『夢見るようなくちびるに/サニーデイ サービス』 [邦楽ロック/90年代]
こんばんは。
今夜はサニーデイ サービスです。
後期の名作『MUGEN』からの名曲。
丁度10年前のシングル。
秋に相応しい抒情的なラヴソング。
バンドとしての成熟が感じられるアルバムですね、『MUGEN』は。
メンバー三人の息の合った素朴な演奏が輝いています。
曽我部さんのメロディメイカーとしての絶好調ぶりがシングルに現れています。
甘酸っぱいメロディが耳から胸に広がります。
売れ線だとかそんな野暮なレベルではなく、ポップスのエヴァーグリーンな響きを感じずに入られません。
ヴォーカルも肩の力が抜けたような自然体で、ナチュラルな色気を感じます。
鍵盤ハーモニカやマンドリンの音色が楽曲に優しい肌触りをもたらしています。
サポートの高野 勳氏の多彩なキーボードワークも効果的。
♪踊り明かそう OH BABY
といったポップソングのクリシェが曽我部さんの声とメロディに乗って魔法を帯びたように素敵に響きます。
恋人と踊りながら、近づきそうな彼女のくちびるの甘美な色香にクラッと来そうな気分。
因みにこの曲は演奏時間が3分54秒です。
まさにこのブログにお誂え向きの名曲ど真ん中。
二曲目はブルージィでマイナー調のメロディがカッコいい『情景』。
サニーデイにはちょっと珍しいラテン調なメロディがアクセントになってます。
高野氏のキーボードがここでも大活躍。
オートバイの走るSEも効果的。
70年代のATGの青春映画のような。
三曲目は『テーマ』。
♪しゅっしゅっぽっぽ
という朗らかなリフレインと16ビートが心地好いです。
メロウな曽我部さんのソングライティングが冴えています。
高野氏のクラヴィネットもグルーヴィ。
二曲目と三曲目はアルバム未収録ですが良い曲です。
恐らく曽我部さん達は『MUGEN』でバンドとしてのベストを尽くし、飽和状態を感じたのかもしれません。
サニーデイは『恋』という事象に於ける若者たちのありふれた機微を愛おしいメロディに包んで90年代と云う不安定な時代に改めてさりげなくプレゼンテーションしたバンドと云う感じがします。
『夢見るようなくちびるに』《MDCS-1029》〈作詞・作曲:曽我部恵一/編曲:サニーデイ サービス〉(03’54’’)【1999】
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