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『オレンジのダンシング/高橋みゆき』 [アニメソング]

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こんばんは。
アニソンもラグジュアリー歌謡で沢山紹介されていましたね。
80年代のアニソンを聴くだけで、あの当時の思い出がフラッシュバックしてきます。

朝早起きして、登校前に。
学校から帰ってきて、お茶の間に寝転んで夕方に。
冬休みや、春休み、夏休みに昼間から。
たいてい、アニメや特撮を観ていた小学校時代。
のんきな時間割。
物語の内容は忘れてしまっても、テーマソングのメロディは覚えているものです。
そういう感覚はアニソンの質が変わろうと、今の若い世代にも通じるものなのだと思います。

本日ご紹介するラグジュアリー歌謡。
これも前々から取り上げたいと思っていたらガイドブックに先を越されてしまいました。

吾妻ひでお先生の原作アニメ、『ななこSOS』の主題歌『オレンジのダンシング』をご紹介。
吾妻先生の漫画は当時は読んでいませんでした。
だって小学生では読めない成人誌が多かったし、週刊チャンピオンもガキには少し距離がありましたね。
ジャンプが主流でしたし。
アニメ雑誌に連載されていたのは少し読んだことがありましたが。
ちゃんと読んだのは大学時代。
『不条理日記』とか短編集を古本屋で探して読んだりしてました。
『ななこ~』も文庫本で以前に復刊されたので買いました。
今読んでも面白かったです。
唯一無二ですね。
アニメ版は当時、僕の住む地方では放送してませんでした。
でもこんな素晴らしい曲だったんですね。

番組の音楽も担当していた新田“ヨロシク”一郎氏が作曲編曲も担当してます。
新田さんというと、80年代にサザンのアルバムに多く参加されてたり、スケバン刑事の音楽を担当されたりしていましたね。
勿論、スペクトラムも有名ですね。
作詞は大御所、伊藤アキラ氏。
歌は高橋みゆきさん。

オープニングテーマはアイドル全盛時代にピッタリで。
シティポップスのリゾート感バクハツ。
晴れやかな風景が視界いっぱいに広がるようなサウンドスケープ。
生楽器の躍動感溢れるリズム。
歌詞の物語を魅惑的に導くメロディ。
ストリングスとブラスによるキレの鋭い響き。
そんでもって颯爽とした音を背景に活き活きと歌うヒロイン。
高橋みゆきさんの歌声がまた実に素晴らしいのです。
悩める青少年の蒼いハートを優しく慰撫する声色。
劇的なサビの開放感。
デリケートゾーンをめがけて一直線。
これには参りました。
最高です。



B面は『星空ノクターン』。
エンディングテーマでした。
こちらも伊藤&新田コンビの作品。
打って変わって、しっとりとウットリとした夜想曲。
こちらもメロウこの上ない、胸を切々と締め付ける甘美な調べ。
どうしてこんなに聴いていてセンチメンタルな気分になってしまうのでしょう。
高橋みゆきさんの奥ゆかしく一途な歌唱表現にも抗えません。



作画にクレジットされている高橋春男という方、漫画家としても有名な、いわゆるひとつの高橋春男さんでしょうか。

今聴いても、ハートを鷲づかみにされるサウンド。
メロディの骨格がしっかりしていますね。
一度聴いただけで印象に残るキャッチーなメロディ。
そのメロディを活かすアレンジメント。
生演奏の確かなリズム・アンサンブル、ゴージャスな上モノ(ブラス、ストリングス)。
音質もクッキリしてダイナミックですよね。
プログラミングでは出し得ない、マニュアルプレイの醍醐味。
凄く厚みがあって奥行きのある音がします。
現在の日本のロック産業でここまで人手の掛ったゴージャスなレコーディングはメジャーレーベルでも出来ないと思われます。
80年代前半なのでまだアナログ・レコーディングが主流だったでしょう。
あの時代にしか創れない音があります。
非常に情報量が多い音。
アナログ盤でメチャクチャ良い音がします。
そういう意味でも非常にラグジュアリー性が高いです。

あまり顧みられる事のないマイナーなアニメーションにもハイクオリティな音楽がフツーに使用されていたわけで。
それは『ななこSOS』に限った話ではなく。

何と申しますか、“茶箱広重”ですね。
元・二代目の歌川広重は、晩年は外国輸出用の粗末な茶箱のラベルに浮世絵を描きながら糊口を凌いでいたそうで、人々から「茶箱広重」と呼ばれていました。
二代目広重による絵の質の高さは特に外国人から重宝がられ、茶箱からラベルの浮世絵を剥がして保存したていたといいます。
その浮世絵がやがて印象派に影響を与えたのは歴史が証明しています。

何の話をしているのか判らなくなってきましたが、吾妻ひでおの描く女の子は最高!
ここで云いたいことはそういうことじゃなく、80年代に大量生産消費社会のサイクルに合わせて創り捨ての勢いで生まれた商業音楽の中にも素晴らしいものが多くあり、その輝きは普遍。
歌謡曲という、大よそ芸術とは無関係な、お金儲けの為に作られた音楽に秘められた創意が美しい。
無駄なものに賭けられた情熱がラグジュアリー歌謡なのかも。
合成着色料で出来た音楽。

タイムリーなことに新田さんの1stソロアルバム『クールが熱い』もタワレコで再発されたばかりでした。
今、ラグジュアリー歌謡が熱い!かも。


オレンジのダンシング』《KV-3038》〈作詞:伊藤アキラ/作曲・編曲:新田一郎〉(03'24'')【1983】

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コメント 3

都市色

>坂井さん、nice!ありがとうございます。
by 都市色 (2013-03-27 23:44) 

村石太♪

こういうアニメも あったんですね。見ていないです。アニメ同好会(名前検討中
今 アニメソングも スゴイ 盛り上がりですね。アニソンコンサート 行ってみたいです。
新田一郎 クールが熱い で 検索中です  
今 動画で 新田一郎 サンセット サンライズを 聴いていました。この曲は 高校の頃 好きでした。大人になって どんな恋愛が できるかなぁ~
私が 高校の頃 クールが熱い というアルバムを カセット テープに 吹き込んでもらいなんども 聴きました。いいアルバムです。最高。
音楽同好会(名前検討中 新田一郎を語る会
by 村石太♪ (2013-04-23 19:27) 

都市色

>村石太♪さん、はじめまして。
新田さんは劇判も多く手掛けていましたね。
「サンセットサンライズ」と「オレンジのダンシング」、そういえば似ていますよね。姉妹作品って感じで。カッコいいですね。
by 都市色 (2013-04-25 00:19) 

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