『LSB-1002／冗談伯爵』 [邦楽ロック10年代]
こんばんは。
秋めいた日々にピッタリなシングルを。
冗談伯爵というユニットの最初の作品（CD-R）。
夏頃に手に入れてたのですが、紹介しそびれていました。
冗談伯爵とは、ＳＳＷの前園直樹さんとトラックメイカーの新井俊也さんの二人組。
昨年から制作を開始して今年の春にリリース。
前園直樹さんは21世紀初頭からソロ活動を経て、近年は小西さんらと『前園直樹グループ』というバンド活動をしていました。
このバンドは主に“日本語”による“うたとことば”に特化した和モノの名曲をカヴァーするコンセプトがありました。
その活動を経てのユニット結成。
ちなみにこのシングルのタイトル『LSB-1002』は品番だと思いますが、“LSB-1001”に当たるのは、前園さんが“ZONY”という変名で制作した『LOVE SHOP BGM 1』というアルバムです。
このアルバムはポール・マッカートニーの『RAM』とビーチ・ボーイズの『スマイル』をミックスしたようなストレンジな箱庭ポップスです。素晴らしい。
もうひとかたの新井俊也さんも同グループのメンバーである小西さんのプロデュースワークに関わり合いの深い方です。
そんな“冗談伯爵”のシングルは21世紀の“ソフトロック・ドライヴィン”とも云える素晴らしい和モノに仕上がっています。
一曲目は『city line』。
詞／曲ともに前園さんの楽曲。
アコースティックギターのストロークと穏やかなビートが刻む、ミディアムナンバー。
風通しの良いメロディとサウンドに耳を澄ましていると自然と心がリラックスしてきます。
前園さんが綴る、懐かしく心地よい風景を喚起する歌詞の世界も素敵です。
僕が生まれた1970年代初頭の街の雰囲気が感じられます。
涼しげで、優しい前園さんの歌声とともに、時間を飛び越えていく音楽に身を任せます。
二曲目は『bird man』。
作詞が前園さん、作曲は新井さんのアップテンポの爽やかな曲。
疾走感のあるビートに乗って、タイトル通りに大空を翔ける男。
軽やかなサウンド、メロウな旋律の追い風を受けてシティポップスの魅力バクハツ。
前園さんのロマンティックな歌詞と歌声。
ドライヴにピッタリ。
三曲は『雨上がり』。
16ビートの緩やかなグルーヴに抒情的な歌詞とメロディがしなやかに展開されます。
作詞作曲共に前園さん。
前園さんのたおやかで優しい歌詞は日本語の美しさを強く意識させます。
特に何かメッセージがある訳ではないのですが、だからと言って陳腐ではなくて。
日本語の豊穣な響き、美しいメロディを邪魔しない言葉、シンプルながら奥行きのある言葉の表現力。
つい先日、日本を代表する作詞家、岩谷時子さんがお亡くなりになりました。
前園さんの歌詞には岩谷時子さんのような歌詞のセンスが感じられると思います。
冗談伯爵の音楽はシティポップス風ですが、軽過ぎないのが魅力だと思います。
素朴で無駄が無くて、気品のあるサウンド。
四曲目は、シングルの2ndエディションのボーナストラックの『bird man』のリミックス。
DJやプロデューサーとしても活動されているミズモトアキラさんによるもの。
楽曲の良さを生かして、フロア仕様のダンサブルなサウンドに仕上げています。
ギターにノーナリーヴスの奥田健介さんが参加しています。
四つ打ちの快調な音が突き進みます。
初回盤には未収録で、
今売られている2nd エディションには収録されてるようです。
僕が買ったのも2ndエディションでした。
前園さんの歌声はキリンジの堀込泰行さんに似ていると思います。
サウンドもキリンジに通じる高いセンスが感じられて。
ビタースウィートな香ばしい日本語のポップスであります。
楽曲は以下のアドレスから試聴できます。
https://countjoke.bandpage.com/
冗談伯爵のこれからの活動が楽しみです。
尚、今回ご紹介した冗談伯爵のシングルは前園さんが店主を務めるネットショップ『LOVE SHOP RECORD』やJET SET RECORDで入手可能です。
『city line』《LSB-1002》〈作詞・作曲：前園直樹／編曲：冗談伯爵〉（03'32''）【2013】
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 2001/10/25
- メディア: CD
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: うたとことば。
- 発売日: 2009/12/09
- メディア: CD
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: うたとことば。
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: CD
コメント 0