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『セカイの皆さんへ / 集合体/おおたえみり』 [邦楽ロック10年代]

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こんばんは。
70年代を代表する女性シンガーソングライターの次は、
21世紀の最新型の女性シンガーライターを紹介しましょう。
おおたえみりさんです。

彼女は関西出身の弱冠19歳の女性。
これまで関西地方を中心にライヴハウスで活動したり、ユーストリームでライヴを配信したり、自身のオリジナル作品を音楽配信をしていましたが、先月に満を持してのメジャーデヴューです。
彼女の音楽を知ったのは3年ほど前だと思います。
2年前の夏、心斎橋のライヴハウスで前園直樹グループのイベントに出演していた彼女の歌と演奏に引き込まれました。
その自由で個性的なソングライティング。
欧風なメルヘンの世界から現れたような愛らしい容姿。
一度聴いたら忘れられないヒロイックな歌声。
圧倒的な存在感。
安藤裕子さんも彼女の才能に惚れているそうですね。

今、女性シンガーソングライターと呼ばれる方はとても多いですが、
それ故にステレオタイプなサウンドやメッセージに没個性感じることが多いですが、
彼女は違いました。
つかみどころの無いポップセンスに降参です。

そんな訳で、おおたえみりさんのデヴューシングルを。
CD&DVDのセットでのリリース。
これはよくあるパターンですが、
DVDにCD収録曲のPVを収めておらず、CDと別内容の5曲のピアノの弾き語りを収めた映像が入ってるのは少し風変わりです。

まずはCDから。
こちらには「集合体」という楽曲が一曲とそのインスト。
えみりさんの比類なきスケールを感じさせる作品です。
この曲はインディーズ時代に引き語りで聴いたことがありますが、アレンジが異なります。
aikoさんやいきものがかりのアレンジャーとして有名な島田昌典氏が編曲を担当。
迫力のあるリズムアレンジと華麗なオーケストレーションが施されています。
壮麗なイントロに導かれて、エレガントなAメロ、そして風雲急を告げるBメロ、
そして劇的に一気に畳み掛けるようなサビのメロディにきりきり舞い。
メロディのセンスもユニークですが、それ以上に言葉のセンスも非凡です。

♪君は間違っていたんだ 関東弁の集合体

サビで連呼される不思議なフレーズ。
このラインから色んなイメージが膨らんでいきます。
さらに間違っていたのは「日本」「世界」「みんな」へと広がっていきます。
関西出身の彼女から発せられる関東および世界への異議申し立てでしょうか。
個性より集団を重んじる「村社会」への警告?
邪気の無いような歌声で歌われると不思議と嫌味は感じられません。
その破天荒なセンスに惹かれてしまいます。
シンフォニックな島田氏のストリングスアレンジも効果的。
バッキングを担当するのは佐野康夫(Dr)、沖山優司(Ba)、名越由貴夫(Gui)諸氏。
彼らの確かな演奏がサウンドを盛り立てます。



一方、「セカイの皆さんへ」と題されたDVDには先述のとおりオリジナルの5曲の演奏が収められています。
髪をひっつめて、ワンピースのドレスに身を包んでグランドピアノに向かう彼女のスタジオライヴのモノクロ映像。

一曲目は「舞台の女」。
軽快な鍵盤をリズミカルに叩きながら激しく捲くし立てる彼女。
舞台の女についての物語を熱く歌います。
猫のように歌うサビに鬼気迫ります。

二曲目は「月とレヴェル」。
素っ頓狂なえみりさんの魅力バクハツな歌と演奏。
調子っぱずれなメロディ展開にクラクラ。

♪戦争反対したいけど 貴方に従うからしない

というフレーズにギャフン。


三曲目は「女の絵本」。
ゆったりとしたピアノのリズムに甘ったるいメロディ。
そして少し抑え気味に神妙に歌われる不穏なフレーズ。

♪ あなたは綺麗な私の1ページになったの

四曲目は「あなたと私」。
矢野顕子さんを髣髴させるようなテクニカルなピアノ演奏、そしてエキセントリックで破壊的な歌とメロディ。
えみりさんの才能に早くから目をつけていた小西康陽さんは、かつてご自身の著作にて、このような言葉を残されていたことを思い出します。

 “”すべての女性シンガーソングライターは不思議ちゃんである。”

五曲目は「カーテン」。
繊細で叙情的な鍵盤の響きが印象的なバラード。
自由で美しいメロディ展開にハートを射抜かれます。
小鳥のように愛らしい歌声が切ないです。

ビョークの少女時代のような現実離れした容姿に惹かれながらDVDのピアノ演奏の映像を楽しみました。
どこにも属さない、孤高な存在感を十分にアピールするシングルです。

先月の上旬、僕の大好きなビートバンドのライヴ会場にておおたえみりさんをみかけました。
その会場は偶然にも二年前に彼女のライヴを観た心斎橋のクラブ。
バンドのメンバーの方もえみりさんの知り合いでした。
終演後、手持ち無沙汰でいたえみりさんに失礼ながらお声をかけさせて頂きました。
緊張の真っ只中で「応援しています」程度の挨拶でしたが、笑顔で応えてくれました。

これからの活躍が本当に楽しみです。
どうぞ、孤高を貫いて、突拍子も無い音楽を届けてください。

『集合体』《CTBR-92077/B》〈作詞作曲:おおたえみり/編曲:島田昌典〉(03'29'')【2012】


セカイの皆さんヘ/集合体(DVD+CDSingle)

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  • 出版社/メーカー: カッティング・エッジ
  • メディア: DVD


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