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『ラストダンスはヘイジュード/ザ・キングトーンズ』 [邦楽ロック/80年代]

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ども、こんばんは。
今夜も大滝さん特集です。

今回も大滝さんのユニークなプロデュースワークをご紹介。
前回に続き、ビートルズ繋がり。
ポール・マッカートニー祝再来日も兼ねときましょう。

キングトーンズと大滝さんの交流は70年代から。
『ナイアガラ・ムーン』以降、たびたびレコーディングでコーラスとして参加しています。

彼らは80年代初頭、大滝さんのプロデュースで2枚のシングルをリリースしています。
一つは『Doo Wop Tonight 』。
ダイレクトカッティング・レコーディングによるドゥーワップの名曲カヴァーのカップリングでした。

もう一つが今回のシングル。
ラストダンスはヘイジュード』。
ドリフターズの『Save the last dance for me』とビートルズの『Hey Jude』のドッキング。
ジャケットからして凄い。
ビートルズとドリフターズとキングトーンズが一緒に温泉に浸かってます。

いい湯だな~(それは違う方のドリフターズ。)

イラストは勿論、湯村輝彦氏(ロンバケのジャケットのパターンも手掛けてます)。
アートディレクションは安斎 肇氏です。
当時、このシングルがリリースされたSMSレコードのデザイン部に所属していたそうです。
プロモ盤では全裸のイラストが使われて会社の上司に叱られたとか。

大滝さんは音楽活動、DJ活動、そして評論活動を通じて、ロックンロールの歴史を体系的に語られてきました。
日本での“ビートルズ至上主義”による間違った歴史観へのアンチテーゼの意味もあったと思います。
その史観は達郎さんや元春のDJスタイルにも共通しています。
とにかく圧倒的なリサーチ力で様々な角度から音楽を追及されてきた大滝さん。

ビートルズは50年代末~60年代初頭のアメリカのロックンロール、リズム&ブルース、ガールグループなどのヒット曲にかなり影響を受けてきたのはわざわざ僕が言うまでもなく、有名です。
ゴフィン&キング、バリー&グリ-ンウィッチ、マン&ワイル、ポーマス&シューマン、リーヴァ―&ストーラー、等々当時のヒット曲を生み出してきた作家チームにも目配せしていました。
初期の演奏のレパートリーには当時のヒット曲のカヴァーも多く見受けられます。
彼らのヒット曲を研究しての優れたオリジナルソングが数多く生まれたのですね。
実際『Hey Jude』を書いたポールの念頭には『Save the last dance for me』の曲があったとか。
コード進行も似ています。
この様に音楽(だけにとどまらず芸術全般に)いうのは常に模倣から始まり、さまざまな影響を受け合って、換骨奪胎、試行錯誤、淘汰を繰り返して現在、そして未来に続いているのでしょう、と判った風に。

それを踏まえての『ラストダンスはヘイジュード』。
『Save the last dance~』のオリジナルバージョンを基調にしながら、
2曲が密接に、分かちがたく、糾える縄の如くに1曲として結びついている、多羅尾伴内アレンジ。
キングトーンズの面々の勝手知ったるヴォーカル&コーラスワークも見事。
『ラストダンスは私に』と『ヘイジュード』の2曲を繋げるのはただ単に、似ているからというだけではなく、
60年代初頭と末期のヒット曲を繋げることで、分業制だった楽曲制作がやがて自作自演/セルフプロデュースに移行していく60年代の流れをそれとなく示唆している気もします。
ドク・ポーマス&モート・シューマンからレノン-マッカートニーへ。
こうしたアイディアを単に言葉だけで発表するのではなく、具現化できるのが大滝さんの叡智です。

のちにジョン・レノンはドリフターズのメンバーでもあるベン・E・キングのヒット曲『Stand by me』をカヴァーしますね。
プロデュースに関わったフィルスペクターはドリフターズをプロデュースしたリーヴァ―&ストーラーの弟子にあたります。

B面は『グッドナイト・ベイビー』のイングリッシュバージョン。
彼らの大ヒット曲を英語で。
内田正人氏の不滅のヴォーカルスタイル。
息の合ったコーラスワーク。
この曲は子供のころから、いつまにか覚えていたヒット曲でした。
海外のリズム&ブルースの魅力を損なうことなく、見事に日本人好みの歌謡曲に換骨奪胎している名曲だと思います。

因みに僕が所有している盤は90年代中期に出たリイシュー盤です。


『ラストダンスはヘイジュード』《MOR-6917》〈作詞・作曲:Pomus-Shuman, Lennon-McCartney/編曲:多羅尾伴内〉(03'23'')【1981】


COMPLETE COLLECTION

COMPLETE COLLECTION

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 2001/07/25
  • メディア: CD



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