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『陽炎/フジファブリック』 [邦楽ロック/00年代]

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こんばんは。
前回の記事で片寄さんがブログを開設したことに触れましたが、開始以来、急逝されたフジファブリックのフロントマン、志村正彦さんとの想い出が余すこと無く綴られています。
彼がこの世にいなくなってもう半年。
未だに信じられません。
彼らのメジャーデヴュー後の四枚のシングルと一枚のアルバムをプロデュースしたのが片寄さんでした。片寄さんにとっても本格的なプロデューサーとして初めての仕事がフジファブリックでした。
ブログを拝読していると、いかに片寄さんが志村さんの才能とパーソナリティを深く愛していたかを思い知らされます。志村さんも片寄さんを兄のように慕っていて、その交流のエピソードにはとても微笑ましい気持ちになります。
それだけに志村さんの死は片寄さんにとっても辛い出来事だったようです。
片寄さんの気持ちの整理もついて、半年が経ってようやく語られるクロニクル。

読む度に目頭が熱くなります。
運命的と言える程の二人の縁。
片寄さんの文章の素晴しさもあってとても感動しました。
昨日はフジファブリックのライヴイベントが奇しくも開催されました。
片寄さんも参加されたそうです。

と、云う訳でフジファブリックのシングルを。
僕が初めて出会った彼らの曲。
「陽炎」。
四季に因んだ四枚のシングル、その二枚目で「夏盤」と呼ばれています。
片寄さんがプロデュースを担当していると云うコトで買いました。
手に入れて、プレイヤーで聴いた途端に大好きになりました。
今でもその時の感激を覚えています。
片寄さんのブログでのお言葉を引用させてもらのならば〝泣きながら踊るような、暴走するセンチメンタリズム〟まさにその通り。
ステレオの前で胸騒ぎが収まりませんでした。
大好きな曲に出会えた時の感激、それが音楽の悦び。

少年時代のノスタルジックな思い出の一コマを斬新なサウンドで再構築したような曲。
夏の日の一瞬の衝動をそのまま音楽に変換した見事な作品。
はっぴいえんどを想起させる世界観でもあります。
抒情的なメロディをまっしぐらでがむしゃらなビートで刻む。
志村さんの唄のイメージを如実に表現するバンドの演奏。
山村総一郎さんの情緒不安定な間奏のギターソロ。
テープの逆回転から発想を得ていたとは。
抑えきれない胸の高まりをキープし続ける、加藤慎一&足立房文両氏のリズムセクション。
音のダイナミックさ。
そしてヴィンテージの鍵盤類を巧みに操って懐かしい作品世界を鮮やかに彩る金澤ダイスケ氏のプレイ。「陽炎」のもうひとつの主役でもあります。
バンドの一体感の音圧が風圧となって押し寄せて吹き飛ばされそう。
朴訥とした志村さんの歌声も自然な情熱を放っている感じであざとくないのが良いです。
切っ先の鋭い演奏を増幅させる荒々しいミキシングはコーネリアスの仕事で有名な高山 徹氏。

終盤にて、バンド演奏がフェイドアウトしていくなか、ピアノの演奏だけが残されて、そして最後にその音が不意に途切れるのが儚くて好きです。
陽炎のように幻想的なエンディング。
何度聴いても胸を打つロックンロール。
青春の暴発。
名曲。



Great 3で培ったマッドなサウンドのノウハウがフジファブリックの作品に活かされ、継承されてますね。片寄さんがメジャーデヴュー時の彼らに与えた影響は実に大きいと思います。
それはプロデューサー色にアーティストを塗り込めるというコトとは反対です。
フジファブリックというバンドのポテンシャルが向かうべき道を、選びながら試行錯誤をしながらも片寄さんが探し当てたのだと思います。

カップリングは「NAGISA」にて。
こちらもグイグイと畳みかけるような粋の良いエイトビート。
ケレン味に溢れ、スリリングで少しコミカルな演奏はフジファブリックの独壇場。
マイナー調なメロディも志村さんが歌うとユーモラスさが微妙に滲み出て面白いです。
ただ悲しいだけじゃなくて、なんともいえない味わいがあるのです。

このシングルにはCDエクストラで「陽炎」のライヴ映像が観られます。
ライヴを観に行きたかったですね。

改めて最近、フジファブリックのメジャーデヴューアルバム「フジファブリック」を聴き直してしまうのですが、良いアルバムです。志村さんの個性的なソングライティングはこのアルバムで完成しています。抒情的なメロディ、アクロバティックでひねくれたメロディ、プログレなメロディ、それらのバランスが上手く配されてるのがファーストです。永島慎二さんの絵のようなジャケットも好き。
名盤。
片寄さんのプロデュースでもう一枚くらい出して欲しかったな。

梅雨は明けて、夏はすぐそこ。
フジファブリックの魔法のような陽炎のサウンドは永遠。

志村正彦さん、どうぞ安らかに。

『陽炎』《TOCT-4737》〈作詞・作曲:志村正彦/編曲:フジファブリック、片寄明人〉(04’54’’)【2004】


フジファブリック

フジファブリック

  • アーティスト: フジファブリック,志村正彦
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/11/10
  • メディア: CD



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