『Colour My World ／池田 聡』

こんばんは。
太陽と月に背いて、日蝕を見逃していつも通りの一日でした。
朝、空を見上げましたが、普通に眩しい日光でした。
五月晴れの少し風の強い日でした。
そんな日に聴きたくなるシングルを。

池田 聡さんの「Colour My World」。
この曲は1998年に小西康陽さんが書き下ろしたシングルオンリーの楽曲。
小西さん曰く、
「ラジオで突然聴いたりしたら、その日一日幸せな気持になれるような…」
まさに爽やかで心地好い気分にさせてくれる曲。
ブルーマンデーも吹き飛ばしちゃうでしょう。
過剰な押しつけや、見てくれだけの奇抜さや、あざとさのない、等身大のラブソング。
衒いのない素直なポップソングの魔法。

♪あなたが好きなのは　たとえばどんな色？
　たとえば　今日の青空の色？
　泣きたくなるほど　深くせつない
　風の強い日の　青空の色

イントロなしで歌いはじめられる池田さんの素敵な歌声。
さりげなく、肩の力の抜けた、リラックスした歌声。
澄み渡る、ナチュラルな歌声。
それでいて深みと艶のある歌声が伸びやかに響きます。
《魅力ある歌唱力》のみが発せられる力を感じずにいられません。
豊かな歌声と瑞々しいメロディが聴く者の琴線を震わせます。
同時に心が健やかで穏やかになっていきます。
MORな音楽の力。
小西さんのソングライティングの素晴しさ。

そして窪田晴男氏によるアレンジの冴え。
打込み主体のリズムはシンプルに淀み無く、そして上もののストリングスとホーンは生音でゴージャスに。まとまりのあるスッキリとしたサウンド。
氏が弾くエレキシタールも効果的。
小西さんとも付き合いの長い窪田氏の面目躍如。

迷いもなく名曲だと思います。
いつかこの曲が不意にラジオから流れてきますように…。
きっと、沈んだ心も晴れやかになるはず。
素敵な色で心を塗り上げてくれるはず。
とても良い曲なのですが、アルバム未収録。
ベスト盤にも入っていません。
まさに隠れた名曲。
池田さんは良い曲が多いですが、この曲も負けないくらい良い曲だと思います。

カップリングは同曲のインストバージョン。
といってもカラオケではありません。
カラオケは別に3曲目に存在しています。
これはストリングスをフィーチュアしたバージョン。
だいして『Colour My World （6422 Strings mix）』。
オリジナルバージョンとは別にストリングス隊だけ録音されています。
タイトルにある6422とは弦楽団の構成内容の事だと思います。
この場合だと、第一バイオリン6本、第二バイオリン4本、ビオラとチェロが各二本。
清廉としたストリングスの響きで楽曲の持つメロディの美しさをフォーカスしています。
ストリングスアレンジは村山達哉氏によるもの。

池田聡さんと小西さんというと、池田さんの1992年にリリースされたアルバム「至上の愛」。
小西さんがアルバム一枚プロデュースしている力作。
タイトル通りジャズやR＆Bをサウンドに取り入れた内容。
個人的にピチカートの「Bellisima!」の続編のように楽しみました。
その後も池田さんはピチカートのアルバムにコーラスで参加したり、
小西さんが担当した、市川 崑監督の「新撰組」（1999）のテーマソングを歌ったりしています（残念ながらこの曲は未だ音源化されていません）。
お二人のコンビは相性が良いと思います。
小西さんの大人の音楽を歌いこなせる歌手。

池田さんは現在もマイペースで活動されていて、
いつかまたこのコンビでの新曲で歌を聴いてみたいです。

ちなみに今回のシングルはご覧の通り、短冊シングル。
ジャケットは顔を両手で覆う池田さんの上半身のモノクロのポートレイト。
ジャケの表紙、両手で顔を覆っている箇所が円形にくり抜かれています。
その下地には短冊シングルお馴染みのプラスティックの骨組み。
そこがクリアー仕様になっていて、さらにその下地の裏表紙の同内容のポートレイトが透けて見えます。
クレジットはありませんが、恐らくアートワークを担当しているのは信藤三雄氏率いるコンテムポラリープロダクションだと思います。

短冊シングルは最近余り取りあげていないので、
次回も爽やかな曲を紹介したいと思います。
お楽しみに。

『Colour My World』《CODA1394》〈作詞・作曲：小西康陽／編曲：窪田晴男／ストリングス編曲：村山達哉〉（04’02’’）【1998】