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『幸福 ロンリーハート/ロブバード』 [サントラ]

幸福.jpg

こんばんは。
先ずは映画の話題から。
姉さん、事件です!
幻の名画、復刻です!
巨匠、市川 崑監督の80年代の隠れた名作『幸福』が映画ファンの熱いラヴコールの末についにDVD化されました。

1981年にフォーライフレコードと東宝の配給により製作されましたが、フォーライフの倒産によりフィルムの行方が不明になり、80年代半ばに一度TV放映されたきり、これまでビデオ化すらされず、リヴァイヴァル上映すら殆どされておらず、熱心なファンの間でのみ高い評価を受けてきた作品。
近年、ようやく国立フィルムセンター所蔵のフィルムにより大都市等で崑監督のレトロスペクティヴを通じて再上映が実現して、上映の度にさらに口コミで作品への評価が高まり、衰えるコトなく現代の鑑賞にも耐える内容としてソフト化への声も高まり、ついに今月上旬にDVDとブルーレイディスク版とのハイブリッド形式でのリリースの運びとなりました。
僕も昨年九月に大阪のミニシアターで崑監督特集が開催されたときにこの作品を観るコトが出来ました。ミニシアターには立ち見も出る程の映画ファンで埋め尽くされました。噂に違わぬ素晴しい映画でした。
そして11月にこの『幸福』の DVDを手に入れました。



改めて自宅で観ましたが、グッときましたね。
泣けました。

名作『おとうと』でも試みられた“銀残し”という技法によるユニークな映像処理が、大都会の片隅で生きる市井の人々の生活の雰囲気を上手く醸し出していると思います。
時代劇、SF、人形劇、ミステリ、アニメなどなど、様々な「企画ありき」の映画にチャレンジされてきた崑監督が素直に撮りたいと思って生まれた作品が『幸福』なので、小細工や、あざとさのないピュアなメッセージが伝わってくる素敵な作品に仕上りました。。
崑監督は様々な作品を通して常に「家族」の有り様をさりげない眼差しで撮られてきました。
『幸福』はまさに「家族」の映画です。
水谷 豊さん、中原理恵さん、そして永島敏行さんといったフレッシュな主役達。
そして彼らの脇を固める崑作品の常連組のベテラン俳優陣、草笛光子さん、加藤 武さん、辻 萬長さん、浜村 純さん、常田富士男さん、小林昭二さんなどなど、味わい深い演技を楽しませてくれます。谷啓さん、市原悦子さんの演技も良いです!
『東京オリンピック』や『おとうと』、『ビルマの竪琴』、『細雪』のような大作ではありませんが、ひたむきな愛に充ちた映画です。

この映画の復刻の背景には主演の水谷 豊さんが現在も熱演中のTVドラマ『相棒』シリーズの成功も影響しているのは明白でしょう。
近年の刑事ドラマの中でも屈指のクオリティを誇る『相棒』で新しい世代のファンをも魅了する水谷さんの功績を改めて問う意味でも『幸福』のリヴァイヴァルはタイムリーであります。
水谷 豊さんは萩原健一、松田優作、そして岸田 森といった日本の伝説の俳優諸氏の意志を継ぐ稀有な俳優ですね。

大変前置きが長くなりました。
音楽ブログだと云うコトを忘れるほどです。
ハイ、本題。
そうです。
今夜ご紹介するシングルは映画の主題歌。
ロブバードの『幸福(しあわせ)ロンリーハート』。
この曲も実に素晴しいのです。
ロブバードは三人組のロッックバンドで日清カップヌードルのCMソングとなった『ボーンフリースピリット』のヒットで有名です。
『幸福〜』はメンバーの柴野繁幸さんによる慈しみに充ちた切なく甘いメロディが胸を優しく締め付けます。
映画の世界観にピッタリな名曲です!

♪夢で振り向く 君は橋の上
 時の流れを 見つめてる
 手すりひとつもない人生
 せめて二人

♪夏の三叉路
 幸福へゆく 地図を探す
 近道のない旅ならば
 せめて二人

♪九月になれば 九月になれば

作詞は松本 隆さん。
松本氏らしい実に優しい歌詞ですね。
「三叉路」という言葉は松本氏の曲に時々使われますね。
ありふれた男が一生懸命に小さな幸せを掴もうと、守ろうとしている気持ちが熱く爽やかに伝わってきますね。
僕も九月に映画を奇しくも観たのでこのフレーズがとても印象に残っています。
1981年と云えば、松本氏は大滝さんの「ロンバケ」や寺尾聦さんの「ルビーの指輪」、イモ欽トリオなどなど、ヒット曲の連続、破竹の勢いですよね。
そういえば松本 隆さんと水谷 豊さんは縁も深いですよね。
コチラの対談は二人のファンには堪らないモノがあります。

楽曲の話題に戻って、
この曲のアレンジは石川鷹彦氏。
石川氏は劇中の音楽も担当されています。
因みのこの映画のサントラ盤も持ってます。


B面は『サマータイム ドリーム』。
ジ・アルフィーのような8ビートのロックナンバーでコーラスが美しいです。

それから、何と、何とこの『幸福』はCSの「日本映画チャンネル」で今月中にオンエア中です!
リピート放送もあるので、是非、興味をもたれた方はご覧下さい。

崑監督のご存命中にはソフト化は叶いませんでしたが、きっと草葉の陰で喜ばれてることでしょう。
崑映画ファンとしては他にも何故か殆ど上映の機会の無い作品、『鹿鳴館』も是非リヴァイヴァルして欲しいところであります。

『幸福ロンリーハート』《7K-32》〈作詞:松本 隆/作曲:柴野繁幸/編曲:石川鷹彦〉(04’42’’)【1981】


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