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『実年行進曲/ハナ肇、谷 啓、植木 等とクレイジーキャッツ』 [歌謡曲/80年代]

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こんにちは。
黄金週間、いかがお過ごしでしょうか。
今日も今日とて大滝さん特集です。
このブログでは久しぶりに取り上げます、クレイジーキャッツ。
前回はこちら

クレージーキャッツの1986年のシングル『実年行進曲』。
グループ結成30周年記念シングル。
この曲はCМにも使われてたので覚えています。
前回のアキラさんに並んで、大滝さんに深く影響を与えた存在。
クレイジーキャッツそして、その音楽。
エルヴィスやビートルズに匹敵するショックを受けたそうです。
ご自身のラジオ番組『ゴー!ゴー!ナイアガラ』でも特集が組まれたほど。

その音楽のキーとなるのが萩原哲晶氏。
クレイジーキャッツ作品の多くの作曲編曲を担当されました。
萩原氏は1984年の一月にお亡くなりになりました。
生前、萩原氏と交流のあった大滝さんはその意思を継承するべく大役に挑みます。

大滝さんにとっては前年のアキラさんのシングルに続いての大仕事だったことでしょう。

ジャケットからして、『スーダラ節』のジャケットのパロディですね。
24年後の6人集合写真。

萩原氏と同様、クレイジーサウンドには欠かせない青島幸男氏の作詞を元に大滝さんが作曲編曲を担当。
“原編曲”として萩原氏の名前も敢えてクレジットされています。
ここに大滝さんの萩原氏への敬意が滲んでいます。
クレイジーキャッツの結成10周年映画『大冒険』のテーマソング『大冒険マーチ』を下敷きにこれまでのクレイジーサウンドの集大成的な仕上がり。
意気揚々と晴れがましい楽曲が大通りを軽妙に練り歩いていきます。

タイトルにある『実年』という言葉、あんまり馴染みが無いのですが、調べたら“1985年11月25日に当時の厚生省が公募に基づいて決定した50歳代・60歳代の年齢層を指す言葉。官庁用語などでは使われるものの一般には普及しなかった。”と書かれています。
1986年にこの作品が発表されたので、この言葉が決定されて間もなく、曲名に使用されたのですね。

植木さん、ハナさん、谷さんのそれぞれの歌唱が実に面白いです。
タイプの異なる三人の個性がストレートに音源に刻まれています。
谷さんのミョーに高い声、ハナさんの芸達者な声色、飄々とした植木さんのノド。
サイコーです。
聴いてるだけで楽しくなりますね。
長年にわたりクレイジーキャッツを愛し、研究を重ねてきた大滝さんの叡智とディテールとユーモアがサウンドに込められています。
演奏クレジットには“ヤング大滝と実年マーチングバンド”と記されています。
当時50代のクレイジーの面々に比較すれば36歳だった大滝さんはまだまだ若輩者という訳です。
大滝さんの壊述によれば、作品としてはあまり評価されなかったそうです。
そうでしょうか。
記念作品なので特に新機軸な曲を作ったり、80年代当時の流行を中途半端に取り入れていたら、逆につまらなく安っぽい仕上がりになったと思います。

B面は『新五万節』。
1962年に発表された『五万節』のリメイク。
こちらも大滝さんがアレンジしています。
オリジナルバージョンへの敬意をこめてクレジットは“編々曲:大瀧詠一”とされています。
そして演奏は“大瀧詠一とナイアガラ三千年オーケストラ”とクレジットされています。
凄いですねー。
『五万節』は元々作られた歌詞の一部に問題があるとされて、改作をされました(後にその改変前のバージョンも公開されています。)
ですので『新五万節』は三度目のリメイクという事になります。
ハナさん、植木さん、谷さんがそれぞれの大袈裟な自慢話を歌詞で歌い継ぐ内容。
それぞれの歌に対し、残りのメンバーがコミカルにコメントを入れるのが面白いです。
途中で“ドント節”がインサートされたり、植木さんの“”オヨビでない”、谷さんの“あんた、誰”“ガチョーン”、“ビローン”、“ムヒョーン”、ハナさんの“あっと驚く為ゴロー”が聴けたり、これまた楽しいです。

メンバー6人が全員で歌った時のワイワイガヤガヤと賑やかな感じもイイですね。
高度経済成長時代を明るく盛り上げた男たちの活気がお年を召されても漲っています。

とにかく聴いていて底抜けに無条件に楽しくなっちゃうクレイジーキャッツ。
青島幸男氏の歌詞、メンバーの個性的な歌、そして萩原哲晶氏のサウンドの三位一体がクレイジーキャッツ。そして萩原氏のサウンドを見事に継承した大滝さん。
『実年行進曲』には別バージョン《ぶちゃむくれバージョン》なるものがあり、そちらは歌詞や歌い方が過激になってます。
大滝さんが編集した『クレイジーキャッツ・デラックス』に収録されています。

大滝さんの敬意はレコードの盤面にも込められていました。
このシングル盤は東芝独自の“赤盤”なのですが、盤の内側、送り溝付近に刻まれているマトリックス番号の隣にこのように刻印されています。


TO  DEKUSAN       EACH


“DEKUSAN”、つまり“デクさん”とは萩原氏のニックネームなのでした。

蛇足ながら、このシングルは僕の13歳の誕生日に発売されました。

またクレイジーキャッツの映画が観たくなりました。
“新・午前十時の映画祭”には『ニッポン無責任時代』がラインナップされていましたね。
楽しみです。


『実年行進曲』《TP-18000》〈作詞:青島幸男/作曲・編曲:大瀧詠一/原編曲:萩原哲晶〉(03'33'')【1986】


クレイジー・キャッツ・デラックス(紙ジャケット仕様)

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
  • 発売日: 2008/10/22
  • メディア: CD



結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HARAHORO盤

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/01/26
  • メディア: CD



結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HONDARA盤

結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HONDARA盤

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/01/26
  • メディア: CD



クレージーキャッツデラックス [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2011/10/17
  • メディア: DVD



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いとぞう

僕もこの曲は傑作だと思いますが、「同じクレイジーキャッツ愛好家の所ジョージに酷評された」と大滝さんが語ってましたね。大滝さんも所さんもお2人とも好きな僕にとってはなんとも複雑なエピソードですが・・拘りが強すぎるが故に相譲れない部分があるのでしょうか。
別バージョンは聴いたことないので聴いてみたいです。
日本は平成以降、先行き不安な暗い時代になってしまいましたが、クレイジーキャッツのように豪快に笑い飛ばすことが今こそ必要かもしれませんね。
by いとぞう (2014-05-03 20:30) 

都市色

>いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
大滝さんと所さんは全くタイプが異なりますので、考えや好みが違うのは仕方が無いですよね。
所さんのミュージシャンとしての側面は正直疑問ですが。
クレイジーキャッツの意思を継ぐべく、渡辺プロは頑張ってほしいです。
by 都市色 (2014-05-11 11:05) 

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