『ランブルスコに恋して／野佐怜奈』：03'54''：So-net blog

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『ランブルスコに恋して／野佐怜奈』　[ピチカートファイヴ] [編集]

こんばんは。
少し間が空いちゃいましたね。

八代亜紀さんのアルバムと同じ日にリリースされたのが、
本日ご紹介する野佐怜奈さんという新人歌手のデヴューアルバム『don't kiss,but yes』です。
このアルバムをプロデュースしているのが高浪慶太郎さんであります。

小西、高浪両氏による元ピチカートファイヴのメンバーによるプロデュース作が同じにリリースという、ピチカートマニアには大変喜ばしい10月10日。

という訳で野佐玲奈さんのデヴューシングルを取り上げましょう。
アルバムの先行シングルでアナログ限定です。
タイトルは『ランブルスコに恋して』。
ジャケットのイラストは漫画家、やまだないとさんによるもの。
ランブルスコとは何ぞや、と世間知らずの当方が調べたところ、イタリアで作られているワインの種類だそうです。
エレキ歌謡風のギターのフレーズが印象的なイントロ。
ちょっぴりスパイ映画のフレーバーも混じってたり。
高浪さんのお得意な甘くセクシーな歌謡ポップス路線。
70年代の歌謡曲の艶っぽさ、メロディの明快さを見事現代に再構築。
この曲のギターはヒックルヴィルの中森泰弘さん、ベースはサリー久保田さん。
どちらもネオGS出身ですからわが意を得たりなプレイです。
野佐怜奈さんの歌声は澄んでいて、クールで聴いていて心地よい響きです。
そう、野宮真貴さんにとても似ています。
スッキリと魅力的な歌声が好みです。
そしてこの曲ではデュエットにキノコホテルのマリアンヌ東雲女史が参加されていて、
セクシーな歌声で同性の野佐さんとキケンな関係を匂わせています。
魅惑のお二人のハーモニーにクラクラします。
エンジニアを担当するのは80年代から活躍し、渋谷系ミュージシャンも多く手がけたハンマーレーベルの森達彦さんです。

B面は『黄昏のスキャット』。
アルバム未収録ですが、アルバム収録曲の『スキャット』の変奏バージョンで、
イタリア映画音楽のように甘美でロマンティックなメロディを高浪さんのスキャットで織り込んだサウンドに乗せて、怜奈さんと東雲女史が愛を語ります。
愛に理想を求める前者と酸いも甘いもかみ締めた後者の言葉が対照的。

三年ほど前から音楽活動の拠点を故郷の長崎に移して、旺盛な音楽活動を続けてこられている高浪さん。
活動の第一歩として、地元長崎における音楽史を幕末にスポットを当てて、作品を発表されました。
さらに、地元の音楽のルーツを現在まで辿りながら、高浪さん自身のポップス観との接点を見出して今年の春に発表した高浪慶太郎＆プレイタイムロック名義のアルバム。
そして今回の野佐怜奈さんのアルバム。
ご自身の音楽ルーツを見つめ直した高浪さんの歌謡曲、ポップスへの愛情が作品のクオリティに素直に反映されている出色の出来であります。
このアルバムにコメントを寄せられたサバービア、カフェ・アプレミディでおなじみの橋本徹さんが1993年のピチカートファイヴを引き合いに出されていましたが納得です。
『キャッチー』を合言葉に小西さんと高浪さんが明快なメロディとポップなサウンドを惜しげもなく一枚のアルバムに注ぎ込んだ『ボサノヴァ２００１』を髣髴させる内容なのです。
筒美京平さんの作品や渋谷系ファンの音楽がお好きな方にはお勧めです。
プレイタイムロックのアルバムも素晴らしいです。

小西さんはmegさんや小泉今日子さんの新作にも楽曲を提供していますね。
思い起こせば小西さんと高浪さんのお二人が作家として参加したソリッドレコードによるヴァーチャル歌謡曲集『夢のアルバム』（1988）のときと同じ、いやそれ以上に深い情熱を現在も歌謡曲／ポップスに傾けられていることがファンとして嬉しいです。
そういえば、コマソンの女王、のこいのこさんの今年リリースされたアンソロジーにも小西さん、高浪さんの作品が収録されてました。
野宮さんも今年はデヴュー30周年記念盤を出しましたし、ピチカートマニアには嬉しいことが多かったです。
野佐怜奈さんの近々行われるライヴにはポータブルロックとしてタイバンするようですし、行きたいなぁ。

『ランブルスコに恋して』《》〈作詞：野佐怜奈／作曲：高浪慶太郎／編曲：高浪慶太郎＆toshi808〉（03'34''）【2012】