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『Guilty/鈴木雅之』 [邦楽ロック/80年代]

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ども、おハローございます。

またしても達郎さんのライヴネタで棚からひとつまみ。
マッチの次はマーチンこと、鈴木雅之さんのシングル。

今回のツアーのセットリストは達郎さんの“キャラじゃない”楽曲を、ということで、
マッチの『ハイティーンブギ』同様にマーチンへ提供した楽曲のセルフカヴァーを披露。

1988年に発表された彼のアルバム『Radio Days』。
この作品では達郎さんは3曲をプロデュース。
マーチンと達郎さんとはアマチュアのシャネルズ時代からの交流があったそうです。
70年代中期、マーチンがレコードバーゲンでドゥーワップのコーナーをサクサクやっていたら、隣でゴム引き軍手をはめた男が猛烈なスピードでガンガンレコードを抜いていました。
その男こそが達郎さんなのでした。
ゴム手でレコードを掘る男伝説。
その後、大滝さんのナイアガラでのアルバム『レッツ・オンド・アゲン』(1978)の『禁煙音頭』でリードヴォーカルを担当したのがアマチュア時代のマーチン〈“竜ヶ崎宇童”名義で〉、その曲の途中で、『煙が目に沁みる』を歌いながら咽ている男が達郎さんでした。黒人音楽の同好の士でもあります。
その音源の十年後、鈴木雅之としてのソロ二作目を満を持してプロデュース。

達郎さんによるレコーディングは難産だったそうで、
マーチンに合った楽曲が思うように出来なかったんだそうです。
達郎さんの歌手・マーチンへのこだわり、思い入れも深かったんだと考えられます。
そして『ポケットミュージック』からのデジタルレコーディングとの格闘は依然として続いており、
理想とする楽曲と音質を目指しながらも3曲が出来上がったときにレコード会社から「待った」がかかります。
“違う、そうじゃない”ぞと。

レコーディングを開始してから3か月が経っており、そしてレコーディングにかかる経費も相当だったと云います。予定より長引くレコーディングに会社は達郎さんを呼んでレコーディング継続へのストップを告げます。
マーチンが当時所属していたのはエピック・ソニー。
当時の業界の先端を走るレコード会社の運営側としては効率の良いリリースタームで作品を出したい訳で、そこがどんなにお金や時間をかかっても良いモノが出来れば良いではないかという達郎さんと意見が衝突します。
大滝さんや達郎さんはご自身のレーベルを立ち上げて、じっくり時間をかけてレコードを作ります。
でもそうじゃないレコード会社の方が多い訳で。
なかなか難しい問題ですね。

紆余曲折はありますが、そのときの3曲はじっくり作られただけあって品質は折り紙つき。
名曲揃い。
その証拠にマーチンの最初のベストアルバム『MARTINI』には選ばれた14曲の中に達郎さんプロデュース3曲が収録されています。
そんなこんなで達郎さんのプロデュースで出来上がった3曲のうちの一曲が今回ご紹介する『Guilty』であります。アルバムからのシングルカット。

作詞はまりやさん、無論作曲編曲は達郎さん。
不倫を題材にしたまりやさんによる歌詞とコンテンポラリーなサザンソウル。
ブルーステイストが彩るいぶし銀のサウンド。
ミディアムテンポの16ビートのうなり。
イントロのドドドドッと迫力のあるドラミングは勿論青山 純さん。
ベースは伊藤広規さん、キーボードは難波弘之さんと達郎さん。
間奏のギターソロは大村憲司さん、
ギターの泣きが凄い名演です。
未成年お断り、苦味に満ちたアダルトな世界にむせ返ります。

マーチンに合わせた曲だけあって、まさにR&Bの漆黒の世界が展開されます。
男のやるせなさがセクシーな歌声に滲み出て。
今年のツアーで披露された達郎んが歌う『Guilty』もキャラじゃないとはいえ、力強い歌で素晴らしかったです。

残りの2曲、『おやすみロージー』は達郎さんのライブアルバムやベスト盤に、
『Misty Mauve』はレアリティーズにセルフカヴァーが収められています。

B面は『For Your Love』。
こちらもアルバムに収録されています。
プロデュースは佐藤 博さん。
おそらくお住まいのロサンゼルスでオケは録音されて、
ヴォーカルの録りは日本で行われたのだと思います。
こちらもR&Bテイストのファンキーなラブソング。
EPOさんとのデュエット曲。

達郎さんのプロデュースは3曲のみですが、アルバム『Radio Days』全体もとてもいいアルバムです。
当初はアルバム片面を達郎さんが手掛ける予定だったそうですが、
佐藤 博さん以外にも松尾清憲さんや安部恭弘さんが楽曲を担当していて、良い曲が多いです。

ちなみに昨日、9月22日はマーチンのバースデイでした。
おめでとうございます!!

『Guilty』《07・5H-3043》〈作詞:竹内まりや/作曲・編曲:山下達郎〉(04’39’’)【1988】




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『ハイティーン・ブギ/近藤真彦』 [80年代男性アイドル]

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こんばんは。
8月31日の長野公演を以て、達郎さんの今年の全国ツアーが終了しました。
そして9月17日に出演した氣志團万博も無事に終了とのコト。
大いに話題になりましたね。

という訳で、今回のシングルをご紹介。
ネタバレ、晴れて解禁。
今回のツアーや氣志團万博で披露された、まさかの35年越しのセルフカヴァー。

マッチョで~す。

ちがう、抹茶で~す。

いや、マッチで~す。

近藤真彦さんの1982年のシングル『ハイティーン・ブギ』で夜露死苦。

達郎さんのマッチへの楽曲提供は前年の『ギンギラギンにさりげなく』のB面にさりげなく収録されている『恋のNON STOP ツーリングロード』が最初でした。
そして今回のシングルはたのきんトリオで主演した映画『ハイティーン・ブギ』の主題歌でもありました。
作詞は松本 隆さん。
達郎さんと組むのは最初だと思います。
『風街図鑑』のライナーノーツでの壊述によると、この年は達郎さんとまりやさんがご結婚をされた年でもあり、おふたりのハネムーンの前日に事務所に呼ばれて打ち合わせをされたとのコトです。

アレンジも達郎さんによるもの。
うなるエンジン音のような迫力のあるイントロ。
ドラムは青山 純さん、そしてベースは伊藤広規さん。
重量級のリズム隊の力強い8ビートのロックンロールの演奏。

達郎さんが1980年にクールスのピッピこと、水口晴幸さんのソロアルバムをプロデュースしましたが、そこでのサウンドが再現されています。
達郎さんがロックンロールを奏でると、やはりなんというか馬力の違いを痛感します。
音の圧力が違いますし、タイトだし。迫力があります。
ご自身のアルバムではストレートなロックンロールは聴けませんが、アレンジャーやプロデューサーとして関わるときにロックンロールへの愛情の迸りを感じます。
このアルバムには筒美京平さんも参加しており、アルバムの一曲目『Drive me crazy』はマッチの『ブルージーンズ・メモリー』に似たメロディを聴くことが出来ます。
松本隆さんも作詞で参加していますが達郎さんとの共作はありませんでした。
『ハイティーン・ブギ』を作曲するに当たり、達郎さんはこれまでのマッチの過去の楽曲を聴き返し、彼の声量や歌の音域を調べて、その音域に合わせてメロディを作ったと云います。
マッチのイメージやヴォーカルスタイルにフィットしたオートクチュールな楽曲なのです。

繊細な風街少年をややツッパリ風に設定した松本さんの歌詞、達郎さんの情熱的なメロディとパワフルなサウンド。
そして、がむしゃら一直線なマッチの熱唱。

結果、シングルは大ヒット。
当時の彼の勢いもありますけれど、筒美京平作品に比肩するマッチの代表曲のひとつです。
この曲は当時小学二年生だった僕もベストテンやトップテンを通じて耳にして、よく鼻歌で口づさんでいました。
この時代のマッチの歌は歌えます。

“Performance 2017” にて演奏されたときは、確かアンコールの一曲目だったと思いますが、ホールは勿論どよめきと喝采で大いに沸きました。
無論、オリジナルどおりのアレンジ、演奏。
サプライズ大成功。

達郎さんの今回のツアーは《判り易い》がコンセプトだったらしいです。
問答無用で明快なマッチのヒット曲。
マッチに書いた曲なので達郎さんのイメージに合わないのですが、60代になってそういうこだわりとかイメージとかどうでも良くなったというような旨のコメントもされました。
達郎さんは大抵の曲は歌いこなせますので、問題ありませんでした。
衰えを知らぬパフォーマンスは今年も健在でした。

35年前というのが実に信じられません。
例えば1982年から35年前と言うと1947年。
この当時のヒット曲と言うと、『リンゴの唄』が1946年、『東京ブギウギ』が1948年。
気が遠くなるような時間の流れを感じます。

話が逸れました。

氣志團万博に出演すると聞いて、すぐに絶対この曲を歌うだろうな、こんなに氣志團万博のシチュエーションに合った達郎さんの曲もないだろう、と思っていましたが、まさか一曲目から歌うとは思いませんでした。速攻で即効性のある曲を演奏したものだと達郎さんの気合を感じました。
荒天を吹き飛ばす先手必勝!
生で聞いてみたかったなぁ。
達郎さんは氣志團ファンでもあるそうです。
綾小路 翔さんもフェスの主催者冥利に尽きたでしょうね。

さて、
B面は『MOMOKO』。
こちらも同じコンビによる楽曲。
映画には武田久美子さんがヒロインを演じていましたがその娘の名前をタイトルにしています。
この曲はマッチのファンの間では人気があると、どこかで聞いたことがあります。
しっとりと甘美なバラード曲のラブソング。
松本 隆さんもこっちの曲の方が“思い入れがある”と先のライナーに記してあります。
達郎さんもお気に入りの曲。
フェンダーローズのロマンティックな音色のまたたき。
音数の少ない演奏の空気感も良いです。
つっぱりで強面の男が、不意に魅せるあどけない表情に女性は弱いという事なのでしょうか。


この時代にマッチは沢山の主演映画が制作されていますが、なかなか観られる機会がありません。
観てみたいなぁ。当時沢山あったジャニーズの映画ってほとんど映像ソフトになっていないのです。

達郎さんとジャニーズは、昨年の嵐の『復活LOVE』に至るまで現在も密接な関係があります。

昨年マッチのレギュラー番組のラジオに達郎さんが出演していましたが、
また二人のコラボレーションの新曲を聴いてみたいなぁ、と思います。
アダルトなマッチの歌も良いと思うのですが。

『ハイティーン・ブギ』《RHS-73》〈作詞:松本隆/作曲・編曲:山下達郎〉(03'32'')【1982】


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『GREATEST LOVE OF ALL/WHITNEY HUSTON』 [ソウル/80年代]

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こんばんは。
またまた映画の話をしましょう。

7月の下旬に『ありがとう、トニ・エルドマン』という作品を観ました。
2016年の世界で最も高い評価を得た映画との呼び声も高いドイツ映画作品。
監督と脚本はマーレン・アデという女性。
不勉強で全く知らない方でした。
一言で言うと父と娘の愛憎劇なのですが、実に何とも言えない味わいがあります。
とにかく面白かったです。
悪戯好きなお父さんと海外で暮らしている独身のキャリアウーマンの娘。
それぞれの性格も異なり、仲もそれほど良くないふたり。
海外に住む娘の元へ父が様子をみに訪れたコトから始まる物語。
絶妙にユーモアとペーソスが絡み合いながらドキュメンタリー風な撮り方で物語は淡々と進みます。
これ見よがしな劇的な展開は無いのですが、ふと油断すると意外な方向へ物語が進み、観る者を唖然とさせる事たびたび。
その主犯がお父さんなのです。
へんなおじさん、いやへんなお父さんなんです。
うさん臭いです。
父にとっては娘はどんなに大きくなっても心配の種で、可愛い子どもであるのですが、そのお父さんの娘への気遣いの仕方が変なのです。
彼が繰り出すユーモアや行動がことごとく裏目に出ます。
それが面白いです。
これも前知識なしに観て圧倒されました。
2時間半以上ありますが最後まで楽しめました。
興味がありましたら、是非機会がありましたらご覧ください。
すでに多くの劇場で公開は終了していますが、地方ではこれから上映するところも少なくありません。

という訳で、前置きが長くなりましたが、
今回のシングル『GREATEST LOVE OF ALL』。
最高峰の女性シンガー、ホイットニー・ヒューストンの不朽の名曲。
といっても正確にはこれはこの映画の主題歌ではありません。
劇中のとある場面で娘のイネス(ザンドラ・ヒュラー)がこの曲を歌います、いや、急遽歌わされます。
お父さんであるヴィンフリート(ペーター・ジモニシェック)の無茶ぶりによって。
一度会っただけのご婦人が開催したパーティに呼ばれもしないのにアポなしでお邪魔して、いきなり娘に彼が弾く電子ピアノでホイットニーの曲を歌うように提案します。
困惑する娘。お構いなしに演奏を始める父。
その模様です。



おっと、3分54秒だぞ。

どうでしょう、娘のイネスの歌いっぷり。
カラオケの十八番なのでしょうか。
以前から歌い込んでいるのが伺える熱唱。
お見事。
お父さんもこの曲がイネスにとって大切な歌だという事を知っているのでしょう。
2人の思い出の曲なのかも。
映画の中ではその事は全く触れられていません。
それがこの映画の素晴らしい所だと思います。
日本映画だとここら辺で陳腐な回想シーンでいかにこの曲が親子にとって重要な歌なのかを冗長に描くでしょうね、きっと。
まぁ、僕のつまらない解説も冗長か。
この辺にして置きましょう

とにかく名曲なんです。
僕がくどくど言わなくて良いくらい。

ハートフルで素直なメロディ。
胸にともしびが生まれて温かくなってくるような。
ドラマティックな展開。
ホイットニー・ヒューストンのデヴューアルバムにして大ヒットアルバム『そよ風のおくりもの』からのシングルカット曲。
リンダ・クリードの作詞、マイケル・マッサーの作曲。
普遍的で偉大なる愛の歌。

元々は70年代にモハメッド・アリの伝記映画の為に作られてジョージ・ベンソンが歌ったものがオリジナルでした。
時を経て、ホイットニーさんがソロ歌手としてデヴューする際にカヴァーされました。
母はシシー・ヒューストン、従姉にディオンヌ・ワーウィックを持ち、歌手として進んで行く娘へその心構えを歌った曲とも思えます。
選曲はプロデューサーでもあるマイケル・マッサーの意向なのでしょうか。
尊厳や自己愛を持って未来に進んで行こう、というような熱いメッセージが込められている歌詞です。
それではホイットニーさんの唄うバージョン。




僕のブログにしてはややベタな感じかな。

最後に、この曲がヒットした1986年の4月に作詞を担当したリンダ・クリードは惜しくも乳癌でお亡くなりになりました。主に70年代、フィリーソウルの作品で沢山のヒット曲を手掛けました。
肉体は滅んでも残された歌詞の魂は永遠です。


B面は『THINKING ABOUT YOU』。
作曲とプロデュース、アレンジはカシーフ。
アップテンポの都会的でダンサブルな曲。


今回の曲は映画を観るまでは知りませんでした。
こんな有名な曲を知らないなんて、お恥ずかしい。

ホイットニーもう!

わッ、おやじギャグだ。

とにかく、素敵な曲を教えてくれてありがとう、『ありがとう、トニ・エルドマン』。

『GREATEST LOVE OF ALL』《7RS-141》〈Written by Michael Masser and Linda Creed〉(04’50’’)【1986】



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『BABY DRIVER / PAUL SIMON & ART GARFUNKEL』 [米国ロック/60年代]

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どうも。
台風の進路が気になる日曜の朝。

映画の話題を続けましょう。
ベイビードライバー』という作品を観ました。
エドガー・ライト監督の最新作。
『ホット・ファズ』が有名です。
前作『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』から4年ぶりの長編作。
何やら面白そうだという噂を聞き付けて、予備知識のないまま、『カーズ』を観た翌週にまたなんばパークスシネマへ行きました。
これも前回と同様に自動車が大活躍するお話。

大当たりでした。
大破です。
イタタタ。
いや、もう最高でした。
クライムアクションとラブロマンスを絶妙な音楽を繋ぎにしてミックスした疾走感溢れるエンターテイメント活劇。
物語と音楽の相性がピッタリ。
というか、
物語が音楽のリズムに乗ってゴキゲンに踊り続ける113分。



タランティーノ監督の『レザボアドッグス』や『パルプフィクション』に端を発する、ロック/ポップミュージックとフィルムノワールの幸せな共存共栄。
オープニングからグイグイと引き寄せられます。
主人公の男の子の《ベイビー》は走り屋で音楽が友達で数種類のiPodを使い分けて常に音楽を聴きまくっています。
顔が何だかスコット・ウォーカーに似ていると思いました。
彼と一緒に仕事をするギャングのひとりの男はどこかで観た顔だなぁ、と思ってたらドラマ『マッドメン』のジョン・ハムでした。ケヴィン・スペイシーも良かったし。
ヒロインのリリー・ジェームズもチャーミングでした。
とにかくテンポが良くて最後まで飽きさせません。
また観に行きたいです。

と言う訳で『ベイビードライバー』。
この映画のタイトルを最初に聴いたときに真っ先に思い出したのが今回の楽曲です。
サイモンとガーファンクルのラストアルバム『明日に架ける橋』に収録されている楽曲。
実はあのアルバムの中で一番好きな曲でした。
確か初めて聴いたのは高校時代。
その当時聴いていた元春のラジオ番組『テイスティー・ミュージックタイム』でこの曲が流れてきて、すぐに気に入ってしまいました。
その後間もなくしてS&Gの全曲集と言う4枚組のCDを買いました。

名作アルバムの全曲ともイイですが、この曲のユーモラスな感じが大好きです。
風来坊で軽妙な感じ。
60年代前半に流行ったカリフォルニアのホットロッドサウンドをニューヨークのグリニッヂビレッジ風の軽やかなフォーキーな味付けで。
ドラムはハル・ブレイン、ベースはジョー・オズボーンなので文句のつけようのない演奏。
歌っているのはガーファンクルじゃなくてポール。
彼の声の無邪気な感じも良くて。
サビのところでドゥーワップっぽいコーラスが入ったり。
手拍子もウキウキ。
終盤でテンポアップするところも面白い。
アクセルを踏んでスピードアップする感じで。

この曲が映画で流れるかは劇場に足を運んで確かめてみましょう。




ピチカートファイヴに『ホームシック・ブルース』と言う曲がありますが、この曲が昔から好きで、
『ベイビードライバー』辺りのS&Gのサウンドをエッセンスにしたのかなと思います。
作詞作曲した高浪さんがポールで、田島さんがガーファンクルの役割で。
『女王陛下のピチカートファイヴ』収録。

さて、
今取り上げた『ベイビードライバー』の方が実はB面で、
A面は『THE BOXER(ボクサー)』。
こちらの方がヒットして有名ですね。
アコギが紡ぎだす美しいイントロから穏やかに唄う2人のハーモニーと心地よい足踏みのリズム。
メロディは甘美で清廉ですが、
こちらも少年のひとり語りの歌詞で悲しい身の上話が綴られています。
映画の方のベイビー君も生い立ちは悲しいものでした。

この歌でのボクサーが強くなっていつかはタイトルを取って、そのときに唄うのはアリスの『チャンピオン』なのでしょうか。

♪ ライラライ ララ ライライ ライライ ・・・
から
♪ ライラ! ライラ! ライラ! ライラライ! ・・・・

爽やかな曲調から勇壮な感じへ。


ムードが壊れるだろ。

もういいぜ!

それにしても面白い映画が沢山あって、観たいものが多すぎて、どれを観ようか目移りしてしまいます。シネコンの映画、ミニシアター系の映画、そして名画座の映画。
どれも気になるプログラムがいっぱい。
昨日は『ダンケルク』を観ました。
凄かったです。良かったです。
やはり大きなスクリーンで映画館で観たいのですね。
でも時間もあんまりなくて。
音楽も沢山聴きたいし。

そんなことばかりを考えているから・・・・・。
まぁ、いいや。


『BABY DRIVER』《SONG 80081》〈Written by Paul Simon〉(03’13’’)【1969】



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『エンジン/奥田民生』 [邦楽ロック10年代]

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こんばんは、レトルトカレーが美味しい季節になりました。

さて、
8月の終わりに『カーズ /クロスロード』を観ました。
なんばパークスで。
ディズニーが贈る夏休み映画。
カーズのシリーズを観るのは初めてだったのですが、
映画館の予告編を観たときにとても興味が湧いたのです。
主題歌を歌うのが、なんと奥田民生さんでした。

という訳で映画の日本語吹替え版のエンディングソングとなった、
民生さんのニューシングル『エンジン』です。

以前に彼のシングルをブログで紹介したのは『風は西から』でした。
これも自動車の唄。
そして『Car songs of the years』というアルバムを出されるくらいに車がお好きなお方。

ですが、まさかディズニーのアニメで主題歌に起用されるとは前方不注意でした。
映画を観ました。
シリーズ第三作ですが、この作品だけを観ても十分楽しめました。
泣けました。
物語の終盤、クライマックスのシーンで。
意外な展開にグッときました。
やはりディズニーは凄いなと思いました。
『ズートピア』もメチャクチャ素晴らしかったですし。
ピクサーの作品を観るのは『トイストーリーズ3』以来でしたが、これも泣けましたね。
さすが。
『カーズ』も音楽はランディ・ニューマンでした。
良かったです。

そして物語のタイトルクレジットで流れるのが『エンジン』。
乾いたアコースティックギターの弦を弾く音が轟くイントロ。
滋味で渋いロックンロール。
ハンドルを握って、アクセルを踏んで孤独の旅路へ。
荒野のハイウェイをひたすらに走る車と己の追及する音を求めてひたすら活動する奥田民生さんの姿勢がぴったりとハマります。
ハッキリ言ってワンパターンかもしれませんがハッキリ言ってそれがカッコいい。
無駄なモノを削ぎ落としたサウンド、メロディ、歌詞。
考えるな、感じろ、の世界。
唄う内容もメロディも特に凝ってはいないかもしれない、でも出力される音の塊が只々カッコいい。
整った音ではなく雑音かもしれないけど、まさに機械のエンジンが調子よく唸るような、音の轟音。
エクスキューズの要らない演奏のパワー。
近年のソロワークは一人多重録音が中心でしたが、ツアーでの固定されたMTR&Yメンバーとのセッションで録音して作られています。
湊 雅史(ドラム)小原 礼(ベース)、斉藤有太(キーボード)ら諸氏による息の合った走行音。
ロマンと哀愁漂う民生さんの孤高の熱唱も最高。
劇場の大スクリーンからの大音響で聴く音も良かったです。




クルーズ役の声優として参加した松岡茉優さんが良かったです。

日本人の歌手やミュージシャンが歌う日本語版のみの主題歌って基本的にはあんまり魅力を感じませんが、民生さんが担当した主題歌はとても良いと思いました。
担当する人次第でしょうか。
という訳で『ワンダーウーマン』は無論、字幕版を選んで観に行きました。
薄っぺらく陳腐なメッセージを込めた日本版の主題歌を聴かなければならない吹き替え版なんて勘弁して欲しいです。

因みに映画を観始めて、何だか違うアニメが始まったのでスクリーンを間違えたのではと一度席を離れてしまいました。スタッフさんに教えて貰ってまた戻りましたが。
同時上映の短編が本編の前に流れたのですね。
全くうっかり屋さんです。

話が逸れました。

カップリングは『ENGINE』。
『エンジン』の英語詞吹き替え版。
演奏は『エンジン』と同じ。
英語詞は日本語詞を元にうつみようこさんが担当しています。
シンガーのうつみようこさんでしょうか。
英語で唄うバージョンも良いですが、オリジナルの日本語のシンプルな語感の方が曲に合っていると感じます。
英語版は単語がゴチャゴチャしている感じがして。
飽くまで好みの問題ですが。
民生さんもやや歌いにくそうな気が。

出来ればシングルもアナログ盤を出して欲しいな。
今回のシングルを含むMTR&Yによる演奏で構成されたソロアルバム『サボテンミュージアム』はアナログが出てます。
そして今回のシングルとアルバムの発表で民生さん自身によるレーベル“RAMEN CURRY MUSIC RECORD”としての民生さんのソロの本格的な活動が始まったと云っていいでしょう。
今までは完全な新作はサンフジンズのアルバムのみであとライブアルバムやとかTシャツとかグッズが多かったので。
まさにラーメンやカレーのように飽きの来ないスタンダードな感じの民生さんの音楽。
早く買わなきゃ美幸。
来年開催されるツアーも参戦したいぜ。


『エンジン』《RCMR-006》〈作詞・作曲・編曲:奥田民生〉(04’32’’)【2017】



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カーズ/クロスロード オリジナル・サウンドトラック

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  • 出版社/メーカー: WALT DISNEY RECORDS
  • 発売日: 2017/07/12
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『秋の扉/日暮し』 [邦楽ロック/70年代]

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こんばんは。
夏をあきらめて、
ちいさい秋、みーつけた。

日暮し”のみなさんにご登場願いましょう。

70年代に活動していた三人組のメロウ・フォークトリオ。
代表曲は1977年にスマッシュヒットした『い・に・し・え』があります。
名前は以前からずっと知っていたのですが、
実際に音源を手に入れたのは二年程前にディスクユニオンのレーベルからCD化された、彼らの後期にあたる二枚のアルバムでした。
その内の一枚、『ありふれた出来事』のタイトル曲を聴いて、どこかで聴いたなぁ、と思ったらRCサクセションの1988年の二枚組アルバム『MARVY』に収録されている『An old story ありふれた出来事 pt.2』でした。
歌詞は異なってましたが、アルバムのクレジットを確かめると作詞はキヨシローですが、作曲は日暮しの武田清一さんです。
この曲はRCサクセションの前身となる“The Remainders of The Clover”時代の楽曲で武田さんもバンドのメンバーとして在籍していました。
なるほど。
日暮しの音楽を僕は聴いたことなかったと思い込んでいましたが、ずっと以前の80年代から聴いていたのです。いにしえからその曲を気に入って鼻歌で唄っていたのです。
間違いは無かったのです。
初めて買ったRCのアルバムが『MARVY』でした。
『カバーズ』の半年前に出たアルバムでこのアルバムもとってもいい曲が多いです。

そんな訳で再発された二枚のアルバムも素晴らしい内容で。
さて、“日暮し”とはすでにご紹介した武田清一さんと、中村幸雄さん、そして紅一点の榊原尚美さんの三人組。
このグループの魅力は清涼感のある洗練されたメロディとサウンド、そして優美な榊原尚美さんの歌声。前回に続いての美人歌手。
デヴューが1973年の4月ということは、僕が生まれたとき。つまり同期。
今回再発された後期のアルバムはアレンジャーに星 勝氏を迎えて、がっぷり四つに組んでの共同作業が実を結び、より洗練された洋楽的なサウンドと日本の抒情的な歌詞が見事にブレンドされた作品を楽しめます。
星 勝氏というとRCの『シングルマン』と陽水さんの『氷の世界』のイメージですが、それらの名盤に負けない位のクオリティです。
彼らのような音楽性を今のシーンで当てはめるとするならば、まず思い浮かぶのはLAMPでしょうか。
男性二人に紅一点の三人組だし。そして美声の持ち主である女性ヴォーカルの苗字は“榊原”なのですから、見事な合致グー。

という訳で、シングルのご紹介。
秋の扉』。
1978年に発表されたシングル。
アルバム『記憶の果実』の収録曲でもあります。
彼らにとっての実質のラストアルバム。
作詞は武田さんで、作曲と編曲が星 勝氏。
夏の終わりの空気の中に、淑やかに秋の気配を感じるときの心地よい感覚と淋しい感覚。
そして恋の終わり。
イントロの揺らめくような風通しの良いサウンド、そして榊原尚美さんの浮遊感のあるコーラス。
ミディアムスローのゆったりしたグルーヴ。
絹の様な弦の響き。
ドラムは林立夫、ベースは高橋ゲタ夫、ギターは椎名和夫、高中正義、アコースティックギターは安田裕美、鍵盤は佐藤 準諸氏、名うてのプレイヤーによる確かな演奏。
そして成熟した榊原尚美さんの優美な声の響きにうっとりします。
榊原さんは80年代に入り、ドラマの主題歌となってヒットした『サンセットメモリー』を歌っていました。この歌も当時テレビで聴いていましたが、日暮しの方とは存じませんでした。

それはともかく。
彼らの楽曲には四季折々の季節感のある歌詞がよく描かれて色彩豊かで奥行きのあるサウンドと実にマッチするのです。

B面は『旅の童話』。
こちらはアルバム未収録で作詞は武田さん、作曲は武田さんと星氏との共作。
アレンジは星氏。
快適なテンポに乗って爽やかで瑞々しいメロディとサウンドが耳元を吹き抜けていきます。
そよ風の様で少しミステリアスな尚美さんの歌声がこれまた絶品。
旅情を掻き立てる歌詞もお誂え向き。
三人のコーラスもグッド。

彼ら音楽からは雄大で豊かな自然の空気が感じられます。
心が安らぎます。
メンバーは中村さんと榊原さんは東京生まれですが、武田さんは岩手出身。
岩手の大自然が音楽性に溶け込んでいるのかもしれません。
キヨシローさんと交流があったという事で住まいは国立なので、東京のローカルでディープな雰囲気も感じます。
シティポップスとは一味異なる洗練されたポップス。

さて、
今年の初めに彼らの未発表音源集『エヴァーラスティング』が発売されました。
これには当時録音されながら発表を見送られた楽曲たち、そしてアルバムの再発を機に武田さんを中心として再びメンバーが集まって再レコーディングした作品が収められています。
解散から30年以上過ぎて、止まった時間が動き出したように《あの頃》と変わらない丁寧に紡がれた音楽を新曲として楽しむことが出来ました。まさにエヴァーラスティングでエヴァ―グリーンな音楽でした。現代のデジタルのレコーディングを取り入れても武田さんの深いこだわりが貫かれていました。
榊原尚美さん、今は阿倍尚美さんの唄声の魅力も変わりなくて。
流行とは無縁の音楽だからこその強さを感じます。
素晴らしいです。
きっとこれからも聴き続けるコトでしょう。

出来ればコンサートも聴いてみたいです。
何時か何処かで。

是非とも。



『秋の扉』《VIH-1025》〈作詞:武田清一/作曲・編曲:星 勝〉(04’31’’)【1978】



Everlasting -Higurashi Unreleased & Rare Tracks-

Everlasting -Higurashi Unreleased & Rare Tracks-

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: THINK!RECORDS
  • 発売日: 2017/01/25
  • メディア: CD



ありふれた出来事 (UHQ-CD仕様)(紙ジャケット仕様)

ありふれた出来事 (UHQ-CD仕様)(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: 小原礼,村上秀一,深町純,斉藤 ノヴ,大村憲司,渋井博,瀬上養之助,かしぶち哲郎,鈴木博文,椎名和夫,笛吹利明,岡田徹,武川雅寛,鈴木慶一,高中正義,後藤次利,今井裕,星勝,武田清一,榊原尚美,高橋幸宏
  • 出版社/メーカー: THINK! RECORDS
  • 発売日: 2015/12/16
  • メディア: CD



記憶の果実 (UHQ-CD仕様)(紙ジャケット仕様)

記憶の果実 (UHQ-CD仕様)(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: 上原裕,椎名和夫,安田裕美,難波弘之,穴井忠臣,林立夫,岡沢章,大村憲司,深町純,浜口茂外也,村上秀一,小原礼,笛吹利明,数原晋,ジェイク・コンセプション,荒井英治,小原哲次郎,山本剛,中島御,渋井博,伊集加代子,ロバート・ブリル,高橋ゲタ夫,松原正樹,高中正義,佐藤準,星勝,武田清一,榊原尚美
  • 出版社/メーカー: THINK! RECORDS
  • 発売日: 2015/12/16
  • メディア: CD



日暮し

日暮し

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2013/04/17
  • メディア: CD



街風季節

街風季節

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2013/04/17
  • メディア: CD



日暮し2

日暮し2

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2013/04/17
  • メディア: CD



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『元気を出して/竹内まりや』 [竹内まりや]

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ども、こんばんは。
竹内まりやさんのシングルを取り上げましょう。
元気を出して』。
失恋励ましソングの日本代表。

1987年の8月に発表された、まりやさんのレコード移籍後二枚目のアルバム『リクエスト』の収録曲。
今年で30周年。
彼女のこれまでのアルバムで一番好きなのがコレです。
同年にシングルカットされた『夢の続き』のB面にも収録されていましたが、翌年にA面扱いで再シングルカット。B面は異なります。

『リクエストは』初めてリアルタイムで買った彼女のアルバムでもあります。
そのとき買ったのはゴールドCDでした。
もう何度聴いたか知れません。
まりやさんが子育てで忙しかった時期、自己の音楽活動のペースを落として主に女性アイドルへ楽曲提供をされていたのですが、それらの作品のセルフカヴァー集+αの趣きが『リクエスト』でした。

ソングライターとしてのまりやさんの才能は言うに及ばず。
達郎さんのアレンジの素晴らしさにも舌を巻きます。
楽曲の鮮度を保持する為、楽曲の魅力を引き出すために編曲のチカラは欠かせません。
プロデューサー、山下達郎の面目躍如。

仲の良い友人の側で優しく語りかける様なポップソング。
親しみ深いまりやさんの陽性の唄声がさらに身近に感じます。
アコースティック編成での温もりのあるアンサンブルも効果的。
青山 純&伊藤広規の名リズムに佐藤 博さんのピアノと浜口茂外也さんのパーカッション。
優しさのある演奏。
特に達郎さんは佐藤 博さんのプレイの素晴らしさを過去のライナーやインタビューで語られていました。
手数の少ない音ながら楽曲の良さを十分に引き出されている、というような趣旨のコメントでした。
引き算の美学というのでしょうか。
達郎さんの得意とするコーラスワークの見事さもありますね。

終盤、転調後のアカペラのコーラスではこの曲のオリジナルの歌手・薬師丸ひろ子さんが参加して、まりやさん、達郎さんとの3人でラララのコーラス。
それぞれ微妙に異なったフレーズを歌っており、その絶妙なハーモニーを繰り広げます。
いつもこの場面で涙腺が緩みそうになります。
聴き始めた10代の頃は泣けてきました。
薬師丸さんのソプラノの稀有な清らかさを確認しました。格調があります。
まりやさんバージョンの『元気を出して』のハイライト。ビックリドッキリメカ、ちがうか。
歌詞のメッセージだけではなく演奏やコーラスの素晴らしさにも“元気”が出ます。
ポップソングは決して時代や世界を変える力は無いけれど、人の気持ちを和らげたり、前向きにさせるパワーはあります。

やはりこういう曲はアナログ盤に針を下ろして聴きたくなります。
発売は1988年なので同時にCDシングルも出ています。
アナログ盤の方はレコード時代の晩年なのでそれほど出回っていないでしょう。

B面は『OH NO, OH YES !
『リクエスト』も収録されてるザ・不倫ソングです。
最近は、ますます猫も杓子も芸能人も政治家も不倫が熱いですね。
芸能人や政治家は不倫してナンボ。
家庭を省みるなんてヤボ。
歯切れの悪い虚しいウソ。
ドンドンやって下さい。
勝手にしやがれ。

それはそれとして、
歌の方は飽くまでフィクションですので、どこかロマンチックでセンチメンタルな香りを漂わせています。まりやさんの淑やかで切ないメロディ。
達郎さんがお得意の80年代のR&Bテイストが感じられるサウンドが楽曲の世界観にハマってます。
兎に角『リクエスト』は『ヴァラエティ』に勝るとも劣らぬ編曲職人(アルチザン)達郎さんの仕事の凄さも感じない訳には行きません。
都会の夜の静寂に巣食う空虚さを埋める淋しい大人同士のモノローグ。


前作の『ヴァラエティ』は30周年記念盤が出ましたが、
『リクエスト』はどうでしょうか。
来年はまりやさんのデヴュー40周年なのでなんらかのアニヴァ―サリーな計画があると思われますが。

最後に、
このシングルをブログへ熱心にコメントを下さる、
友人のいとぞうさんへ捧げます。

元気を出してね。

『元気を出して』《MOON-770》〈作詞・作曲:竹内まりや/編曲:山下達郎〉(04’40’’)【1988】


REQUEST

REQUEST

  • アーティスト: 竹内まりや
  • 出版社/メーカー: イーストウエスト・ジャパン
  • 発売日: 1999/06/02
  • メディア: CD



Expressions (通常盤)

Expressions (通常盤)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/10/01
  • メディア: CD



Impressions

Impressions

  • アーティスト: 竹内まりや,山下達郎
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1999/06/02
  • メディア: CD



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『SUMMER NUDE/真心ブラザーズ』 [邦楽ロック/90年代]

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 ♪ もう 秋になっちゃった  
  アロハも 着れなくなっちゃった

という訳で秋めいてますが、

いえいえこのシングルを聴いて夏に戻ろう
心に夏を呼び込んで。

Keep on burning !!
今夜も真心を君に。

真心ブラザーズの90年代を代表する名曲『サマーヌード』がアナログシングル盤として蘇りました。
1995年のオリジナルバージョンと、
2年後のリアレンジバージョンをAB面に配しています。

いやぁ、大好き過ぎる曲です。
1995年はこれまでの《THE 真心ブラザーズ》から定冠詞を取っ払って、ジャンルを越えて軽いフットワークでの活動が目立つようになりました。
フォークデュオからビースティ・ボーイズのように。

5月に心機一転の快作アルバム『KING OF ROCK』で痛快なヒップホップ、ロックンロールサウンドを叩きつけたかと思いきや、一カ月後に早くもニューシングルを投下。
それが『サマーヌード』。
アルバムからの後発シングルではなく、書き下ろしの新曲なのが斬新。
しかもアルバムでのドライでアッパーな曲ではなく、とことんメロディアス。
メロディメイカー男・桜井秀俊さんの面目躍如です。
シンプルにイイ曲を書くYO-KINGとは反対に、地道に論理的にメロディを構築して行く感じが桜井さんにはあります。
その優れたメロディセンスがシングルで大爆発です。
イイ仕事しています。

当時の雑誌でのインタビューでおふたりはサザンの『勝手にシンドバッド』を引き合いに出していたと記憶しています。
あの曲のどうしようもないほどの衝動や情熱や焦燥の放射が『サマーヌード』にも感じられます。
熱い胸さわぎな気分で無邪気に自然体で唄うYO-KINGはカッコE~。

この曲は切なく遣る瀬無いメロディの展開も秀逸ですが、
歌詞も素晴らしいですし、メロディと歌詞との密接なつながり、歌詞をメロディに乗せるのが実に巧く行っていると思うのです。
特にAメロ。
歌詞の筋回しがそのまま情熱的なメロディと違和感なくフィットしているというのか。
歌詞とメロディが同時に作られたのではないかと思うほど。

桑田さんみたいに歌詞を上手くビートに乗っけています。
そこらへんも『勝手にシンドバッド』たる所以でしょう。

という訳で、A面のオリジナルバージョン。
1995年の夏の個人的に良く聴いたCDシングル曲です。
ドラムはこの時代に真心で沢山叩いていた須貝直人氏、
ベースは東京キケン野郎なビブラストーンの沖山優司氏。
鍵盤は中西康晴氏。
ホーンにはビブラストーンのMEN'S 5の佐藤公彦氏、スカパラの北原雅彦氏などが参加。
ストリングスアレンジには村山達哉氏。
華麗なる顔ぶれ。



そして二年後、
装いも新たにゴージャスにフリーソウルにバージョンアップした97年度版の『ENGLESS SUMMER NUDE』。
こちらは12インチのアナログ盤も出ました。
アレンジは売れっ子のCHOKKAKU氏が担当。
スマートに洗練されたコード感。
デラックスでメジャーな色気がします。
ドラムは宮田繁男氏、ベースは小松秀行氏とオリジナル・ラブなリズム隊。
ギターはこれまたビブラストーンの岡田陽助氏。
ホーンアレンジは村田陽一氏。
コチラも華麗なる顔ぶれ。
そして二曲ともソウルフラワーユニオンの内海洋子さんがファンキーなコーラスで彩ります。
桜井さんはこの時期ビブラストーンに強く影響を受けていたと思います。




う~ん。
どちらのバージョンも好きです。
むんむんむらむらの夏なんです。
イイ曲ですねえ。


そういえば、フジテレビがこの曲を主題歌にトレンディドラマを数年前に作っていたそうですが、一回も観ませんでした。


このシングル以降、『ループスライダー』、『空にまいあがれ』、『拝啓、ジョン・レノン』、『愛のオーラ』などなど、シングルとして名曲を連発。
アルバム『KING OF ROCK』『GREAT ADVENTURE』『I WILL SURVIVE』も良く聴きました。

彼らの最新のアルバムも近いそうですね。
楽しみです。

レコードの再評価が高まる昨今、90年代にCDシングルで出ていたものをアナログで再リリースしていますが『どか~ん』や『ループスライダー』などもアナログで出して欲しいな。

まぁいいんじゃないすか。
ビブラストーンも再評価してくれよな。


『サマーヌード』《MHKL 8》〈作詞:桜井秀俊・Yo-King/作曲:桜井秀俊/編曲:真心ブラザーズ/ストリングスアレンジ:村山達哉/ホーンアレンジ:水江“ヨーカン”洋一郎〉(04’57’’)【2017】



サマーヌード/ENDLESS SUMMER NUDE(完全生産限定盤) [Analog]

サマーヌード/ENDLESS SUMMER NUDE(完全生産限定盤) [Analog]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2017/08/23
  • メディア: LP Record



【Amazon.co.jp限定】 FLOW ON THE CLOUD (初回限定盤)(特典:オリジナル“ロゴステッカー

【Amazon.co.jp限定】 FLOW ON THE CLOUD (初回限定盤)(特典:オリジナル“ロゴステッカー"付き)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: CD



B.A.D.(ビガー・アンド・デファー)~MB’s・シングル・コレクション

B.A.D.(ビガー・アンド・デファー)~MB’s・シングル・コレクション

  • アーティスト: 真心ブラザーズ,倉持陽一
  • 出版社/メーカー: キューンミュージック
  • 発売日: 1997/06/21
  • メディア: CD



KING OF ROCK

KING OF ROCK

  • アーティスト: 真心ブラザーズ,桜井秀俊,倉持陽一,BOB DYLAN
  • 出版社/メーカー: キューンミュージック
  • 発売日: 1995/05/01
  • メディア: CD



GREAT ADVENTURE

GREAT ADVENTURE

  • アーティスト: 真心ブラザーズ,桜井秀俊
  • 出版社/メーカー: キューンミュージック
  • 発売日: 1996/09/21
  • メディア: CD



I will Survive

I will Survive

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キューンレコード
  • 発売日: 1998/04/22
  • メディア: CD



エースep(完全生産限定盤) [Analog]

エースep(完全生産限定盤) [Analog]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: LP Record



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『Strawberry Fields Forever / Penny Lane /The Beatles』 [BEATLES]

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こんばんは。
ポール関連のシングルを続けて紹介していますが、
とどめはこの方たち。
カブトムシ―ズ。
今年、2017年はアルバム『サージェント・パパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド』のリリースから50年。

♪ 20年前の今日~ と唄っていた日から早、半世紀。

僕がヘルニアで苦しんで入院している5月にはデラックス・エディションも発売されました。
まだ買ってません。
MONO ボックスの音を聴いてれば幸せなんです。
2枚組のアナログ盤だけでも買おうかな。
デアゴスティーニにしょうかな。
アビーロードは買いました。

未だに影響を執拗に与え続けるビートルズ
財布の紐を緩めさせません。

そして今回取り上げるシングル盤も発売50周年。
ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー』と『ペニー・レーン』の世紀の名曲の強力ダブルサイダー。
レノン&マッカートニー名義なれど中期以降はそれぞれが単独で楽曲を制作していました。
藤子不二雄が途中から藤子不二雄Ⓐ、そして藤子・F・不二雄に分かれて作品を作り続けたように。
今回のシングルは例えるなら『魔太郎がくる!!』と『エスパー魔美』のカップリングか。違う。

話が逸れました。
1967年2月にリリースされたシングル。
ビートルズはアルバム・アーティストとしてのイメージが強いですけれど、
シングルについてもこだわりが深いのですね。
リリースされたシングルは基本的にアルバム未収録の体裁を取っています。
シングル曲をまたアルバムに再録することは同じ商品を結果的に購入させる事となり、その無駄を省こうとするポリシーが素晴らしい。
泣けてきます。
なかなか出来るコトじゃありません。
実に『03’54’’』想いですね。
更に凄いのはB面もイイ曲が多い。
捨て曲が無い。
ビートルズだもの。

そして今回のシングルは両A面仕様です。
この盤を一言で言うなら、
レノン&マッカートニー、少年時代を歌う。
Ⓐ先生にも『少年時代』という作品がありました。

まずは先行、ジョン・レノン選手の『Strawberry Fields Forever』。
ジョンが幼年期に過ごしていた孤児院『Strawberry Field』からインスパイアされた楽曲。
サイケデリックな音作りが印象的で歌詞も幻想的で哲学的な感じです。
ジョンの誘いに呼ばれて、どこかうら寂しい、見知らぬ街に迷い込んだ気分になります。
終わりのない夢の中。
楽曲のエンディングも終わるような終わらないような尻切れとんぼ。
二つのテンポの異なるテイクを繋ぎ合わせるという離れ業はパラレルワールドの世界のごとく。
今聴いても斬新で不思議な音の迷宮。
まどろみのまぼろしの世界。
いちご畑に彷徨って。



そして後攻のポール選手が歌うのは『Penny Lane』。
ジョンの夢から覚めると、ベッドからはカーテン越しに明るい太陽が差し込んでいる。
身支度を整えて爽やかな朝日の当たる町へ繰り出そう。
若き頃のポールがジョンの家に向かう為に足繁く通ったストリートの様子が軽快なタッチで音でスケッチされています。
澄み渡るポップでノスタルジックなメロディ。
間奏のトランペットのソロ演奏の軽快な響き。



ジョンとポールの好対照で甲乙つけがたいふたつのポップソング。
二面性に富んだ両A面。
そして商業的にも芸術的にも充たされて。

ライヴ活動を凍結し、
音のプロフェッショナル、ジョージ・マーティンと若く才気にあふれた四人の音楽好きな若者たちがスタジオで夢中になって作り上げた先鋭的な音遊びの成果が一枚のシングルと一枚のアルバムになり、ロック史に今も燦然と輝いています。


因みに今回取り上げたシングルは今年のレコードストアデイにて手に入れました。
英国オリジナル・スリーブを復刻し、日本盤のジャケットも封入されています。

そんなレコードストア・デイもレコードの日も正直あんまり好きじゃありません。
嫌いでもないけど。


『Strawberry Fields Forever』《7XCE 18415》〈Written by Lennon-McCartney〉(04’06’’)【2017】


サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2017/05/26
  • メディア: CD



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『VERONICA/ELVIS COSTELLO』 [英国ロック/80年代]

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こんばんは。

前回前々回と『Flowers in the dirt』時代のポールのシングルを取り上げてますが、
このアルバムには『My brave face』を始めとしてエルヴィス・コステロとの共作曲が収録されています。
そして同年ににリリースされたコステロのアルバム『SPIKE』にもそれらの一部が納められています。
という訳で2人のコラボレーションである、アルバムからのシングルカット『VERONICA』を。

横山やすしさんが道化師姿になったかのようなジャケットが印象的なアルバムがコステロとの出会いでした。
ワーナーブラザーズに移籍第一弾アルバムで豪華なゲストミュージシャンが参加し、さまざまなジャンルの楽曲を網羅した名作アルバムでした。
このアルバムも大変良く聴きました。
ブログを書くに当たり、改めて聴き直してやはり聴き応えがあり、感激しました。
そのアルバムの中でもっともキャッチ―でポップな楽曲が『VERONICA』
でした。
アルバムリリースして約10年後にこのアルバムのデラックスエディションが出ました。
コステロのお得意の膨大な秘蔵音源をプラスしてのCD二枚組。
そのライナーノーツによると、1987年でのポールとの共作でもっとも初期に出来上がった曲で、
コステロのおばあちゃんはアルツハイマーの症状を患っていて、その彼女のコトが楽曲のインスピレーションになったそうです。
非常にパーソナルでデリケートな内容なだけにコステロ自身は楽曲を一人でまとめることが困難だったそうですが、ポールとの共作で楽曲として仕上げることが出来たそうです。
おばあちゃんの悲壮的な出来事がモチーフとなりましたが、メロディ自体は明るい曲調で希望が満ち満ちています。ワクワクします。
忘却する記憶の中で、英国の田園風景の中を少女時代の彼女が無邪気に走ったり踊ったりしているはず。
朗らかなAメロ、切ないBメロ、そして躍動感と疾走感のあるサビのメロディでの胸のときめき。

コステロのアクのある歌い声はジョン・レノンを思い出させます。
ユーモアとペーソスがミックスされた素敵な声。
演奏にはポールも参加してヘフナーのベースを弾いています。
60年代っぽいサウンドも眩いです。



とてもイギリスっぽい曲ですね。
デラックス盤のディスク2にはこの曲のデモ音源が入っています。
この音源にはポールは参加していません。
コステロの弾き語り。
『SPIKE』には共作としてもう一曲『Pads,Paws,and Claws』というロックナンバーも収録されています。
その後のふたりのそれぞれの次作アルバムにも他の残りの共作曲が収録されました。


B面は『You're no good』。
アルバム未収録で、こちらはニック・ロウがベースを弾き、アトラクションズのピート・トーマスが叩いています。仲間内でシンプルに仕上げた感じ。
ソングライターのクリント・バラード・ジュニアが作った曲で様々なシンガーやバンドが取り上げていますが、一番有名なのはリンダ・ロンシュタットのバージョン。邦題は『悪いあなた』。
ブルージィなポップソング。
他にもこの時期のコステロのシングルのB面はカバーが多かったです。

1989年と言うと、
この年のアルバムには好きなものが多いです。
XTCの『オレンジ&レモンズ』
ローリング・ストーンズの『スティール・ホイールズ』
フィル・コリンズの『バット・シリアスリー』
ニール・ヤングの『フリーダム』
クラプトンの『ジャーニーマン』
トム・ペティの『フルムーン・フィーヴァー』
ビリー・ジョエルの『ストーム・フロント』
リッキー・リー・ジョーンズの『フライング・カウボーイズ』
エアロスミスの『パンプ』
プリファブ・スプラウトの『プロテスト・ソングス』
キンクスの『UK ジャイヴ』
ロイ・オービソンの『ミステリーガール』
などなど。

日本では、
元春の『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』
タイマーズの『タイマーズ』
達郎さんの『JOY』
フリッパーズ・ギターの『海へ行くつもりじゃなかった』
近田春夫とヴィブラストーンの『Vibra is back』
ユニコーンの『服部』
ピチカートファイヴの『女王陛下のピチカートファイヴ』
などなど。

音楽が本格的に好きになって、聴いたミュージシャンのアルバムは特に印象深いという事もあるのでしょうが。
あの頃はみんな元気でした。
これからもお元気で。

『VERONICA』《W7558》〈Written by Paul McCartney and D.P.A MacManus〉(03’02’’)【1989】



Spike

Spike

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Bros UK
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD



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