『サマーシンフォニー/曽我部恵一』 [邦楽ロック/00年代]
こんばんは。
今回もリリースされたばかりのシングルをお届けしましょう。
「マーガレット」の次は「ローズ」。
曽我部恵一さんの久しぶりのソロ名義のシングル「サマーシンフォニー」。
九月でもサマー。
ママでも金。
ジャケットでの、鬱蒼とした雰囲気の森林の中を一人歩く都市のサマーソルジャー一匹。
今年の初夏、一足先に配信でリリースされ、反響を呼んだ作品の12インチシングル仕様。
同内容のCDが付属されています。
じりじりと焼け付くような日々。
体も心も焦がす日差し。
情緒を味わう余裕すらなく「ありえない不快感」に塗れた21世紀の夏。
異常気象にうすうす気づいている夏。
そんなリアルな現実を背景に生きている現代人による“サマータイムブルース”。
鬱屈したブルーな響きの打ち込み16ビート。
アコースティックギターのカッティング。
そして曽我部さんのハードボイルドなモノローグが綴られていきます。
終わらないような熱帯夜の果てまでただ淡々と突き進んでいく言葉。
狂気一歩手前で冷静さを保つ男のクールさ。
儚げに転がるピアノの爪弾き。
そしてメロウなサビのフレーズ。
♪baby baby you're the one
you are my sister ,you are my brother
浮遊感のある音響も夏の刹那さを醸し出しています。
曽我部さんらしさフルスロットル。
この曲を聴いて、なんとなく思い出したのはスチャダラパーの「彼方からの手紙」。
つまり名曲ってこと。
この曲を聴くたびにあの暑い暑い夏、を思い出すのでしょう。
A面の二曲目は、
「Hurry on sundown ~調子はどうだい」。
こっちは暑さとは関係がありません。
日々のありふれた風景を、こちらも16ビートのサウンドに乗って淡々とつぶやいていきます。
ヒップホップ的な「青春狂走曲」って感じでしょうか。
ギターのアルペジオとダブサウンドをミックスしたバックトラックが穏やかな表情を湛えています。
B面は「サマーシンフォニー Ver2」
ヒップホップグループのPSGをフィーチュアしてのリミックス。
個人的にヒップホップはあんまり聴かないのでこのリミックスの良さが僕にはピンと来ないのです。
が、この夏の不穏さ、不快感を巧みに表現しているという点で彼らのライミングは相当効果を上げているでしょう。
二曲目は一曲目での彼らのライムのみを収録。
一回聴けばもう十分です。
曽我部恵一バンド、ランデブーバンド、藤原ヒロシさんや川辺ヒロシさんとのコラボ、そしてサニーデイサービスの再結成。そしてソロ。
今回のシングルのアルバムバージョンを含む、ギターの弾き語りのソロアルバムも出たばかり。
自身のレーベルを回転させながらほぼ10年間休まずに走り続けている曽我部さんの音楽への飽くなき情熱には頭が下がります。クオリティを下げることなく、インディーズを運営していくことのすごさ。自由さ。
音楽と生活が深く密着した彼の音楽にはいつも励まされます。
『サマーシンフォニー』《ROSE107》〈作詞・作曲・編曲:曽我部恵一〉(05’27’’)【2010】
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