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『君は天然色/大滝詠一』 [ナイアガラ]

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こんにちは。
去る3/21は毎年恒例となるナイアガラ記念日でした。
「『大滝詠一の曲がいいね』と君が言ったから、三月二十一日はナイアガラ記念日」(思いっきり字余り!)じゃなく、
忘れもしない30年前!(コント55号のネタじゃないですよ!あ、13年前か。)1981年の同日、CBS SONYから大滝詠一さんのアルバム「A LONG VACATION」が発売されました。
そのリリース記念日。
それ以来、大滝さんの作品の再発シリーズは3/21が基本的に発売日となりました。
そして今年の3/21はリリース30周年を記念しての特別盤が発売されました。
あらたに御本人によるデジタルリマスタリングを施し、さらに本盤の純正カラオケと未発表テイクを追加した二枚組仕様。
純カラ(純正カラオケ→20周年記念盤のボーナストラックである、ガイドメロディ付きのカラオケ集「Sing Along Vacation」に対する呼称)は公に初商品化されました。
これが30周年記念盤の目玉でした。
大滝さんも自画自賛する端正に構築されたトラック集。
レコーディングに約一年を費やされただけあって芸術品の如き完璧さ。
それだけを聴いていても十分楽しめます。
音を聴くとやっぱりロックンロールの勢いがありますね。

さて、シングルを紹介しましょう。
名盤の冒頭を飾る「君は天然色」。
アルバムと同時発売なのでこの盤も30周年なのです。
第二期ナイアガラの幕開けを高らかに告げる、名刺代わりの一大ポップシンフォニー。
スペクターサウンド研究/多羅尾伴内楽団/CM音楽/ラジオ番組「GO GO NIAGARA」など、エレック〜コロムビア時代のトライアル&エラーが見事に有機的に結実した一曲。
大人数によるセッションでの一発録音、迫力のある演奏に緊張感と勢いが漲ってます。
メロディは甘くポップであるけれど、サウンドはロックンロール。
音圧が胸にジンと来ます。
そんな力強い演奏に負けない大滝さんの“BREEZEが心の中を通り抜ける”ような歌唱。
第一期では演奏に埋没していた魅惑の歌声が全開。
歌手、大滝詠一の本領発揮。
なお、30周年盤には先述の純カラのボーナスディスクに更に一曲、同曲のベーシックトラックが収録されています。編集が加えられる前の純然たる一発録音でのテイクが聴けるのですが、サビのコード進行に於いて、完成版よりもキーが上に転調されています。
結果、そのオケではキーが高い為に歌いにくいと判断した大滝さんは、サビのところだけエフェクト編集で低く転調させています。それを元に歌われたのが、現行の完成版「君は天然色」。
それから、シングル盤は冒頭のカウントがカットされています。

B面は「カナリア諸島にて」。
こちらもアルバムを代表する名曲の一つ。
「ロンバケ」の収録作品群の中で最初に出来たそうです。
リゾートミュージックの極地。
「君は天然色」もそうですが、この曲のリズムも独特ですよね。
ゆったりとしたミディアムテンポですが、演奏にグルーヴがあります。
そのリズムに身を委ね、流麗なメロディに身を任せる心地好さ。
うっとりと時間は知らずに過ぎていく…。
ストリングスの響きも効果的。
サビの展開の骨格はビーチボーイズの「PLEASE LET ME WONDER」からアイディアを得ていると、何処かで書いてあったような。まぁ、元ネタなんてどうでも良いですね。
第二期ナイアガラで再びコンビが復活した盟友松本 隆氏による歌詞は単なるリゾート風景を描いた内容かと思いきや、ニヒリズムがピリッと辛口の心象風景。
慌ただしい都会生活から逃れて訪れた観光地での楽園ぶり。
別天地で開放されて、融解してしまう精神が、しなやかに描かれていて少し恐いくらい。
最後の「♪風も動かない」というフレーズが少しドキッとします。
エンディングでのピアノソロ、だんだん途切れていく様が耽美的。

さて、今回の30周年盤。
これまで絶望視されていた、状態の良いアナログマスターが奇跡的に発見され、その音源を元にしたデジタルリマスタリングでアナログ盤のような奥行きのある、繊細かつガッツのある音質が楽しめました。
20周年盤のリマスタリングの音質も十分良い出来だと思います。
国内でのCD第一号として登場して以来、何度も再発されて来たロンバケの決定版。
因みに僕は今回を入れて四回買い直しました。
初めて買ったのは高校一年の頃、1989年盤でした。
何故かラストの「さらばシベリア鉄道」が収録されていない、残念な内容でした。
2年後のCD選書による91年盤は従来の収録曲復活、そのロンバケを買い直し、89年版は中古屋へ売ってしまいました。今なら取って置くのですが、あの頃はいつも小遣いに困ってる高校生でした。
あのときからも、22年近く過ぎてます。

レコードコレクターズの昨年九月号の「日本のロックアルバム ベスト100(80年代篇)」にて一位を獲得した、不朽のベストセラーアルバム「A LONG VACATION」。
これからも、老後もきっとこの音楽を聴き続けていくのでしょうね。
賞味期限の永い音楽。
「働き過ぎ」な平均的日本人の夢のまた夢、「長期休暇(LONG VACATION)」は音源としていつもそばにいて、耳をはなやいでくれています。

美しのCOLOR SOUND、NIAGARA 。

『君は天然色』《07SH 944》〈作詞:松本 隆/作曲:大瀧詠一/編曲:多羅尾伴内〉(04'42'')【1981】



A LONG VACATION 30th Edition

A LONG VACATION 30th Edition

  • アーティスト: 大滝詠一
  • 出版社/メーカー: SMR
  • 発売日: 2011/03/21
  • メディア: CD



A LONG VACATION 20th Anniversary Edition

A LONG VACATION 20th Anniversary Edition

  • アーティスト: 大滝詠一,松本隆,大瀧詠一
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 2001/03/22
  • メディア: CD



A LONG VACATION

A LONG VACATION

  • アーティスト: 松本隆,大瀧詠一
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 1991/03/21
  • メディア: CD



大瀧詠一作品『A LONG VACATION』南国アンドロイド・カバー

大瀧詠一作品『A LONG VACATION』南国アンドロイド・カバー

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バウンディ
  • 発売日: 2011/03/21
  • メディア: CD



A LONG VACATION from Ladies

A LONG VACATION from Ladies

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・シグマ
  • 発売日: 2009/11/04
  • メディア: CD



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いとぞう

ロンバケはアナログLP、初期CD化、20周年盤と3枚買ってきたので流石に今回はもういいかなあ・・なんて思ってまだ買ってないんですが、最新のレコードコレクターズ誌を買って読んで、さらに都市色さんのこのブログ読んだらやっぱり欲しくなってきた・・
純カラはそれほど惹かれないんですけど、「君は天然色」のベーシックトラックは気になります。
20周年盤が完成度高かっただけに、今回も期待大ですかね!

ちなみにロンバケ及び「君は天然色」がリリースされた当時、小学生だった僕はまだリアルタイムでは知りませんでした。「A面で恋をして」は知っていたのですけど・・初めて「君は天然色」をちゃんと聴いた、というか知ったのは高校生になった頃で、スペクターサウンドが元になっているといっても、それ以上に重厚感もあるし、今まで聴いたことのないサウンドに衝撃受けました。その気持ちは今も変わりません。
by いとぞう (2011-03-28 01:01) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
「ロンバケ」は語りだしたら止らないですね。
僕もいとぞうさんも佐野元春経由で大瀧さんを聴き始めたと思うのですが、来年は「トライアグル2」のアニヴァーサリィ盤ですかね。
これも買っちゃうんだろうなぁ。
「SOMEDAY」の30周年盤は出るのでしょうか。
by 都市色 (2011-03-30 08:16) 

うっち

先日の元春レディオショーでの対談、興味深かったですね♪
この曲をそんな録り方してるなんて!
「デジタル・オーディオの全知識」での対談も面白かったですよ!
by うっち (2011-04-25 22:10) 

都市色

>うっちさん、こんばんは。
コメント&niceありがとうございます!
元春と大滝さんの対談も定期的にして欲しいですね。
大滝さん関連の書籍は多過ぎてまだフォロー出来てません。
「デジタルオーディオ〜」、面白そうですね。
by 都市色 (2011-04-26 00:31) 

CP99

初めて自分用のステレオを買う時に、お店の試聴用に「A LONG VACATION」がありました。
LP自体はそれ以前にも聞いた事はあったのですが、お店の(おそらく高級な)機材で聞いた時は、あまりに鮮やかな色彩にクラクラしました。
おかげで当時の自分としては不相応に高額なセットを買うことに…
もちろん今でも愛聴盤の一つです。
by CP99 (2011-05-01 14:28) 

都市色

>CP99さん、はじめまして。
コメントありがとうございます!
よいオーディオで聴くロンバケ。
よいオーディオで聴いてこそ、ロンバケ。
一生物ですよね。
僕も頑張って高音質のオーディオセットを組みたいものです。
by 都市色 (2011-05-02 11:40) 

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