。
バンド結成から10年を過ぎるのですが、同時期にデビューしたバンドが志半ばで活動休止を余儀無くされたりソロ活動を開始する中、コツコツとコンスタントに優れた作品を発表し続けて空気公団の独特のポジションを確立しています。
空気公団と云うとアマチュア集団というイメージですが、実は頑までに芯の強い芸術家集団だと思います。アカデミックさや奇抜さを押し出さなくても自由な芸術は生まれるのだと思います。
継続していくことの大切さを痛感します。
山崎ゆかりさんの類い稀なるソングライティングの美しさ。
声高に叫ばなくても、思いは広がって伝わる。
人間の弱さ、脆さを決してマイナスに捉えない、彼女の視点の大らかさ、朗らかさに救われます。

間もなくリリースされる彼らのニューシングルも楽しみです。

『ポロンちゃん』《COAR-0011》〈作詞・作曲：山崎ゆかり／編曲：空気公団、棚谷祐一〉（2’12’’）【2001】