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『僕らの夏の夢/山下達郎』 [山下達郎]

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こんばんは。
八月の最後を飾るのは、
この一枚。

細田 守監督の最新作、『サマーウォーズ』。
この映画、勿論観に行きました。
前作の期待を裏切らない内容でした。
大きなスクリーンから縦横無尽に解き放たれた、胸の透くような映像美。
アニメーションでなければ出来ない表現美。
家族のネットワーク(絆)の強さを血湧き肉踊るエンターテイメントに昇華した、名作。
そして、この映画のエンディングテーマである、達郎さんのシングル。
細田監督たっての希望で達郎さんが手掛けることになったそうです。
『僕らの夏の夢』は監督の希望を見事に応えた、エンディングに相応しいバラード。
作品の余韻をさらに増幅させるような味わい深い出来です。
万感の思いをエンドロールの映像と達郎さんの曲に委ねました。
余韻を噛み締めました。
ジャケットの青空、入道雲、緑の山々、古き良き日本の風景が心のスクリーンに焼き付いています。

達郎さんの音楽のテーマのひとつには『少年性』というものがあると思うのですが、
それが今回の映画と見事に共鳴をしたといえるでしょう。
そのテーマを取り上げた作品の多くははとてもシンプルなメロディですが、聴けば聴く程、胸に染み込んでいくようです。
意図的に余計な華飾を排した滋味さが美しさを引立てています。
ドラム、ベース、ピアノのゆったりとしたリズムに乗って、しっとり穏やかに歌いだす達郎さん。
そして徐々にサウンドとメロディが静かに情熱を帯びてゆき、ドラマティックなオーケストレーションを纏って感動のクライマックスを迎えます。
普遍的で無垢な想いがサウンドに瑞々しく宿っています。
達郎さんのサウンドの要として、新しいライヴツアーと共に新しく迎えられた若手実力派ドラマー、小笠原拓海さんの演奏もバラードのスケールを的確に把握していて見事です。
因みにこの曲を映画館で初めて聴く為に、それまでこの曲がラジオでオンエアされるときはボリュームを絞ったりオフにしていました。
だから劇場で聴いたときには新鮮で感動もひおとしおでした。


二曲目は、報道番組のテーマソングに起用された『ミューズ』。
全国ツアーを展開中に楽曲を依頼されたそうで、未曾有の不景気と呼ばれる日本各地を回りながら達郎さんが、日々の生活を営みながら会場に集まったオーディエンスから直かに感じた思いが曲の中に響いてると思われます。
身を切られるような切迫した状況を鑑みつつも、ポジティヴな姿勢を信じて貫こうとする熱いメッセージが熱の籠ったサウンドのビートから伝わってきます。
達郎さんの言動には「運命を信じないでそれに抗おう」という趣旨のモノがありますが、、歌詞にもそのメッセージが込められてますね。

三曲目は一曲目と「アニメ作品つながり」と云うコトで、
『アトムの子』の最新ライヴヴァージョン。
今年の四月の北海道厚生年金会館での音源。
お馴染みの打ち込みのリズムのイントロにて、

『我々の 未来の為に!
 我々の 子供たちの 未来の為に!
 手塚治虫、生誕80年…』

という熱いMCを発して、
達郎さんはカウントを叫んで楽曲は本編に突入していきます。
ドラムマシンのリズムと小笠原拓海氏のドラムのパーカッシヴな乱れ打ち。
間奏で達郎さんが『鉄腕アトム』の主題歌をワンコーラスくちづさむのも効果的。
難波弘之さんがピアノでうっすらと伴奏をします。
難波さんはかつて、手塚先生による書き下ろしのジャケットでソロアルバムを出していましたね。
この「アトムの唄」の後の土岐英史氏のサックスソロもスリリングでカッコ良いです。
バンドの一体感が凄まじい白熱のライヴヴァージョン。

四曲目は『僕らの夏の夢』、
五曲目は『ミューズ』、それぞれのカラオケが収録されてます。

どうでも良い話ですが、
細田 守監督は東映動画出身であり、「鉄腕アトム」は虫プロ。
東映と虫プロの作品が同居するシングルとはユニークですね。

夏に相応しい盛りだくさんなシングルです。

『僕らの夏の夢』《WPCL-10741》〈作詞・作曲・編曲:山下達郎/ストリングス アレンジ:後藤勇一郎〉(05’03’’)【2009】
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chitlin

私も先週、観に行って来ました。涙が止まりませんでした。
今日、もう1回観に行ったんですが、すでに次の回まで満席だったので逃げ帰って来ましたよ。

全然、興味がなかったんですが、達郎さんきっかけかも知れません。人生、何が起こるか判らないってことでしょうか〜。
by chitlin (2009-09-01 23:58) 

都市色

>chitlinさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
映画、良かったですよね!!
満席でしたか!残念。
リピーターが出る程人気あるのですね。
僕もまた観たくなってしまいました。
多忙の中、シングル製作を快諾した程の達郎さんの審美眼に適った作品といえますね。
by 都市色 (2009-09-03 20:45) 

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