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『君の好きなバンド/鴨田 潤(イルリメ)』 [邦楽ロック10年代]

boku no sukina bando.JPG


こんにちは。
鴨田 潤 a.k.a イルリメさんの12インチシングルを。
これは新しい日本語のロックのスタンダードと言ってしまいたい名曲です。
イルリメさん。

彼のコトを知ったのはまだそれほど昔ではなくて、
初めて知ったのは二階堂和美さんのアルバム『二階堂和美のアルバム』(2006)の作詞家、プロデューサーとして。
そして間をおいて、2011年に出された鴨田 潤名義の初のギター引き語りアルバム『一』。
続いて同年、キングジョーこと、森本ヨシアキさんによる原作、須田信太郎さんによる作画で発表されたコミック『淀川ハートブレイカーズ』の劇中で引用された、イルリメ名義のHIP HOPソング『トリミング』(オリジナル・バージョンは2004年発表『www.illreme.com』、2010年のアルバム『360°SOUNDS』にリアレンジ・バージョンを発表)。
そして翌年、Chrystal、 K404と共に結成した(((さらうんど)))のデヴューアルバム。
さらに鴨田 潤名義の処女小説集『てんてんこまちが瞬間速』。
それぞれの作品がど真ん中のストライクでやられました。
ラッパー、シンガーソングライター、作詞家、プロデューサー、小説家、コラムニストなどなど、表現の幅の広さを貫く確固たるエンターテイメント性。
そのどれもが面白い。
“(((さらうんど)))”“360°SOUNDS”といったネーミングは彼のジャンルを超えた音の世界の広がりっぷりを証明しているようです。
『淀川ハートブレイカーズ』も『てんてんこまちが瞬間速』、とっても素晴らしいです。


その大胆不敵な面構え、飄々とした佇まい。
一度聴いたら忘れられない、クセのある響きの歌声。
豪快で人懐っこく、ユーモラスなポップセンス。
ヒップホップもフォークもエレクトロニカもロックも彼の唄が乗れば、唯一無二の“イルリメ・ワールド”に吸い込まれます。
そのイルリメさんの最新作。
『君の好きなバンド』《シングルバージョン》。
ストレートなバンドスタイルのロックンロール。

「君がお気に入りのバンド、実は僕も以前から大好きだったんだ。」というただそれだけのコト。
なのですが、それが実に青春時代には大きな意味を持っています。
それだけが総てかもしれないほど。
音楽が大好きな方には一つや二つ、身に覚えがありそうな、とても共感出来るエピソードが歌に真空パックされてます。
好きな音楽(しかも少しマイナーな)を好きな相手と共感できたコトの感動。
偶然に知ったときの驚き嬉しさ。
運命と勘違いしてしまいそうで。
何物にも換え難いものです。

その高揚感をゴキゲンなロックンロールに練り込んで。
エッヂの効いたファズギターとベースが刻むバックビートのグルーヴ、
昆虫キッズの佐久間裕太氏の叩くワイルドなドラミング、
演奏も架空の『好きなバンド』を体言させるような楽しさで。

12インチでは様々なこの楽曲のバージョンを楽しむことが出来ます。
元々この曲は昨年に発表された、イルリメさんのメールマガジン『できごころ』にて公開された音源です。
さまざまなコンテンツを楽しめるダウンロード形式の雑誌のようなメールマガジン。
A面には、上記の『君の~』の《シングルバージョン》、
そしてtofubeatsの『水星』にフィーチュアされた会社員ラッパー、オノマトペ大臣がこれまたフィーチュアされての『君の好きなバンド featオノマトペ大臣ver』。
オノマトペ大臣は今、売り出し中の飛ぶ鳥を落とす勢いですね。
LBネーションのナオヒロックロックと共演したり、去年リリースされたオノマトペ大臣の12インチ『街の踊り』も面白かったです!
韻を踏んだりせずに、感情の赴くまま、カラフルな心象風景を自由にのびのびと飛び回るリリックとフロウ。
B-Boy系のラッパーとは一線を画す、いい意味でアマチュアっぽい感じが魅力です。
テープの回転数を少し上げたかのような声もミリョクです。
バンドの演奏に乗って、ライブハウスの興奮を速射砲で捲くし立てるようなMC。
大臣はイルリメさんに影響を受けているのかもしれません。

A面の二曲は『できごころ』で既に紹介されています。

B面も二曲収録。

一曲目はChrystal氏によるリミックスバージョン。
ファンキーなギターカッティングとベースライン、アッパーなドラミングが効いたR&B風に仕上がっています。
(((さらうんど)))のアルバムにも参加しているSTRINGSBURN a.k.a. Kashifさんがベースとギターを担当。

二曲目は大阪在住のトラックメイカー、Avec Avec氏による『君の好きなバンド featオノマトペ大臣ver』リミックス。
(((さらうんど)))っぽいメロウでダンサブルな、さわやかなエレクトロニカ。
ちなみにオノマトペ大臣とAvec AvecはMaltine Records所属のアーティスト。

ジャケットのイラストは、キングジョーさん。
デザインは河村康輔さん。
キングジョーさんはガレージ/パンクロック系に造詣の深い方ですね。
先に述べた『淀川~』でも音楽への愛情が炸裂しています。
クレイジーでパンチの効いた可愛いイラストが素晴らしい。
イラストの中心、ロゴの辺りには(((さらうんど)))のジャケットがさりげなく描かれてたり。
ジョーさんは『できごころ』にも参加されています。

音楽への無防備で無邪気な愛が詰まった12インチです!

『君の好きなバンド』《JS12S097》〈作詞・作曲・編曲:鴨田 潤〉(04'24'')【2012】


君の好きなバンド [12 inch Analog]

君の好きなバンド [12 inch Analog]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: JET SET
  • 発売日: 2012/12/07
  • メディア: LP Record



一

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バウンディ
  • 発売日: 2011/03/09
  • メディア: CD




(((さらうんど)))

(((さらうんど)))

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: BounDEE by SSNW
  • 発売日: 2012/03/07
  • メディア: CD



てんてんこまちが瞬かん速

てんてんこまちが瞬かん速

  • 作者: 鴨田 潤
  • 出版社/メーカー: ぴあ
  • 発売日: 2012/03/07
  • メディア: 単行本



淀川ハートブレイカーズ

淀川ハートブレイカーズ

  • 作者: 原作:森本ヨシアキ
  • 出版社/メーカー: PRESSPOP
  • 発売日: 2011/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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