『愛してるって言えなくたって/山下達郎』 [山下達郎]
こんにちは。
震災からひとつき。
とても長く時間が感じられました。
衣食住、そして娯楽。
全ての日常行動に対してこれまで感じたことの無い重圧が掛ったような、それは気遣いであり、感謝であり、違和感であり、罪悪感であり、憤りであり、様々な気持ちが混沌としてる毎日です。
こんなのんきなブログを更新している場合じゃないのかもしれません。
本当の悲しみを知らないのかもしれません。
このブログは何の為なのでしょう。
誰の為にでも無い、自己満足。
意味が無いからこそ、更新出来るのでしょう。
実に閉鎖的な、マイナーな、ひとりよがりな、判る人にしか判らないブログ。
判る人にも判らないブログ。
ダジャレブログ。
現実逃避ブログ。
愚か者の生存証明のようなブログ。
一つ言えることは、誰にも明日は判らないと云うこと。
こんなブログを読んで下さるあなた、
ありがとうございます。
今夜取りあげるのは山下達郎さんの新しいシングルです。
最近の「サンデーソングブック」は時勢を伺って、慌ただしい心を、不安な心を、悲しい心をカームダウンさせる意図を持った粛々とした選曲がされています。
全国ネットの長寿番組らしい、深い意義のある番組作りに心を打たれます。
さて、シングル「愛してるって言えなくたって」。
今回もドラマの主題歌。
ドラマを一度も観ずに済ませてしまいましたが、物語を盛り上げたであろう、珠玉のバラードに今回も仕上っております。
あまのじゃくでシャイな達郎さんらしいタイトルですね。
ピアノ弾き語りでの歌い始め。
どこか俯き加減に歌われる翳りのあるメロディが印象的。
やがてアンサンブルの楽器が徐々に増えて、サビにて燃え上がるような、真摯な愛の告白が展開されます。
ストイックに紡がれた美メロが情熱的にハートを締め付け、焦がします。
スウィートソウルばりの切ない旋律。
そして何と云っても達郎さんの歌唱の素晴しさ。
艶やかな発声、伸びやかな高音、惚れ惚れします。
唯一無二の衰えぬ歌唱力。
見事としか言えないプロフェッショナルな名演唱。
聴いたあとは、晴れ晴れとした気持になります。
カップリングは「高気圧ガール」のライヴヴァージョン。
オリジナル版がCMソングとして採用されているようですが、ライヴヴァージョンを収録してくれるのが嬉しいですね。
「PERFORMANCE 2008-2009」から、北海道公演での音源。
このツアーには僕も参加しました。
達郎さんの多重コーラスによるお馴染みのイントロが聴こえた途端にワッと沸き立ち、手拍子を始めるオーディエンス。お気持ち凄〜く判ります。
達郎さんのライヴは基本、オリジナルヴァージョンの忠実な再現ですが、単なる再現に終らないのが面白いです。ライヴで鍛え上げられたミュージシャンの芸人魂が興に乗る瞬間が素敵です。
この曲のハイライトは2コーラス目のサビ。
大地を揺るがす雄叫びを上げたあと、
バンドに合図して、「せぇの、、にぃ〜〜〜〜〜、せぇ〜〜〜〜〜、ん〜〜〜〜〜マイル飛び越えて…」と思いっきり伸ばして焦らして歌い倒す、演歌やコミックソングすれすれのパフォーマンス。
これは聴いて頂かないとオモロさが伝わらないかも。
こういう茶目っ気も達郎さんの魅力。
シリアスにコミカルに、硬軟織り交ぜてフレキシブルに展開するライヴ。
ただ高度な演奏力を擁したライヴなら沢山ありますが、達郎さんのライヴにはファンをもてなそうとするサーヴィス精神に充ちています。配慮が感じられます。誠実さがあります。
そして「JOY」があります。だから何度観に行っても感動出来るのだと思います。
舞台のセット、ライティング、構成、ミュージシャンの全てに達郎さんの美意識が貫かれています。
あぁ、またライヴに行きたくなっちゃったじゃないですか。
因みに達郎バンドの最長老であり、このライヴでもサックスを吹かれているのは土岐英史さん、ご存知土岐麻子さんのお父上であります。
楽しみなライヴの前には、同じく待ち遠しいニューアルバムへも期待が高まります。
こういう世情なので、すぐにとは申しません。
じっくり満足のゆく仕上がりでリリースして下さい。
最後に、今回のシングルのジャケットは桜のイラストがあしらわれていますが、ようやく寒い四月でも街のあちらこちらで桜が咲き始めましたね。
まだまだ地震の余波が続いています。
全ての人々に心の春が訪れますコトを願って止みません。
『愛してるって言えなくたって』《WPCL-10930》〈作詞/作曲/編曲:山下達郎/ストリングス編曲:服部克久〉(04’15’’)【2011】
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