『DOCTOR/佐野元春 & HOBO KING BAND』 [佐野元春]
こんばんは。
鈴木祥子さんの次は元春。
epic sonyに在籍したミュージシャン繋がりであり、
佐橋佳幸さん繋がりであり、
そして帽子ジャケット繋がりであるコトはどうでも良いですね。
今年デヴュー30周年を迎える彼のシングルを。
昨年末、90年代にリリースされた6枚のアルバムがデジタルリマスタリング、高音質盤&紙ジャケ仕様のボックスセットとして再発されたのですが、
その中の一枚、『THE BARN』(1997)からの後発シングル『Doctor』。
ロックンロールヒストリーを語るうえで欠かせない聖地、アメリカはニューヨーク州にあるウッドストック、ベアズヴィルスタジオでの録音。
新生、ホーボーキング バンドを従えてのニューヨーク再訪。
プロデューサーにジョン サイモン氏を迎えてのルーツミュージックとの邂逅。
元春の敬愛するザ・バンドの名作デヴューアルバム、アル クーパーが率いたBS&Tの傑作デヴューアルバム、ソフトロック名盤のザ・サークルのセカンドなどなどを手掛けた知性派敏腕プロデューサー。
見事なお膳立ての上で製作された、元春のキャリアの中でも格別の味わいを放つ佳作となりました。
ウッドストック詣でのアルバムと云うコトでレコーディングに用意された楽曲も、60年代末期から70年代初頭のアメリカンロックならではのアーシーなバンドサウンドや内省的なSSW風といった、あの時代の音楽のマナーに則った香ばしい作風が目立ちます。
と、云う訳で御託はともかくシングル紹介。
一曲目の『Doctor』。
ニューオリンズのR&Bのようなユニークな演奏に耳が惹かれます。
さすがは手練のミュージシャン集団、ホーボーキングバンド。
現地のミュージシャン並にゴキゲンなパフォーマンス。
とりわけギタリストの佐橋さんとピアニストのDr.kyOnさんは水を得た魚のようですね。
♪楽になりたいときにはいつでもいい
楽になりたいときにはいつでもいい
COME TO ME
COME TO ME
僕は君のドクター
少しシニカルな内容の歌詞は、元春の妹さんに捧げられた内容だと云うコトです。
二曲目は『誰も気にしちゃいない』。
聴いていて心がヒリヒリするような心象風景。
最初のニューヨークレコーディング作品である『VISITORS』(1984)に『SHAME ー君を汚したのは誰ー』という曲がありますが、その続編とも言えるような感じがします。
先日の元春レイディオショーでは来日記念のボブ ディラン特集が組まれまして、『THE BARN』から
『風の手のひらの上』がかかりましたが、『誰も〜』にもディランの影響を感じます。
演奏もディラン&ザ・バンドみたいな。
SSW/詩人としての元春の才気も感じない訳にはいきません。
身につまされるような現実に向き合ったシリアスな言葉。
生きている限り果てないやるせなさ。
ただの憧れのウッドストック詣ででは終らない、中身の濃いうたとことば。
ホーボーキングの豊饒なバッキングも素晴らしいです。
エリック ワイズバーグ氏によるペダルスティールの響きもいいですね。
♪このあたりじゃ誰もが気にしちゃいない
教えられたことだけを守り
夢を無くした国に生まれて
どうしてかなんて聞かないで なぜなの?とは聞かないで
せつない、ただせつない
三曲目はアルバムの先行シングルとなった『YOUNG FOREVER』のアンプラグドヴァージョン。
アルバムのアウトテイク。
珍しいのは元春が間奏でアコギのソロを弾いていること。
ライヴでもアンプラグドバージョンを聴いたことがありました。
ちょうど、『THE BARN』がリリースされた前後はワーナーミュージックから『名盤探検隊』という再発シリーズが怒濤の勢いで始まった頃ですよね。
あの頃は毎月『レコードコレクター』誌を購読していて、そこで〝幻の名盤〟と紹介されていたレコードが次々にリーズナブルな価格で世界初CD化され始めて、嬉しい悲鳴を上げながらバイト代をつぎ込んでチェックしていました。僕のCDラックにはこのシリーズのCDがずらっと並んでますよ。
『名盤探検隊』でリイシューされたジャッキー ロマックスの3rdアルバムもプロデュースがジョン サイモンでベアズヴィル録音でした。ジョン サイモンの手掛けた映画のサントラも出ましたね。
『THE BARN』はあの頃の僕の音楽嗜好の流れにジャストなアルバムでした。「マナサス」って云う曲も入ってたり、ガース ハドソン氏やジョン セバスチャン氏もアルバムに客演しているのも名盤探検隊ファンには堪りません!
今回の再発盤もデジタルリマスタリングの威力でアナログレコーディングの魅力が引き立っていました。このアルバムはアナログ盤も持ってるのですが。
聴けば聴くほど味わい深い名作です。
そういえば、最近のニュースでボビー チャールズが亡くなったコトを知りました。
素晴しいファーストアルバムはリック ダンコとサイモン氏がプロデュースしてましたね。
彼の久しぶりのアルバムを買ったのも90年代中頃でした。
どうぞ、安らかに。
最後にすでに述べたように、今年は元春のアニヴァーサリィ。
春には彼のシングルを沢山紹介していきたいと思います。
それでは、シーユーレイター、アリゲーター。
『Doctor』《ESDB3833》〈作詞・作曲:佐野元春〉(04’49’’)【1998】
EPIC YEARS THE SINGLES 1980-2004
- アーティスト: 佐野元春
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2006/06/28
- メディア: CD
「ドクター」はライブで聴いた時、最高に楽しかったなあ。間奏の佐橋さんのギターがイカしていてカッコよかった!そういえば元春のアルバム収録後の後発シングルというのは現状、この作品が最後でしょうか?昔は度々、あったんですが。その場合、カップリングが楽しみなんですよね。
「ヤングフォーエバー」のアンプラグドバージョンですが、「ミュージックフェア」に出演した時はコレに近かった気がします。
「誰も気にしちゃいない」は名曲ですね!はじめて聴いた時、泣けましたから・・元春にしか書けない詞の世界だと思います。
アルバム「THE BARN」の影響で、ザ・バンドのアルバム買ったりもしました。それから先日のレイディオショーでのディラン特集も素晴らしかったですね!流れた曲すべてが良かった。
3月には「アンジェリーナの日」というイベントも行われるんですよね。僕はその日はちょっと行けませんが、7月から予定されているという全国ツアーには必ず駆けつけたい!30周年、思いっきり楽しみましょう!
by いとぞう (2010-02-01 16:46)
>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
「THE BARN」ツアーはこれまでのツアーと少し雰囲気が違いましたね。
このシングルが元春の8センチシングルの最後でしょうね。
「アンジェリーナの日」、行きたいのですが、平日は厳しいですね。
by 都市色 (2010-02-03 01:47)