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『FROM A TO HEAVEN/岸 正之』 [邦楽ロック/80年代]

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イヤッホーィ!!!

こんばんは。
待望のレコードがCD化されました。

岸 正之さんの二枚のアルバム。
Warm Front』(1982)と『Pretender』(1984)。

岸さんが作曲家として活躍される以前に、シンガーとして活動していた時期の作品です。
ビクターから二枚のアルバムと二枚のシングルを残していまして、その時代の全ての公式音源がCD化されました!

今回、タワーレコード限定で再発。
監修はLight Mellow でお馴染みの金澤寿和さん。
ありがとうございます!
シティポップス系のディスクガイドにも紹介されていながら、今まで一度もCD化されることの無かったのですが、6月に漸く実現したのです。
いやぁ、めでたい。


岸さんというと、僕のブログでときどき取り上げられています。
主に岸さんが提供した女性アイドルのシングルですが。
渡辺満里奈さんの『マリーナの夏』、南野陽子さんの『話しかけたかった』、『春景色』、伊藤智恵理さんの『雨に消えたあいつ』、『トキメキがいたくて』、藤谷美紀さんの『転校生』、LIP'Sの『Splendid Love』等々。

岸さんの曲ってとっても爽やかで心地よくて清らかでメロディアス、というイメージがあります。
強い個性、と言う点ではやや弱いのですが、その慎み深いのも魅力でしょう。
清潔感のあるメロディはまさに美しい十代の女性が歌うのにピッタリなのでした。

そんな岸さん本人の歌声もまたハイトーンの爽やかな響きです。

岸さんの二枚のアルバムとも、勿論岸さん自身が全て作曲しています。
そしてその大半もご自分で作詞を担当しています。
歌詞はユーミンに影響を受けたと語っているので、軽すぎず、重すぎずな良い塩梅です。
その歌詞の世界はシティポップス系なのであまりメッセージ性はありません。
ラブソングが主体ですが、イケイケだったり、ワイワイとしたモノではなく、
落ち着いたトーンで、過ぎ去りし恋の思い出をさりげなく紐解いたようなノスタルジックなムードで描かれています。内省的ですが、それほど暗くは無いです。
岸さんの爽やかな雰囲気が歌詞にも醸し出されています。
そしてご自身が音楽家なので歌の主人公も音楽を作っている設定だったりします。
其処が少し印象的です。
岸さんのオフィシャルサイトで更新している文章を読んでいると、
とても頭の賢い人で、かといってその良さをひけらかすことなく、控えめで、シャイで落ち着いた、ユーモアを解する人だと判ります。
そんな人柄が歌詞にも反映されているんだと改めてCDを聴いて思います。

勿論、岸さんの魅力でもあるメロディメイカーぶりが全面的に発揮されていて、ミディアム系の楽曲が多いですが、飽きさせません。
そして美しいメロディの魅力は素晴らしいアレンジによって心に響きます。
アレンジは当時の今 剛、井上 鑑、新川 博、武部聡志、等々の当時の実力、人気共に高いメンツが揃えられていて、イイ仕事を残しています。
時代的にも80年代初頭。
アナログレコーディング最盛期。
参加している演奏のスタジオミュージシャンも一流どころが揃い、巧みなマニュアルプレイで楽曲を盛り上げています。
今回のCD化に際して、勿論デジタルリマスタリングが施されているのですが、実に良い音がします。
デジタルリマスタリング技術が年々向上しており、その威力が遺憾なく発揮されています。
アナログレコーディングの良さが音に満ち満ちています。
岸さんご本人もリマスタリングで蘇った音を絶賛されています。

このアルバムは正に80年代シティポップスの隠れたレガシー(遺産)です。
このジャンルの音楽がお好きな方には自信を持ってお勧めしたいです。

という訳で、前置きが長くなっちゃいましたが、シングルを紹介しましょう。
過去に一枚、岸さんのファーストシングル『通りすぎても』は紹介していますが、もう一枚の方を。

FROM A TO HEAVEN』。
これはタイトル通り、バイト情報誌『フロム・エー』のCМソング。
で、歌手・岸 正之の楽曲の中で唯一の他者による作曲作品。
この曲を作曲しているのは大御所・井上大輔先生。
ちょっとワイルドでアーバンなシティポップス。
英語詞で洋楽っぽいです。
作詞は湯川れい子女史。
のちのセカンドアルバムに収録される『ガラスの摩天楼』に通じる作風。
間奏のサックスも勿論、井上氏がブロウしています。
ドラムは林 立夫氏。

B面は『Say Good Bye』。
こちらはファーストアルバムからのシングルカット。
これぞ岸 正之って感じのポップでフレッシュな一曲。
アレンジも務める今 剛氏による、イントロのエレキギターの鮮やかなフレーズから耳を奪われます。
重量感のあるリズム隊のビートにもグッときます。
ベースもちょっとチョッパー気味で小技が効いてます。
キャッチ―でさわやかなメロディに乗って、かつて恋人同士だった二人が数年後に再会して、そして再び別れていくという少しセンチな物語が歌われます。
歌詞は岸さん。



これは『レッツゴーヤング』からのお宝映像。
観ればお判りの通り、岸さんは超ハンサム。
ギターを弾く様もカッコいいです。

再発盤を買ってから、もう毎日、通勤時はiPhoneで岸さんの音楽ばっかり聴いてます。
将来を有望視されながらも、あっさり作曲家へ転身してしまうのも何だか潔い気がします。
たった二枚のアルバムですが、その中に岸さんの才能がギュッと詰まっているのですから。


そしてその後に作曲家として見事に大成しているのですから天晴れですね。

今回の再発CDが作曲家・歌手“岸 正之”の再評価に繋がることを願って止みません。
メロディが希薄な今の時代にこそ、響いて欲しいと思います。

最近の作曲家としての活動があんまり見えてこないのが残念ですが、きっとこれからも素敵な曲を届けてくれるでしょう。
個人的に武藤彩未さんに曲を提供してして欲しいなぁと思ってます。
天下のアミューズさん、ひとつ!



『FROM A TO HEAVEN』《VIHX-1607》〈作詞:湯川れい子/作曲・編曲:井上大輔〉(04'13'')【1983】
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コメント 5

いとぞう

岸さんのアルバムCD化、めでたいですね!
最近、80年代シティポップス再評価の波が来ているような気がします。そのタイミングでのCD化ですから、良い流れですよね。
少し前に雑誌で武藤彩未さんのインタビューを読みました。彼女は80年代ポップスに関して、親の影響も大きいようですが、派手さはなくとも真に良い曲を好む傾向にあるなぁ、と思いました。それだけに岸さんのメロディはきっとピッタリでしょう。楽曲提供の実現を望みたいですね。
by いとぞう (2014-07-17 19:23) 

いとぞう

今日タワレコ行ったので、岸さんのファースト買いました!今の季節にピッタリですね。アカペラも素晴らしいです。井上大輔氏との組み合わせはちょっと意外ですね。今度セカンドも買おうと思います。
by いとぞう (2014-07-18 20:34) 

都市色

いとぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
CDお買い上げありがとうございます!
岸さんに成り代わって。

一曲目のアカペラからグっと来ますよね。
それからの『Say Good bye』、最高ですよね。
派手さはないですが聴けば聴くほど、サウンドの優しさが染み込んできますね。
いつまでも色あせないアルバムだと思います。
by 都市色 (2014-07-20 09:04) 

Backy246

こんにちは。

僕もアイドルソング好きなのですが、まったくノーマークでした。
「夏の短編」は、もうひとつ!という感じでしたが、この曲は
琴線に触れました。
今ではあまり聞かない「シティーポップ」という感じですね。
素晴らしいです。
他の曲もさっそく聴いてみようと思います。
by Backy246 (2014-07-23 00:11) 

都市色

>Backy246さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
ご無沙汰です。
最近、80年代物のシティポップスはまた再発が盛んでタワレコは特に頑張ってます。
是非、アルバムを聴いて頂きたいです。
by 都市色 (2014-07-23 23:26) 

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