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『ガンバのうた/河原裕昌』 [アニメソング]

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コニャニャチハ。
久しぶりにアニメ特集を。
出崎 統監督がお亡くなりになりました。
生涯現役でご活躍されていましたが、やはり深く個人的に影響を受けたのは70年代の東京ムービーでの諸作品。その中でも、このアニメーションです。
「ガンバの冒険」。
もう、これはオールタイムフェイヴァリットアニメの中の一つ。
アニメ史に残る名作だと思います。
再放送で何度も観まくりました。

出崎監督がチーフディレクターを務められた作品。
劇的な演出が印象的でした。
原作は斉藤惇夫さんによる少年文学「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」 。
こちらは未読なのです。
原作は15匹と云うコトですが、2クールの物語の展開上の制約からでしょうか、7匹にアニメでは再構成されています。
がんばり屋のガンバ。
のんびり屋のボーボ。
船乗りのヨイショ。
博識のガクシャ。
酒と詩を愛する医者、シジン。
ニヒルなイカサマ。
そしてノロイ島への冒険の鍵となる、泣き虫の忠太。
個性豊かな荒野の7匹。

コミカルなキャラクター達を待ち受けるのはハードでシリアスな世界。
ネズミたちの宿命の天敵、白イタチの〝ノロイ〟とその手下のイタチの群れ。
このノロイと云うキャラの存在感、恐ろしさ、アニメ界屈指でしょう。
鳴き声の不気味さ。
出崎監督の表現力の鋭さ。
そして長い旅路に出会う様々な傍役たち、高倉ネズミの一郎、ツブリ、クリーク、etc..。
彼らとの交流や友情。
出崎監督のスピーディなアクション描写と止め絵を多用したメリハリのある劇的な演出が効果的でした。そしてリアリズムを重視した世界感。
70年代、環境破壊が叫ばれる頃の荒廃した下町、漁港の薄汚れた湾岸、田舎の夜店などの重々しい雰囲気。そして小さなネズミたちが旅する大海原の描写、きれいで優しい海ではなく、激しく荒れ狂っている海。
作画の椛島義男さんによる絵もユニークでした。
美術の小林七郎氏によるリアルな背景のイラストも素晴しい。

さて、物語を盛り上げるのはそれだけじゃなく、勿論音楽も。
音楽を担当するのはマエストロ、山下毅雄。
物語を漂う、血湧き肉踊る世界観にマッチしたジャズやラテンサウンド。
状況はシリアスだけれど、前向きに旅を進める冒険者たちにはデキシーランドジャズが相応しい。
オールドタイミーでハッピーなジャズ。
そしてイタリア映画の様な陽気なスキャット、口笛。
生命力に充ちたブラジルのサンバ。
これらがミックスされた劇判がストーリィをさらにリズミカルに盛り立てています。
そういう訳で、前置きが長くなりましたが、シングル盤の紹介です。

A面はオープニングテーマの「ガンバのうた」。
陽気な叫び声がリズミカルなサンバのリズムに踊ってます。
聴いてるだけで胸が弾む、船乗りたちの雄々しく元気なうた。
リズムはサンバですが、演奏はデキシーランドジャズのエッセンスもミックスされてます。
酔っぱらうように吹いているホーンも楽しげ。
そして楽天的な口笛。
このテーマソングを歌ってる河原裕昌さんとは、実は俳優の河原さぶさんなのです。
この事実をNHKでのBSアニメ夜話で知りました。
ユーモラスで味わい深い揚々とした歌声、子気味の良い調子。
楽曲にピッタリです。




そして、B面「冒険者たちのバラード」。
一転して、リリカルで哀愁を滲ませた三連リズムの挽歌。
これがまた名曲なり。
この曲はアニソンの中で個人的にベスト3には入るでしょう。
歌うのは、すぎうらよしひろさん。
静かに、噛み締めるように歌われています。



クラリネットのもの悲しい調べが漂うAメロBメロ。
旅路の険しさ、苦しさが沁みてきます。
そしてサビの怒濤の展開。
ドラマティックに心を揺さぶるメロディ。
逆境に立ち向かう勇壮な調べ。
やがて旋律は穏やかに余韻を残して収束します。

♪カモメは歌う 悪魔のうたを
 帆柱に 朝日はのぼる
 けれど 夕陽はお前と仲間のドクロをうつす

これは一番のサビの歌詞で、危険な旅の予感を示唆させますね。
アニメサイズはこの歌詞で終りますので、この不穏な余韻が幼心に深く深く刻まれました。
二番のサビの歌詞は、

♪カモメは歌う 歓喜のうたを
 舵先に 朝日は輝く
 そして夕陽はお前と仲間の勝利を祝う

と、ハッピーエンドで締めくくられています。
それにしても叙情的な素晴しい歌詞、メロディですね。
浪漫ですね…。

ホント、「ガンバの冒険」について語るとキリが無いです。
今観ても飽きないです。
この物語はアウトローな流れ者たちが活躍すると云う、70年代的なムードを濃厚に反映していますね。アメリカンニューシネマに通じる世界。
海のロードムーヴィですよね。
う〜ん、素晴しい。

さぁ、みんな、シッポを立てろ!、です。

『ガンバのうた』《SOBB 4》〈作詞:東京ムービー企画部/作曲/編曲:山下毅雄〉(02’53’’)【1975】


ガンバの冒険

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  • アーティスト: 山下毅雄
  • 出版社/メーカー: SOLID RECORDS
  • 発売日: 2008/10/18
  • メディア: CD



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  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD



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コメント 5

坂井哲也

岡本夏生か! というツッコミはおいといて。

そう、この歌は河原さぶさんなんですよね。ぼくもアニメ夜話で初めて知ってびっくりしました。

ぼくも出崎といえばガンバです。
by 坂井哲也 (2011-04-23 23:54) 

都市色

>坂井さん、こんばんは。
コメント&NICEありがとうございます!
>岡本夏生か!
すみません、最近ヴァラエティ番組に疎いので、ツッコミが判りません。
「ガンバ」、良いですよね。
エヴァの量産機はきっとノロイをイメージしてるのでは?と深読みしてます。なんて。
by 都市色 (2011-04-26 00:21) 

坂井哲也

えええええ。まさか偶然、都市色さんも「コニャニャチハ」を使っているとは!
現在、プチ再ブレイクをしている岡本夏生さんが、あいさつの時に「コニャニャチハ」を使っているのです。てっきりそれを踏まえての、だと思っていました。

気付かなかったですが、ノロイと量産機は似ている!
by 坂井哲也 (2011-04-26 01:35) 

都市色

>坂井さん、こんばんは。
岡本夏生さんが挨拶で「コニャニャチハ」と仰ってたのですか。
知りませんでした。気が合うかも。
アニソン特集の時は意図的に冒頭の挨拶を「コニャニャチハ」で統一しているのです。最初の方は違うかもしれませんが。
でも調べたら「コニャニャチワ」が正しいのですね。
「ワ」なのですね。「こんにちは」のノリで表記してました。
「バカボン」読んでるのに気付かないなんて…。
改めて、赤塚先生に敬意を表して今後は「コニャニャチワ」で行きます!

by 都市色 (2011-04-26 02:12) 

都市色

>どらおさん、はじめまして。
NICEありがとうございます!
by 都市色 (2011-05-16 12:01) 

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