『ウィークエンド／ピチカートファイヴ』：03'54''：So-net blog

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『ウィークエンド／ピチカートファイヴ』　[ピチカートファイヴ] [編集]

ピチカートマニアの皆さん、こんばんは。
『03’54’’』です!!

秋らしいシングルをお届けしましょう。
大好きなピチカートファイヴの「ウィークエンド（WEEK-END）」。
1998年の秋にリリースされたアルバム「プレイボーイプレイガール」からの先行シングルなり。
タイトルはゴダール、ジャケットはピーター＆ゴードン？

どんな週末を皆さんは過ごす予定ですか？

恋人が泊まった翌朝、早く目覚めてしまう。
何となく二人でマンションを出た。
「ちょっと出ようよ」
頬が少し肌寒く感じられるようになった街の空気にハッとする。
空は既に青い、青すぎる。
東から昇る傾き気味の陽射しが少し、温かい。
シックに着重ねた秋服の長袖の向こうで右手は大切な人の左手と結ばれている。
お気に入りの皮靴の爪先が踏みしめた落ち葉。
時が止まったように穏やかな住宅街に響く乾いた二つの靴音、金木犀の香りのする少し大きな公園へ。
澄んだ空気を呼吸しながら、隣人から漂うパルファムの残り香を確かめる。
誰もいない公園の奥の緑地。
秋のひととき。
週末のひととき。

壮麗でシンフォニックなイントロから一転、押し寄せるように轟くドラミング。
せっかちなフィルイン。
ダイナミックなサンバのリズムとブラスの音色。
爽やかで淑やかな野宮真貴さんの歌声。
そして彼女のヴォーカルに寄り添うお相手の歌声はコレクターズの加藤ひさしさん。
ダンディでクールなプレイボーイに相応しい声色。
愛の高まりを胸に秘めてクールなメロディをなぞります。
野宮さんと加藤さんという、容姿も内面もかっこいい素敵な大人の歌声が楽曲をさらに引き立ててますね。そして、ピチカートファイヴのデビュー時以来の伝統でもある男女のユニゾン形式の魅力を改めて感じます。
間奏の情熱的なウーリツァーのソロ演奏は河野伸さんによるもの。
少し音が割れるような音の響きが印象的。
エンディングの「ラララ…」の歌声もロマンティック。
派手な曲ではないですが、とても大好きな曲です。
アルバム版より少し短くエディットされています。
それから、同年にこの曲をクレモンティーヌさんが小西さん自身のプロデュースの元でカヴァーしています。アルバム「HEURE D ETE」収録です。歌詞は勿論フランス語。

カップリングは「不景気」。
身も蓋もない物凄いタイトルですよね。
でもシンプルな一筆書きの様な2分ちょっとの可愛らしい曲。
最近若くてカッコいい男の子に出会わないなぁ、不景気だわ。とボヤく真貴お姉様。
小西さんの非凡でユーモラスなソングラティングの才能を感じます。
しかもこの曲でアルバム「プレイボーイプレイガール」は幕を上げるのですね。
アルバムバージョンではGRAND-PRIXという2人組のガールグループがヘタウマなヴォーカルで参加しています。

「プレイボーイプレイガール」はタイトル通り、野宮真貴さんのヴォーカルをメインにしながら、様々な個性的で歌唱力のある男性歌手（プレイボーイ）をフィーチュアしたアルバム。
池田聡、加藤ひさし、ブレッド＆バター、斎藤誠、有近真澄といった錚々たる顔ぶれ。そしてナレーションは故細川俊之。ハンサムな良い声ばっかり。（敬称略）実現しませんでしたが元タイガースの加橋かつみさんも参加するプランもあったようです。
そんなヴォーカルアルバムが悪いはずが無いでは無いですか！

「ひとつの時代を彩った気分の終りを見つめながら歌われた、懐かしくて新しい、明るくてやるせない歌の数々が集まった後期ピチカートファイヴの最高傑作。」

という、松永良平氏によるミュージックマガジン（2011年6月号）の小西康陽特集に於けるピチカートファイヴのディスクレヴューに同感です。
というか、ピチカートのアルバムは今聴いてもどれも良いんですけど。

じゃ、素敵な週末を！

『ウィークエンド（WEEK-END）』《CODA-1614》〈作詞／作曲／編曲：小西康陽〉（03’42’’）【1998】