『パリの恋人/ トーキョーの恋人／観月ありさ』 [ピチカートファイヴ]
ピチカートマニアのみなさん、こんばんは。
今夜は2人の女優が小西康陽を歌うシングルを。
小西さんの楽曲提供作品をコンパイルしたアルバム『君になりたい。 』（2004）のリリースを記念してのスプリット7インチ。
ジャケットのイラストは漫画家のくらもちふさこさん。
『天然コケッコー 』の右田そよですね。
A面は観月ありささんの『パリの恋人/ トーキョーの恋人 』。
彼女の3rdアルバム『ARISAIII LOOK 』に収録されていました。
聴けば判る、“ロジャニコ歌謡”。
小西さんに多大なる影響を与えたロジャー・二コルズ＆スモール・サークル・オブ・フレンズの『Don't take your time 』を下敷きにしたロマンティックなアイドルポップス。
ピチカートの『大都会交響曲』も“ロジャニコ歌謡”ですね。
小気味の良いリズムとメロディに乗って繰り広げられるモノローグ。
社交的でスマートなパリの男性と、内向的で不器用なトーキョーの男性のデートでの振る舞い方について、トーキョーの美しい女の子が歌声で語ります。
小西さんの楽曲の魅力は歌詞にもあります。
『アイドルなんて聴かないで』同様、この曲もちょっとしたストーリィになっていて最後のオチがイイですね。
♪フランス人のように～はいきませんがトーキョーの恋人もそれはそれで魅力的であります。
coba.さんの演奏するアコーディオンのメランコリックな音色がフィーチュアされていて、フレンチポップスの情緒もたっぷり。
華麗なるストリングスの調べと絡み合います。
そして何より素晴らしいのは観月ありささんの歌声。
歌の中のヒロインが聡明で可憐な雰囲気を湛えているのは彼女の歌の巧さに負うところも大きいと思います。
歌手としても類稀なる才能をお持ちです。
小西さんはアルバム『ARISAIII LOOK 』にもう二曲、楽曲を提供しています。
そのうちの一曲『Friend and Lover 』は『ハッピーサッド 』風のR&B。
続いてB面は市川実和子さんが歌う『マジック・カーペット・ライド 』。
シンガーとしての市川さんの単独作品は大滝さんが手掛けたシングルとアルバムのみですが、
大滝さんとのコラボ以上に歌手としての付き合いが長いのが小西さんでした。
小西さんがピチカート解散以降に手掛けた様々なコンピレーションや企画アルバム、そしてラジオ番組に歌手としてナレーターとしてディスクジョッキーとして参加しています。
公式にリリースされた音源はそれほど多くないですが、野宮さん、野本かりあさんの次に小西さんの曲を多く歌っているのは市川さんではないかと思います。
ピチカートの代表曲のひとつである『マジック・カーペット・ライド 』の市川さんによるカヴァーバージョンは、解散一周年記念の（セルフ）トリビュートアルバム『戦争に反対する唯一の手段は。 ピチカートファイヴのうたとことば 』（2002）の最後に収録されました。
オリジナルバージョンはサイケデリック・ポップ調のアレンジでしたが、市川さんのバージョンはストリングスとホーンが流麗に奏でられる端正な佇まいのポップス。コリン・ブランストーンを髣髴させるような。
アレンジは勿論、小西さん。
市川さんのミスティなアルトヴォイスのもの悲しいムードが楽曲の無常観をさらに高めています。
市川さんの歌手としての才能を高く評価している小西さんによる、
積年の夢でもある、市川さんのオリジナルアルバムは実現するのでしょうか？
是非に聴いてみたいと思います。
『パリの恋人／ トーキョーの恋人 』《RMEP-0008》〈作詞・作曲・編曲：小西康陽〉（04'07''）【2004】
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: READYMADE INTERNATIONAL
- 発売日: 2004/03/31
- メディア: CD
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