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『渋谷系を歌う/野宮真貴』 [ピチカートファイヴ]

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お早う。
PCの不調にめげずブログを更新しています。

大阪は朝の八時(過ぎ)。
田島さんに続いては、野宮真貴さん。
祝・ソロデヴュー35周年。

ピチカート解散後も精力的に歌手活動をされています。
新作のアルバムが出たばかり。
今回ご紹介するのは2014年のシングル。
前年にリリースしたライヴ盤『野宮真貴、渋谷系を歌う。』からの7インチ。
以来、リリースされた作品には《渋谷系》という言葉がタイトルに入れられています。
渋谷系スタンダード化計画。

野宮さんの音楽活動に於いて外すことの出来ないムーブメント。
当時はあの言葉に一抹の皮肉や揶揄も込められていましたが、
渋谷系とは明治以来、ドメスティックな日本の音楽に流行の洋楽のエッセンスを取り入れてきた歴史の連続性の中の一部であると考えられるでしょう。
服部良一、筒美京平、はっぴいえんど、等々の先達の活動の延長上にある、と。
でも、少し違うのは《流行の音楽》ではなく、過去のさまざまな音楽からの引用や継承。
《温故知新》と《ファッション感覚》。
和モノ、映画のサントラ、ネオアコ、ジャズ、ソフトロックなどなど。

田舎者の僕には眩しかった90年代の東京、渋谷の街。
大学からの帰りに電車で足繁く通った日々。
カッペにしやがれ。
あれから。

90年代、ファッションだけでなく音楽が活発だった渋谷の街は近年、タワーレコードやHMVによるアナログ、レコード普及活動による昭和期以来の盛り上がりにより再び《渋谷系》という単語を耳にすることが増えてきました。

そこで、「渋谷系の灯を消すな」と、言ったかどうかは判りませんんが、
野宮真貴さんの出番です。
古着をおしゃれに着こなすように軽音楽もスタイリッシュに歌いこなします。
そしてナチュラルに。

さて、A面はピチカート時代の代表曲『東京は夜の七時』。
小西康陽さんが90年初頭のトーキョーの夜の街をインスタントに活写したシリ―ラブソング。
そして野宮さんと言う格好の存在を当て書きに。
七色の黄昏降りてきて、風はなんだか涼しげな夜のとばくち。
タクシーを拾ってどこかにいこうよ。

ブンブンと疾走するベースライン。
瀟洒でアップテンポのジャズナンバー仕様の野宮バージョンの『東京は夜の七時』。
ピアノ、ベース、ドラムの軽やかな演奏、そしてクールな彩りを添えるヴィブラフォンの音色。
そして、野宮さんの唄声。
改めてその声に耳を傾けると、耳触りが良くて、聴きやすくて、淀みなくて、素敵な女性の声質に惹かれていきます。ピチカート時代よりもさらに磨きのかかったヴォーカルで。
ピチカートに在籍していた時代よりも音楽に対して、歌唱に対して積極的な感じがします。
あの頃は監督である小西さんの演出のディレクションに対してパーフェクトに応えるコトが彼女の仕事だった訳で。
今はソロとしてセルフプロデュースの仕事もこなすわけで、より自立した女性の風格というか佇まいを感じます。

そしてこの曲が先日のリオデジャネイロ・オリンピックの閉幕のセレモニーで聴こえてきたときは驚きました。
地球の裏側から次なる五輪開催地、東京をプロモーションするイメージソングとして。
そんなボサノヴァ2016。
歌詞は改変されてました。
歌唱はペトロールズの長岡亮介氏。
椎名林檎女史のプロデュース。
世界の国からこんにちは、としての東京は夜の七時。
でも大丈夫なのでしょうか、四年後。


B面は『ある日突然』。
トア・エ・モアのカヴァー。
バカラックの『Close to you』仕立てのバラード。
ピチカートのアルバム『Happy end of the world』収録の『地球は回るよ』も彼らのカヴァーでした。
そのときのレコーディングには芥川澄夫さんもヴォーカルで参加。
作曲は村井邦彦氏。
アルファ・ミュージックの創始者でもありますが、作曲家としても数えきれないほどの名曲を残されています。
90年代の和モノの再評価としてリリースされた『ソフトロック・ドライヴィン』シリーズには沢山の村井氏による和製ソフトロックの名曲がコンパイルされていました。
野宮さんの昨年のアルバム『世界は愛を求めてる。〜野宮真貴、渋谷系を歌う。〜』には村井氏とのデュエットでこの曲が収録されています。

プロデュースは坂口 修氏。
バカラックに大変造詣の深いお方でかのナイアガラ・エンタープライズの現在の代表であられます。
坂口氏のような“判っている”方が関わっているので安心して楽しむことが出来ます。

現在もカヴァーアルバムなんていうのは吐いて捨てて、履いて捨てて、掃いて捨てる程あるんですから。

アートワークは勿論信藤三雄氏。
彼こそが究極の渋谷系。

野宮さんの渋谷系スタンダード化計画の活動はこのポリシーでどんどん進んでいただきたい。
最終的には渋谷系に縁の深い方々が集まってオートクチュールの楽曲を集めたブランニューな渋谷系アルバムを期待したいです。

『東京は夜の七時』《DDJB-91204》〈作詞・作曲:小西康陽〉(03’51’’)【2014】


男と女 ~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。

男と女 ~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。

  • アーティスト: 小西康陽,スパム春日井,坂口修,ハル・デヴィッド,バート・バカラック
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/08/31
  • メディア: CD



実況録音盤! 『野宮真貴、渋谷系を歌う。〜Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards〜』

実況録音盤! 『野宮真貴、渋谷系を歌う。〜Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards〜』

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
  • 発売日: 2014/11/12
  • メディア: CD



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