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『君をのせて/沢田研二』 [歌謡曲/70年代]

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こんにちは。
まずは“暦の上ではディセンバー”、と取りあえず云っておきましょう。

さて、
去る10月25日、作詞家の岩谷時子さんがお亡くなりになりました。
昭和を代表する作詞家の偉業を讃えて、拙ブログでもささやかながら大好きなシングルを紹介させてください。
僕が物心の付く頃、1970年代にはすでに歌謡界に於いて数多くの作品を残していました。
越路吹雪さん、加山雄三さん、園まりさん、ザ・ピーナッツ、ピンキーとキラーズといった子供の頃から聞き覚えのある昭和歌謡の名曲たち。
お茶の間のテレビから流れていた流行歌。
80年代当時、リアルタイムのヒット曲の良くも悪くも“軽い感じ”とはまた一線を画した、確固たる風格を岩谷作品に感じていました。
だから雲の上の存在という感じがします。
60~70年代の歌謡曲に興味を持ち出した大学時代、いろいろ聴き進めるうちに幼少の頃、テレビでの歌番組に流れていた、大人の歌手が歌っていた曲の素晴らしさを確認している中で岩谷時子作品も多く再発見しました。

という訳で、一番好きな岩谷時子さんの作品を。
岩谷さんの楽曲をすべて知っている訳ではないですが。
沢田研二さんの『君をのせて』。
これはジュリーの記念すべきソロデヴューシングル。

ザ・タイガースを解散後、GSの垣根を越えて結成された“PYG”の活動中にリリースされた作品でもあります。人気バンドの解散、そして“PYG”という新しいバンドに対する世間の厳しい評価など、当時のジュリーには何か鬱屈した思いや不安があった気がします。
そんな思いを岩谷時子さんは斟酌したのでしょうか。

晴れのソロデヴューを飾る曲にしては“らしくない感”が否めません。
恋人と共に人生を歩んで行こうとする誓いのラヴソングなのですが、絵に描いたような明快さがありません。
いわくのありそうな独特の雰囲気が漂います。
この歌に出てくるふたりは寄る辺なく、周囲からあまり祝福されていないような逆境に身を置いているようです。
厭世的なニュアンスを滲ませながらも、慎ましく肩を寄せ合い愛する人へ献身的に生きていこうとする純朴なメッセージが込められています。
見送ってくれる仲間もいない夜の沖から、ひっそりと寂しげな二人の人生という航海が始まります。

 ♪ 君をのせて 夜の海を 渡る船になろう



岩谷時子さんの歌詞のシンプルながら情感の深い表現。
非凡な視点に則ったラヴソング。

サウンドは清らかなセレナーデ(小夜曲)。
作曲を担当する宮川 泰先生の優美な旋律。
決してネガティヴなニュアンスを感じさせず、二人の門出に仄かですが優しい月明かりが照らしているような。
何とも言えない甘美な味わいがあります。

アレンジは青木望氏。
ゴージャスではないのですが奥ゆかしく耽美的なオーケストレーションが魅力的です。

華麗な演奏に乗せて、朗々と美声を響かせる23歳のジュリー。
サビでの♪“あ~あぁ 君を~”というところの見事な節回し、惚れ惚れとします。
心ゆくまで聴く者を酔わせてくれる歌声。

you tubeには船上で田中裕子さんの前でこの曲を歌ってるジュリーの動画も上がっていますが、
ちょっと照れ臭くてロマンチックすぎて、もう、見ていられないです。
危険なふたり。
勝手にしやがれ。


B面は『恋から愛へ』。
こちらはジュリーによる作詞作曲。
センチメンタル過剰、メロディアス100パーセント濃縮還元の哀愁歌謡。
しみじみとバラード風なオープニングから、徐々に疾走感のあるサウンドが8ビートで展開したかと思うと、サビで一転ワルツにシフト。
壮麗なオーケストレーションが吹き荒れます。
ドラマティックでケレン味溢れるアレンジはやっぱり宮川先生。
ジュリーの二枚目な歌声もせつなく響きます。

ジュリーが岩谷&宮川コンビでの作品を再び歌うのは、遥かに時を下りまして1998年のアルバム『第六感』でした。
そういえば、12月はザ・タイガースが暴れそうですね。


『君をのせて』《DR 1650》〈作詞:岩谷時子/作曲:宮川 泰/編曲:青木 望〉(03'17'')【2013】


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