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『リアルな現実 本気の現実/佐野元春』 [佐野元春]

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こんばんは。
前回に続いて、今年めでたくデヴュー30周年を迎えた佐野元春さんのシングルを紹介します。
スポークンワーズ活動の原点、1985年に発表されたカセットブック「エレクトリック ガーデン」からのシングル『リアルな現実 本気の現実』。
そうか、「エレクトリック ガーデン」も25周年か。
と云うコトはスポークンワーズ活動も25周年。

この曲を初めて聴いたのは「moto singles」という1990年に出たシングル集でした。
衝撃を受けました。曲名もこれまでの作品と違う感じで。
元春はコピーライターとしての才能がありますね。
目を引く言葉です。
そして、サウンド。
詩と音楽。
双方が深い結びつきを持っています。
「ヴィジターズ」で得た経験をさらに進歩させてますね。
あのアルバムは云ってみればニューヨークの歩幅に合わせて作られた音楽。
それを日本/東京での活動にフィードバックして作ったのが「エレクトリック ガーデン」なのでしょう。
打ち込みで作られたテクノポップ風なブレイクビーツに乗って朗読をする。
自身の多重コーラスや声をエディットしたり様々なサウンドエフェクトを仕掛けたり、
とてもカラフルなサウンドデザインです。
今聴いても些かの古さも感じさせません。
この曲には元春のアイロニーとユーモアが光ってますね。
初めて聴いたときオドロキと同時に面白くて笑ってしまったのです。
オフビートなコメディみたいで。
元春はマルクス兄弟が好きなんですよね。
淡々と.冷静に語られる朗読もユーモラスです。
スポークンワーズの内容は、時代の寵児、ポップスターの悲劇をクールな視点でスケッチした内容なのですが、どこか寓話みたいな味付けで。
「ナンバーワンのひとりぼっち」というフレーズはとても意味が深いですよね。
聴く人によってさまざまな印象を感じるコトのできるイマジネーション豊かな元春の詩。
そして音楽。
彼をステレオタイプなロックミュージシャンだと感じている人にこそ聴いて欲しい曲。
そしてスポークンワーズのライヴを体験して欲しいと思います。
いまや市民権を得たヒップホップの音楽には無い緊張感と異質感と刺激があります。



シングルはオリジナル版を短縮したエディットバージョンです。

B面は『DOVANNA』。
シンプルなピアノのフレーズのリフレインとリズム。
繊細でセクシャルな響きの元春のリーディングが印象的な耽美的な作品。

そう云えば、「ヴィジターズ」が生まれた1984年と云えば、他にも一曲忘れられないラップソングが生まれました。吉 幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」です。
これも衝撃的でした。
近年、ニコニコ動画でこの曲のリミックス作品が多数生まれた事実はジャンルを超えたポップ音楽の素晴しさを伝えて余りあるモノがあります。

それはさておき、
シャウトするロックンロールな元春もカッコいいですが、
知的で哲学的な語りの元春もクールです。
スポークンワーズのライヴはこれからも定期的に行って欲しいと思います。


『リアルな現実 本気の現実[short edit version]』《07-5H-252》〈作詞・作曲・編曲;佐野元春〉(03'33'')【1985】



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コメント 5

いとぞう

そう、カッコよくてヒリヒリするのに、どこか笑ってしまう、それがこの曲の魅力ですよね。僕も最初に聴いたのは「モトシングルズ」でのショートエディットバージョンで。その後、オリジナルも聴いてさらに衝撃でした。

この頃、僕はまだリアルタイムで元春を体験してませんが、当時サムデイでファンになった方たちは「ビジターズ」だけでも相当なショックを受けたはずなのに、さらに進化したスポークンワーズを提示されたこの時はきっと「一体、元春はどこに向かおうとしてるんだ!?」と、かなり戸惑ったでしょうね。

「リアルな現実 本気の現実」はスポークンワーズの原点ですね。
by いとぞう (2010-09-10 17:04) 

きこ

ごふさたしています。

『ウィルはピンボケ』
という出だしが大好きです。
わたしにとっては、ちょっと拝借したくなる言葉の宝庫。

『ウィルはシャツを手に入れて 気に入るとそればかり着ている』
こういう人がすごく好きなんです。

by きこ (2010-09-14 22:00) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
ロックと日本語詞との関わりについて大きな衝撃を与えた元春の隠れた傑作だと思います。
もっと評価されても良い作品ですね。
by 都市色 (2010-09-15 02:10) 

都市色

>ろひさん、ナイスありがとうございます。
by 都市色 (2010-09-15 02:20) 

都市色

>きこさん、こんばんは。
お久しぶりです。
コメント&ナイスありがとうございます。
さりげない日常の描写の羅列なのに不思議な魅力を感じます。
シリアスなのにユーモラスですね。
僕は
「真っ赤な顔してイッショウケンメイ」というのが好きです。
ウィルの様に夢中になると周りのことなんか気にならなくなる人っていますね。
元春もそうかも。
by 都市色 (2010-09-15 02:23) 

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