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『RIDE ON TIME/山下達郎』 [山下達郎]

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こんばんは。
久しぶりの更新です。
一か月も放置してしまいました。

シングルへの情熱は変わりませんが、とにかく今は仕事が忙しくて。
時間がありません。
本当にコピーロボットが欲しいです。
須羽ミツ夫君、下さい、タダで、今すぐ。

それはそれとして。

逝ける人を偲んで、再び。

昨年の12月の初頭に届いた、ドラマーの青山 純さんの訃報も大変驚きました。
日本の現役ドラマーの中でも屈指の一人。
80~90年代の日本のポップミュージックのリズムを支えてきた名ドラマー。

ドラムなんて勿論叩くことは無いのですが、リズム&ドラムスマガジン(三月号)を初めて購入しまして、青山さんの追悼特集をじっくりと読みました。
日本の音楽シーンは掛け替えのないドラマーを失いました。

訃報の数日後に観た山下達郎さんのコンサートの中盤で、達郎さんが青山さんの訃報についてコメントを寄せていたことを思い出しました。

長年にわたり、達郎さんの作品やライヴでのリズムの要として大活躍。
青山さんが叩いていた時代のライヴは4回観ました。
1992年、1998年(このツアーは2回観に行きました。)、そして2003年。
もう何度も何度も繰り返し聴いてきたライヴアルバム『JOY』の世界観がそのまま、いや臨場感を伴って眼前に繰り広げられ魂消ました。

重量感があり、そして正確無比、かつヴァラエティに富んだリズム。
相棒、ベースの伊藤広規さんとのコンビネーションでタツローサウンドの屋台骨を支えていました。
凄かったです。

という訳で、今回のシングルを『RIDE ON TIME』。
ご存じ、達郎さんの初のシングルヒットとなった作品。
1980年のオーディオテープのCМのタイアップソング。
ご本人が出演したというのも異例でした。
この一曲で達郎さんは全国区の人気へステップアップ。
曲名通りに時流に乗ります。
単なるヒット曲に留まらず、80年代の勃興する日本のシティポップス・シーン(この様にカテゴライズされるのを達郎さんは好まないでしょうけど)の幕開けを告げる記念碑的な作品と云えると思います。
今でも達郎さんのライヴのハイライトで演奏される重要な一曲。

とにかくこの楽曲が持つポテンシャルなパワー。
サウンドのスケールや馬力が違いますね。
さすが達郎さん。
迫力、疾走感、躍動感、広大さを伴っています。
作詞も達郎さんですが、何だか曖昧なイメージながら押さえきれない“衝動”を巧みに言葉に表現していると思います。

この曲には原曲というか、プロトタイプがあるのですが、それはまた別の機会に。

そしてこの楽曲にリズム隊で参加しているのが勿論、青山&伊藤コンビ。
この新進気鋭のコンビが達郎さんのディスコグラフィに初めて登場する作品でした。
運命的なモノを感じますね。
それだけの説得力が楽曲から漲っています。
70年代の終盤に達郎さんは知り合いを通じて青山さんと伊藤さんを紹介されたそうです。
まだお二人ともそれほど名を知られていなかった時期でした。
青山さんは何と若干23歳というからビックリです。

ピアノの伴奏を伴いつつ、達郎さんの歌いだして曲が始まります。
イントロから世界観がガラッとするような深いエコーにも気が留まります。
そこでドーン、ドーンと重量感のあるタイコがリズムに乗って聴こえます。
地鳴りの如くに。
それが青山さん。
そして本編で聴こえるタイトで的確なビート。
特に耳に刺激的なのはハイハット・シンバルの使い方。
チキチ・チキチ、チキチ・チキチと小気味の良いリズムが刻まれてよいアクセントとなっています。
この曲の魅力の一つと云っていいでしょう。
当時達郎さんは時間があれば、青山さん、伊藤さんを伴ってスタジオに入ってリズムの研究をしていたそうです。その成果はアルバム『RIDE ON TIME』、『FOR YOU』、『MELODIES』で証明されています。

振り返ってみて、改めてその後の達郎さんの音楽的理想の実現に欠かせなかったドラマーと云えるでしょう。


B面は『Rainy Walk』。
この曲は1979年のアルバム『MOONGLOW』からのシングルカット。
達郎さんが当時耽溺していた70年代シカゴソウル・マナーに則ったメロウなミディアムソング。
聴いていて心地よいです。
達郎さんの曲には雨について歌った作品が多いですが、この曲もイイですね。
夜明けの雨の恵みよ。
リズム隊が何と、高橋ユキヒロさんと細野晴臣さん。
プレイヤーとしても超一流のお二人の演奏を楽しめます。
“剛”の青山さんに対し、“柔”なユキヒロさんのドラミングの軽さ。
シルクのようなストリングスの響きもまろやか。

A面もB面も今聴いても些かの古さがありません。
既に述べた、達郎さんが出演、楽曲を担当したCМはマクセルのオーディオテープでしたが、そのコピーは次のようなモノでした。

“良い音しか残れない”

そのまんま、達郎さんの現在までの活動を雄弁に語りまくってます。
音楽メディアが移り変わろうとも変わらず、ブレないサウンド、そしてポリシー。

それは青山さんのドラミングにも貫かれているのです。
残された数多くのレコーディングで聴こえるリズムは普遍です。


『RIDE ON TIME』《AIR-503》〈作詞・作曲・編曲:山下達郎〉(04'22'')【1980】


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いとぞう

そうでしたね、この青山純さんの訃報にも驚きました・・ミュージシャンにとってドラムってすごーく重要らしいですね。名シンガーには名ドラマーの存在が欠かせない。
この曲当時の達郎さんのことは他のナイアガラ同様、リアルタイムではあまり認識してなくて後から知ったクチですが、それでも達郎さんの曲はCMで沢山流れてたので(今でもですが)自然と耳にして親しんでいた、という感じです。
日本ポップスの夜明け、名曲ですね。
by いとぞう (2014-03-25 00:31) 

都市色

>いとぞうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
ミュージシャンの理想とするサウンドの土台となるのはやはりリズム。
パーマネントに活動するには安定したドラマーは不可欠。
元春に古田たかしさんというドラマーが必要なように。
大瀧さんに上原 裕さんというドラマーが必要なように。
達郎さんも大瀧さんも、元春もブレイクする時期が80年代初頭でほぼ同じでした。
良い時代でした。

by 都市色 (2014-03-30 21:43) 

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